2024年から始まった新NISAをキッカケに、「つみたて投資、始めました!」という方、本当に増えましたよね。特に人気なのが、皆さんご存知「オルカン」こと「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」。
でも、投資を始めるとこんな不安がよぎりませんか?
「積立設定はしたけど、本当にこのまま放置でいいの?」
「経済ニュースで『〇〇ショック!』とか見ると不安になる…」
「持ってる投資信託の中身って、古くなったりしない?」
わかります。大切なお金ですもんね。
でも、結論から言います。 オルカンは、正真正銘「ほったらかし」でOKなように設計されています!
その「最強のほったらかし」の秘密を解き明かす、絶好のニュースが飛び込んできました。
【最新ニュース】オルカンのお手本、日本株を「純増」!
2025年11月6日、オルカンがお手本にしている「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」という世界的な株価指数で、定期的な「銘柄入れ替え」が発表されました。

なんと、日本株の採用数が3年9ヶ月ぶりに「純増」(追加が除外を上回ること)になったんです!
- 新しく仲間入り(追加):
- キオクシアホールディングス(半導体メモリ大手)
- JX金属(AIデータセンター向け材料など)
- 荏原(半導体関連の装置など)
- 西武ホールディングス(鉄道・ホテル)
- 今回でお別れ(除外):
- 明治ホールディングス
- 日清食品ホールディングス
- ヤクルト本社
「ふーん、銘柄が入れ替わったんだ。で、それが何?」 「キオクシアって最近ニュースで見るけど、だから?」
と思ったアナタ、鋭いです。 実はこの「銘柄入れ替え」こそが、オルカンが「ほったらかし投資」に最適である”隠れた魅力”の正体なんです。
この記事では、投資初心者さん向けに、以下の点をとことん分かりやすく解説していきます。
- そもそもオルカンとMSCI ACWIって何が違うの?
- なんで銘柄が入れ替わるの?(キオクシアはなぜ選ばれた?)
- この「入れ替え」が、なぜ「ほったらかし」を最強にするの?
この記事を読み終わる頃には、「なるほど!だからオルカンで良かったんだ!」と、安心して今夜ぐっすり眠れるようになっているはずですよ!
そもそも「オルカン」と「MSCI ACWI」って何が違うの?
まず、基本の「キ」からおさらいしましょう。「オルカン」と「MSCI ACWI」、似てるようでちょっと違います。
オルカン = 全世界に投資する「お弁当パック」
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)は、「投資信託」という金融商品です。
【やさしく解説】投資信託(ファンド)とは?
- たくさんの投資家から少しずつお金を集めて、大きな一つの資金にします。
- そのお金を、投資の専門家(ファンドマネージャー)が私たちに代わって、株や債券などに分散して運用してくれる仕組みです。
- 利益が出れば、投資額に応じて分配されます。
- 特にオルカンのような商品は「インデックスファンド」と呼ばれ、特定の「指数(インデックス)」と同じ値動きを目指すように運用されます。
オルカンは、まさに「全世界の株式市場まるごと詰め合わせお弁当パック」みたいなもの。 これ一本買うだけで、アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国、インドなど、先進国から新興国まで、世界中の主要な会社(約2,500〜3,000社!)の株主になれる、超便利な商品なんです。
2025年現在、その手軽さと実績から絶大な人気を誇り、新NISAの積立先としてもNo.1。オルカンに集まるお金(純資産総額)は、5兆円を突破する勢いです。(※2025年11月時点の想定情報)
MSCI ACWI = オルカンが目指す「お手本リスト(レシピ)」
では、オルカンは何を基準に「全世界の株」を買っているのでしょうか? その「お手本」であり「レシピ」の役割を果たしているのが、今回ニュースになった「MSCI ACWI(アクイ)」です。
- MSCI ACWI(All Country World Index)
- 米国のMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)社という、株価指数を計算する専門会社が作っています。
- 「全世界の株式市場の動きをざっくり把握するための”ものさし”」だと思ってください。
- 先進国23カ国、新興国24カ国(※時期により変動)の大型株・中型株、合計約2,500〜3,000銘柄で構成されています。
- 世界の株式市場の時価総額のうち、約85%をカバーしています。
オルカン(インデックスファンド)は、この「MSCI ACWI」というお手本リストに載っている銘柄を、リスト通りの比率で買うように運用されています。
「オルカン」= MSCI ACWIというレシピ通りに作られた、お弁当パック(商品) 「MSCI ACWI」= お弁当の中身(銘柄)と割合を決める、レシピ(指数)
こういう関係性ですね。 だから、レシピ(MSCI ACWI)の中身が変更されれば、当然、お弁当パック(オルカン)の中身も変更されるわけです。
ニュース深掘り! なぜ銘柄は入れ替わるの?
では、本題のニュースに戻りましょう。 なぜMSCIは、銘柄の「追加」や「除外」を行うのでしょうか?
