【投資初心者向け】円建てステーブルコインって何?メガバンク参入でどう変わる?JPYCとの未来を徹底解説!

投資ニュース解説

最近「ステーブルコイン」という言葉をニュースでよく耳にしませんか?

「なんだか難しそう…」

「ビットコインみたいなもの?」

「私たちに関係あるの?」

そんな風に思っている方も多いかもしれませんね。

でも実はこれ、私たちのお金の未来を大きく変えるかもしれない、超重要なトピックなんです!

2025年11月8日の日本経済新聞で、こんなニュースが報じられました。

円建てステーブルコイン実用段階、ドル建て1強に風穴 3メガ・JPYCの2陣営に 越境送金へ弾み - 日本経済新聞
3メガバンクは7日、ステーブルコイン(きょうのことば)の共同発行に向けた実証実験を始めると発表した。10月にはフィンテック企業のJPYC(東京・千代田)による「JPYC」の発行が始まった。ドル建てステーブルコインが米国などで広がるなか、日本...

「メガバンクが揃って動き出す」と聞くと、一気に現実味が増してきますよね。

この記事では、投資初心者の皆さんにも分かりやすく、

  • そもそも「ステーブルコイン」って何?(暗号資産との違い)
  • なぜ今、日本で「円建て」が盛り上がってるの?
  • 先行する「JPYC」と「メガバンク連合」、どう違うの?
  • 私たちの生活や投資に、どんな影響があるの?

といった疑問を、最新の情報を交えながら、とことん優しく解説していきます。

この記事を読み終わる頃には、「ステーブルコイン、なるほどね!」と、未来のお金の流れがきっと見えてくるはずですよ。

そもそも「ステーブルコイン」って何?ビットコインと何が違うの?

まず、一番大事なところからいきましょう。「ステーブルコイン」とは何でしょうか?

よく「ビットコインみたいなものでしょ?」と誤解されがちなのですが、実は全くの別物です。

最大の違いは、「価格が安定していること」です。

[ポイント解説] ビットコイン vs ステーブルコイン

  • ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨):
    • 価格が激しく変動します。1日で10%上がったり下がったりも…。
    • 価値の裏付け(担保)がありません。「みんなが価値があると信じている」から価値があります。
    • 主な目的は「投資(投機)」や「新しい金融システム(DeFiなど)での利用」です。
  • ステーブルコイン (Stablecoin):
    • 「Stable(ステーブル)」=「安定した」という意味。
    • 日本円や米ドルなどの「法定通貨」と価値が連動するように設計されています。
    • 例えば「1 JPYC = 1円」「1 USDC = 1ドル」のように、価格がほぼ変動しません。
    • なぜ安定しているの? ちゃんと価値の裏付け(担保)があるからです。発行されたステーブルコインと同額の「円」や「ドル」(あるいは国債や預金)を、発行者がしっかり保有・管理しています。(日本では法律で義務付けられています)
    • 主な目的は「決済」や「送金」です。

つまり、ビットコインが「価値が変動するデジタル資産(金のようなもの)」だとしたら、ステーブルコインは「価値が安定したデジタルなお金(現金や電子マネーに近いもの)」と言えます。

ステーブルコインの何がすごいの?

「SuicaやPayPayみたいな電子マネーと何が違うの?」と思いますよね。

ステーブルコインは、「ブロックチェーン」という技術を使って作られています。これが最大の違いであり、すごいところなんです。

[ポイント解説] ブロックチェーンとは?

データを「ブロック」という箱に入れて、それを「チェーン(鎖)」のようにつなげて管理する技術です。世界中のコンピューターにデータが分散して保存されるため、「改ざんがほぼ不可能」「システムが止まりにくい」という特徴があります。 ビットコインもこの技術を使っています。

このブロックチェーン技術のおかげで、ステーブルコインにはこんなメリットがあります。

  1. 送金コストが激安に(特に海外送金)
    • 今、海外に10万円送金しようとすると、銀行で数千円の手数料と数日かかりますよね。
    • ステーブルコインなら、これが数円〜数十円の手数料で、わずか数秒〜数分で着金します。革命的です!
  2. 24時間365日、いつでも決済・送金できる
    • 銀行の窓口やATMが閉まっている夜中や土日でも、スマホひとつで世界中に送金できます。
  3. プログラムと連携できる(これが未来のカギ!)
    • 「Aさんがこの仕事を終えたら、自動でBさんに1000円分のコインを送る」といった複雑な契約(スマートコントラクトと言います)を自動実行できます。

