「将来のために、ちゃんと貯金してる。投資は怖いから手を出さない」
20代のころの自分は、そう思っていました。毎月コツコツ口座に入れていくお金を見て、なんとなく安心していたんです。
でも、30代になってお金の勉強を始めたとき、気づきました。あの安心感は、少し違ったかたちのものだったと。
貯金は大切です。でも、「貯金だけ」でいいのかというと、今の日本の経済環境ではそれだけでは十分じゃないかもしれない。そんな現実があります。
この記事では、30代から投資を始めて18年の私が「貯金だけで安心していた20代の自分」に伝えたいことを、できるだけわかりやすくお話しします。
- 貯金だけだとなぜ不十分なのか
- インフレや長生きリスクって何のこと?
- では、何をどうすればいいの?
難しい金融の話ではなく、普通の会社員が「ちょっと知っておきたい」レベルでまとめました。投資をすすめたいわけじゃなく、ただ知ってほしい。そんな気持ちで書いています。
かつての日本は「貯金=最強」だった
7〜8%の利息がついていた時代
今の20代・30代の方には信じられないかもしれませんが、1980年代の日本では、銀行に預けているだけで年率7〜8%もの利息がつく時代がありました。
100万円を預けておけば、1年後には107〜108万円になっていたということです。株や不動産に投資しなくても、ただ銀行に預けておくだけで、お金がじわじわ増えていた。
そんな時代には、「貯金最強」という考え方は正しかった。貯金こそが最も賢い資産運用だったんです。
時代は変わった——今の普通預金金利は0.001%
ところが今、状況はまったく変わっています。2024年時点で、大手銀行の普通預金金利は年0.001〜0.02%程度。
100万円を1年預けてもつく利息は、わずか数十〜数百円。7〜8%の時代とはまるで別世界の話です。
「でも、貯金している人が増えてるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。確かに日本人は貯蓄好きで知られています。でも、その「貯金が安全」という感覚は、かつての高金利時代の記憶が残っているからかもしれません。
貯金が「悪」ではない、でも「それだけ」では足りない理由
低金利ではお金はほとんど増えない
繰り返しになりますが、貯金を否定したいわけではありません。生活防衛費(急な出費に備えるお金)は、必ず現金で持っておくべきです。
ただ、「老後のためのお金」「将来の資産」として考えると、今の金利ではほとんど増えない。これが現実です。
仮に月3万円を30年間コツコツ貯金したとします。元本だけで1,080万円。利息を加えても今の金利ではほぼ同じ金額にしかなりません。
一方で同じ条件でインデックス投資を続けた場合、過去のデータをもとに試算すると、元本の2〜3倍以上になる可能性があります。もちろん保証はできませんが、歴史的な実績として参考にはなります。
インフレで「貯金の価値」は目減りする
もうひとつ大事な話をします。それが「インフレリスク」です。
インフレとは、モノの値段が上がること。つまり、お金の価値が下がることでもあります。
たとえば今100万円で買えるものが、10年後には115万円必要になっているとしたら? 銀行に預けていた100万円の「実質的な価値」は、10年でじわじわ下がっていることになります。
貯金はお金の「数字」は減りません。でも、インフレが続くと「買えるもの」は減っていく。これが見えにくい落とし穴です。
実際、2022〜2024年にかけての日本でも物価上昇が続きました。食料品、光熱費、日用品……。日常生活で「値上がりしたな」と感じた方も多いはずです。
長生きリスクと老後資金の問題
さらに「長生きリスク」という視点も重要です。
医療の発達で、日本人の平均寿命はどんどん伸びています。「人生100年時代」とも言われるようになりました。
仮に65歳で退職して100歳まで生きるとしたら、35年間の生活費が必要です。年金だけでは足りない可能性が高く、自分自身で老後資金を準備しておく必要があります。
以前「老後2,000万円問題」が話題になりましたよね。あれは「あくまで一例の試算」ではあるものの、老後に必要な資金が思ったより大きいことへの警鐘でした。
貯金だけで2,000万円を30年かけて積み上げるのは、かなりの月額が必要です。でも、長期投資の複利効果を活用すれば、より少ない積立額でも目標に近づける可能性があります。
投資は怖い?リスクとの正しい付き合い方
投資イコール「一か八か」ではない
「投資って、結局ギャンブルじゃないの?」という声をよく聞きます。
確かに、短期間で大きなリターンを狙うような投資は、ギャンブル的な要素が強くなります。でも、それがすべての投資の姿ではありません。
長期的な視点で、世界経済全体に分散して積み立てていく——そういう投資であれば、過去の歴史を見ると長い目で見てプラスになってきた実績があります。もちろん、元本保証はありませんし、短期的には下がることもあります。でも、20〜30年という時間軸で見ると、話が変わってくる。
長期・分散・積立という3つのキーワード
投資の基本として「長期・分散・積立」という3つの考え方があります。
- 長期:短期の価格変動に惑わされず、長い時間をかけて資産を育てる
- 分散:ひとつの商品に集中せず、複数の資産や地域に分けてリスクを下げる
- 積立:毎月一定額を機械的に投資することで、高値づかみを防ぐ効果がある
この3つを守ることで、リスクをコントロールしながら資産形成に取り組むことができます。特に「積立」は、相場が下がっているときにも自動的に購入し続けるため、長い目で見ると平均の購入価格を抑える効果があります(ドルコスト平均法と呼ばれます)。
自分のリスク許容度を知ることが大切
ただし、どんな投資も自分のリスク許容度の範囲内で行うことが大前提です。
リスク許容度とは、「どのくらいの損失なら精神的に耐えられるか」ということ。たとえば、100万円を投資して、翌月に80万円に下がったときパニックにならずにいられますか?