それは、「今の世界経済の”リアル”を正しく指数に反映させるため」です。
世界経済は生きています。10年前にイケてた会社が今もイケてるとは限らないし、無名だった会社が急成長することもありますよね。 もしMSCI ACWIのレシピが10年間ずっと同じだったらどうでしょう? とっくに勢いを失った会社の株ばかりで、今をトキメクAI企業の株が入っていない…なんてことになりかねません。
そんな古いレシピでは、世界の経済成長の恩恵を受けられませんよね。
そこでMSCI社は、年に4回(2月、5月、8月、11月)、定期的に指数に採用する銘柄を見直しているのです。
入れ替えの基準は「イケてる度」
MSCIが銘柄を選ぶ基準は非常に複雑ですが、投資初心者さんが押さえるべきポイントは主に2つです。
- 時価総額(会社の規模・価値)
- 株式の流動性(売買の活発さ)
【やさしく解説】時価総額(じかそうがく)とは?
- 株価 × 発行済み株式数 で計算されます。
- 簡単に言えば、「その会社を丸ごと買うとしたらいくらかかるか」を示す金額で、市場が評価する「会社の価値(規模)」のことです。
- 時価総額が大きいほど、世界経済に与える影響も大きいと見なされます。
【やさしく解説】流動性(りゅうどうせい)とは?
- その株が「どれだけ活発に売買されているか」の指標です。
- 流動性が高い=買いたい人・売りたい人が常にたくさんいて、すぐに取引が成立する状態。
- オルカンのような巨大ファンドが売買する際、流動性が低い(人気のない)株だと、自分の買い(売り)で株価が急変動してしまうため、一定以上の流動性が求められます。
MSCIは、これらの基準(特に時価総額)をクリアした「イケてる」会社を指数に採用し、基準から外れてしまった会社を「除外」するのです。
今回の入れ替えに見る「経済の今」
今回の入れ替え(2025年11月)は、まさに「今の経済」を象徴しています。
- 追加された銘柄(キオクシア、JX金属、荏原など)
- キオクシアは、スマホやデータセンターに不可欠な「NAND型フラッシュメモリ」の大手。市況の回復期待やAIの普及でデータ量が爆発的に増えることを見越して、株価が急上昇していました。
- JX金属も、AIデータセンターで使われる先端半導体向けの材料で高いシェアを持っています。
- 荏原も、半導体工場で使われる装置やポンプが絶好調です。
- つまり、「AI・半導体ブーム」という今のトレンドに乗って時価総額が膨らんだ企業が、見事に採用されたわけです。
- 除外された銘柄(明治、日清食品、ヤクルト)
- これらは日本を代表する優良な食品メーカーです。
- しかし、ここ数年は原材料の価格高騰や、物価高による消費者の買い控え(実質賃金のマイナス)などに苦しみ、株価が相対的に伸び悩んでいました。
- その結果、時価総額の基準などで、AI関連のイケイケ企業に「世界の代表選手」の座を譲る形となったのです。
このように、MSCI ACWIは非常にシビアに、「今、世界で儲かっている(と期待されている)のは誰か」を判断し、中身をアップデートし続けています。
オルカンの「隠れた最強の魅力」- “自動リバランス機能”
さて、ここからが一番重要です。 この「銘柄が自動で入れ替わる」という仕組みが、なぜ私たち投資初心者の「ほったらかし投資」にとって最強の味方になるのでしょうか?
それは、オルカンが「自動リバランス機能」を内蔵しているのと同じだからです。
【やさしく解説】リバランスとは?
- 投資を続けていると、値上がりした資産(株など)の割合が増え、値下がりした資産の割合が減っていき、最初に決めた「資産配分(アセットアロケーション)」が崩れてしまいます。
- 例えば「株50%:債券50%」で始めたのに、株が絶好調で「株70%:債券30%」になってしまうと、リスクを取りすぎている(ハイリスク・ハイリターンすぎる)状態になります。
- そこで、増えすぎた株を売って、減った債券を買い、元の「50%:50%」に戻す作業をリバランス(資産の再配分)と言います。
- これは、投資のリスクを適切に管理するために、非常に重要な作業です。
もし「自分で」全世界に投資したら…
想像してみてください。もしオルカンが存在せず、MSCI ACWIのレシピ(約2,500銘柄!)を参考に、自分で全世界の会社に投資したらどうなるでしょう?
- まず、約2,500社の株を、レシピ通りの比率で買う時点で気が遠くなります。(現実的に不可能ですが…)
- 運用がスタート。キオクシアのようなAI関連株が爆上がりし、明治のような食品株が伸び悩みます。
- あなたの資産全体に占める「AI関連株」の割合が異常に高くなり、リスクが偏ってきます。
- あなたは「ヤバい、リスク取りすぎだ!」と気づき、爆上がりしたキオクシア株を一部売り、伸び悩んだ明治株を買い増して、元のバランスに戻す(リバランス)必要があります。
- この作業を、年に数回、世界中の数千社の株価をチェックしながら行わなければなりません。
……無理ですよね?(笑) 面倒くさいし、売買のたびに手数料や税金もかかります。
オルカン(MSCI ACWI)なら自動でやってくれる!