今の世界は「ドル建て」が最強

この便利なステーブルコイン、実は世界ではすでに巨大な市場になっています。

ニュース記事にもある通り、その市場規模はなんと約3000億ドル(約46兆円)! (2025年11月時点)

そして、その9割以上が「ドル建て」なんです。

特に有名なのが「テザー(USDT)」や「USDC(サークル社)」で、この2つだけで市場のほとんどを占めています。世界中の企業や個人が、貿易の決済や暗号資産の取引、日々の送金に、このドル建てステーブルコインをガンガン使っているのです。

日本の「円建てコイン」2大勢力が登場! JPYC vs メガバンク連合

これまで「ドル」の独壇場だったステーブルコイン市場に、いよいよ「円」が本格参入します。

今回のニュースで登場した、日本の2大勢力を見てみましょう。

1. 先行するフィンテック企業「JPYC」

  • 発行元: JPYC Inc.(日本のフィンテック企業)
  • 特徴:
    • 2024年10月から、改正された法律(資金決済法)のもとで、いち早く発行を開始しました。
    • すでに1億3000万円分以上が発行されており、実績を積んでいます。
    • クレジットカード決済でJPYCを買って買い物に使えるサービス(ナッジ社)など、連携するサービスも出始めています。
  • 狙い(予想):
    • 主にWeb3と呼ばれる新しいインターネットの世界での利用を狙っていると考えられます。

[ポイント解説] Web3(ウェブスリー)とは?

「次世代のインターネット」と呼ばれる新しい概念です。

  • Web1.0:ホームページを見るだけ(一方通行)
  • Web2.0:SNSなどで誰もが発信できる(双方向)
  • Web3.0:ブロックチェーン技術を使い、特定の巨大企業(GAFAなど)に情報が集中するのではなく、個人が自分のデータを管理・活用できる世界を目指します。NFTやDeFi(分散型金融)などがこれにあたります。

JPYCは、このWeb3の世界で使われる「円」として、中心的な存在になろうとしています。

2. 満を持して登場「3メガバンク連合」

  • 発行元: 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行(が共同で)
  • 特徴:
    • 3つのメガバンクが「規格を統一」して共同で発行します。つまり、どの銀行が発行したコインでも、互いに交換したり、共通で使えたりする(互換性がある)仕組みを目指しています。
    • システム基盤には「プログマ(Progmat)」という、三菱UFJ信託銀行などが開発したデジタル資産の基盤を使います。
    • まずは、三菱商事が国内外の拠点間の決済(越境決済)に使う実証実験からスタートします。
  • 狙い(予想):
    • まずは法人(企業)向けの利用、特に「国際送金」や「貿易決済」を効率化する狙いが大きいでしょう。
    • 3メガバンクが持つ合計30万社以上の膨大な顧客企業に導入が進めば、一気に普及する可能性があります。
    • 将来的には、もちろん個人向けのサービスにも広がってくるはずです。

こう見ると、JPYCがWeb3向けでスピード感を持って先行し、メガバンク連合が「銀行の信頼感」と「法人顧客基盤」を武器に、インフラごと作ろうとしている構図が見えてきますね。

なぜ今、メガバンクも参入?背景にある「デジタル円離れ」の危機感

「でも、なんで今になってメガバンクが重い腰を上げたの?」

「しかも、ライバル同士なのに、わざわざ『共同』でやるなんて?」

そう思いますよね。

実は、そこには日本円の未来に対する、かなり強い危機感があるんです。

このままでは「円」が使われなくなる!?

思い出してください。今、世界のステーブルコイン市場の9割以上は「ドル建て」です。

海外では、USDCなどを使った決済が、お店やネットショッピング(Shopifyなど)でどんどん使えるようになっています。

もし、この「安くて早くて便利なドル建てコイン」が、そのまま日本でも普及したらどうなるでしょう?