もし「それは無理」と感じるなら、株式100%のリスクの高い商品より、株式と債券をバランスよく組み合わせた商品の方が向いているかもしれません。
「自分にとって心地よいリスクの範囲」を知ることが、長続きする投資の第一歩だと思っています。
18年投資を続けて感じたこと
20代から始めなかった後悔
私が投資を始めたのは30代になってからのことです。それまでは「投資は怖い」「まだ早い」と思っていて、貯金だけを続けていました。
30代になってお金の勉強を始めたとき、「複利」の力を知りました。運用で得た利益が、次の運用の元本になる——これを時間をかけて積み重ねると、とても大きな差になります。
「20代から始めていれば……」と少し後悔したのは事実です。でも、気づいた時から始められたことは、気づかずに過ごした場合と比べれば、ずっとよかったとも思っています。
今この記事を読んでいるあなたが20代なら、それはとても恵まれたタイミングです。時間はあなたの最大の武器になります。
投資の目的はお金だけじゃなかった
投資を続けてきて気づいたことがあります。それは、お金を増やすこと自体が目的ではなかったということ。
老後の資金に見通しが立つと、「今」をもっと楽しめるようになりました。旅行に行く、美味しいものを食べる、好きなことに時間を使う——将来の不安が減ると、現在の選択が変わってくるんです。
「Die with Zero(ダイ・ウィズ・ゼロ)」という本に、お金は人生を豊かにするための道具であり、貯め込むことが目的ではないという考え方が書かれています。私はこの考え方にとても共感しています。
資産形成は「今を我慢して将来に備えること」だけじゃない。将来への不安を和らげることで、今の生き方もより自由になる——そういうものだと思っています。
今すぐ始めなくていい、でも「知る」ことは今日できる
まずは月100円でもいい
投資を始めるには、「まとまったお金が必要」だと思っている方も多いようです。でも最近は、月100円や1,000円から積立投資ができるサービスが一般的になっています。
まずは少額で「慣れる」ことの方が大切。相場の動きを見ながら、自分の感情を観察することが、長期投資の基礎になります。
インデックス投資という選択肢
投資初心者の方に特に向いていると言われるのが「インデックス投資」です。
インデックス投資とは、日経平均やS&P500といった市場全体の動きに連動する投資信託に投資する方法。個別の株を選ぶ必要がなく、自動的に分散投資ができます。
手数料が低く、長期保有に向いていて、専門知識がなくても始めやすい。私自身もインデックス投資を中心に資産形成を続けてきました。
NISAやiDeCoといった税制優遇制度を活用すれば、さらに効率よく資産形成できます。これらは国が用意してくれた、普通の会社員にとって使い勝手のよい制度です。
まとめ
今回お伝えしたかったことを整理します。
- かつての日本では貯金に7〜8%の利息がついていたが、今は低金利時代でほぼ増えない
- 貯金は大切だが、インフレに対して無防備なため「実質的な価値」が目減りするリスクがある
- 人生100年時代、長生きリスクを考えると老後資金の形成は貯金だけでは不足するかもしれない
- 長期・分散・積立を守り、自分のリスク許容度の範囲内で投資することがポイント
- 投資の目的はお金だけでなく、将来の不安を減らして「今」をより豊かに生きること
投資は難しくないし、怖くない。ただ、「何も知らない」状態だと不安に感じるのは当然です。
まず「知る」ことから始めてみてください。知識が増えると、不安が減り、自分で判断できるようになります。
20代の自分に伝えるとしたら、ひとつだけ言いたいことがあります。
「貯金は続けていい。でも、投資についても少しだけ知っておいて。時間は最大の武器だから」
このブログが、あなたのお金との付き合い方を少しでも変えるきっかけになれば嬉しいです。