しかし、オルカン(というか、お手本のMSCI ACWI)なら、この「リバランス」の大部分を自動でやってくれます。
MSCIが「キオクシアは時価総額が増えたから、指数に占める割合を増やすね(=採用)」とか、「明治は時価総額が減ったから、割合を減らすね(=除外)」と判断してくれるからです。
これは、投資の世界でいう「新陳代謝」です。
- 成長する企業(キオクシアなど)は、自動的に保有割合が増えていく。
- 衰退する企業(今回除外された銘柄など)は、自動的に保有割合が減っていく(やがて消える)。
私たち投資家は、MSCIの銘柄入れ替えニュースを見て「へぇー、AIが好調なんだな」と思うだけでOK。 自分でキオクシア株を買い増したり、明治株を売ったりする必要は一切ありません。
オルカンを持っているだけで、自動的に「今イケてる企業」への投資比率が高まり、「イマイチな企業」への投資比率が下がるように調整されていくのです。
これが、「オルカンは定期的に時価総額などを考慮し組み入れ銘柄の見直しをしてくれるのが隠れた魅力」の正体です。 世界経済の変化に合わせて、保有する資産の配分を自動で最適化(リバランス)してくれる。
だから、私たちは何もせず「ほったらかし」にしておいても、オルカンの中身は常に「世界経済の今」を反映した最新の状態に保たれるのです。
日本株の純増は「良いニュース」なの?
今回のニュース「日本株が3年9ヶ月ぶりに純増」は、私たちオルカン投資家にとってどういう意味を持つのでしょうか?
これは、「世界経済の中で、日本企業の存在感が(少し)高まった」というサインです。
オルカン(MSCI ACWI)の中身は、国別で見ると約6割が米国株です。日本株はわずか5〜6%程度(2025年現在)。 ここ数年、GAFAMに代表される米国ハイテク企業の独り勝ちが続き、日本株の比率は低下傾向にありました。
しかし今回、AI・半導体関連を中心に日本企業が再評価され、銘柄数で「純増」に転じたことは、「日本の会社もまだまだイケてるぞ!」と世界市場が認め始めた証拠と言えます。 (実際、今回の入れ替えで日本株には約1170億円の資金が機械的に流入すると試算されています)
中国株も純増、米国株は純減
ちなみに、今回の入れ替えでは、中国株も2023年8月以来の「純増」となりました。 不動産不況などで苦しんでいた中国ですが、国策としての半導体やAI支援が実を結び始めている、とMSCIは判断したようです。
一方で、米国株は差し引き2銘柄の「純減」でした。
「じゃあ、これからは日本株や中国株を買うべき?」
…と思った方、ちょっと待ってください! それこそが「ほったらかし投資」の対極にある「アクティブ運用」の発想です。
「次は日本株が来る!」 「いや、AIブームはもう終わりだ!」
このように未来を予測して、個別の国やテーマに集中投資するのは、プロでも非常に難しい「ギャンブル」に近い行為です。
今回のニュースから私たちが学ぶべきことは、たった一つ。
「世界経済の主役は、常に移り変わる」
ということです。
AIブームがいつまで続くかも、次にどの国が来るかも、私たち素人には分かりません。 だからこそ、その時々の「世界の主役」を自動的に組み入れてくれるオルカンに、どっしり構えてお任せするのが、投資初心者にとって最も賢明で、最もカンタンな戦略なのです。
結論:だからオルカンは「ほったらかし」でいいんです
今回の「MSCI銘柄入れ替え」ニュースを、投資初心者さん向けにまとめます。
- オルカンは「MSCI ACWI」という世界株のレシピ(指数)をお手本にしている。
- MSCIは年に4回、レシピの中身(銘柄)を「今の経済」に合わせて見直している。 (例:今回はAI関連のキオクシア等を採用し、食品株を除外)
- この「自動入れ替え」が、オルカンの”隠れた最強の魅力”。
- なぜなら、私たちが何もしなくても、自動で「成長する企業」の割合を高め、「衰退する企業」の割合を減らす「リバランス(新陳代謝)」を行ってくれるから。
投資初心者が、自分で「次はキオクシアだ!」とか「明治はもうダメだ!」なんて判断する必要は一切ありません。
私たちは、ただオルカンを毎月コツコツ積み立てて、あとは仕事や趣味、家族との時間を楽しむ。 その間に、オルカンが勝手に中身を「最新の最強布陣」にアップデートし続けてくれる。
これこそが、「ほったらかし投資」の真髄です。
今回のニュースで、日本株が3年9ヶ月ぶりに純増したのは嬉しいことですが、だからといって投資方針を変える必要はありません。 むしろ、「ああ、ちゃんと日本が頑張れば、オルカンの中の日本の比率も自動で上げてくれるんだな」と、その”自動リバランス機能”の優秀さを再確認できたのではないでしょうか。
経済は常に変化します。その変化の波を自分で乗りこなそうとせず、変化に自動でついていってくれる「オルカン」という最高の船に乗って、どっしり構えていきましょう!