  • 日本の企業が、海外との取引でドル建てコインを使うようになる。
  • 日本の個人が、ネットショッピングでドル建てコインを使うようになる。
  • 給料もドル建てコインで払われるようになるかも…。

そうなると、日本国内でも「円」が使われなくなり、「ドル」ばかりが流通することになりかねません。これが「デジタル時代の円離れ」です。

そうなれば、日本円の価値や信頼性(円の信用)が下がり、日本経済全体に大きなダメージとなります。

アメリカの国策「ジーニアス法」

この「ドル一強」の流れは、アメリカの国策でもあります。

ニュース記事にも「ジーニアス法」という言葉が出てきましたね。

[ポイント解説] ジーニアス法 (GENIUS Act)

2025年7月にアメリカで成立した、ステーブルコインに関するルールを定めた法律です。トランプ政権が強力に推進しました。

この法律のすごいところは、「ステーブルコインは危ないから規制する」というネガティブなものではなく、「しっかりした裏付け(米ドルや米国債など)を持つ優良なステーブルコインは、国のお墨付きを与えるから、どんどん使いなさい!」というポジティブな内容であることです。

これは実質、「ドル建てステーブルコインを世界中に普及させて、デジタルの世界でもドルの覇権を維持するぞ!」というアメリカの国家戦略なんです。

このままではヤバい!

アメリカが国を挙げて「デジタル・ドル」を推進するなら、日本も「デジタル・円」をしっかり作って対抗しないと、経済的に負けてしまう!

この強い危機感から、金融庁も「円建てステーブルコイン」の普及を強力に後押ししており、それに応える形で、3メガバンクも「ケンカしてる場合じゃない、まずは一緒に『円のインフラ』を作ろう!」と、共同で動き出すことになったのです。

JPYC vs メガバンクは「対立」じゃない!「共存」こそが未来のカギ

さて、ここまで聞くと、「先行するJPYC」と「巨大なメガバンク連合」、どちらが勝つんだろう?という「対決」の構図をイメージしてしまいますよね。

でも、私は未来は「対立」ではなく「共存」だと考えています。←ココ重要!

ここで、パソコンのOSを例に考えてみましょう。

「Windows」と「Linux」の素敵な関係

皆さんおなじみの「Windows」は、世界中の多くのパソコンに搭載され、企業や役所、家庭で使われる「標準(デファクトスタンダード)」ですよね。使いやすく、サポートも手厚く、対応ソフトも豊富です。

一方、「Linux」というOSを知っていますか? これは「オープンソース」といって、設計図が公開されており、世界中のエンジニアが自由に改良できるOSです。サーバー(Webサイトの裏側を支えるコンピューター)の世界では圧倒的なシェアを誇り、Androidスマホのベースにもなっています。

Windowsが「閉じた世界で、信頼と実績を提供するインフラ」だとしたら、Linuxは「開かれた世界で、自由な発想とスピードを提供するインフラ」です。

そして大事なのは、この2つは「共存」していることです。 企業の基幹システムはWindowsで動き、その裏側のWebサーバーはLinuxで動く、なんてことは当たり前です。Microsoft(Windowsの会社)自身も、今やLinuxを積極的に活用しています。

ステーブルコインも同じ未来になる!

この関係、JPYCとメガバンクコインにそっくりだと思いませんか?

  • メガバンク連合(プログマ基盤) = “Windows”
    • 銀行の「信用力」をベースにした、法人向け・貿易決済・大規模決済のための「標準インフラ」。
    • 金融庁ともしっかり連携し、マネーロンダリング対策なども万全な、安心・安全な「閉じた」システムからスタートする。
  • JPYC = “Linux”
    • フィンテック企業の「スピード感」を武器にした、個人向け・Web3・新しいサービスのための「開かれた」インフラ。
    • 世界中のブロックチェーンや新しいサービスと自由に繋がり、イノベーションを生み出す。

そして、この2つが「共存」し、さらには「連携」する未来がすでに見えています。

実は、検索結果(ITmedia 2025年10月31日)によると、JPYCは、メガバンク連合が使うシステム基盤である「プログマ(Progmat)」と、すでに協業を発表しているんです! プログマの基盤を使って、新しい「信託型JPYC」を発行する計画があるとのこと。

つまり、彼らはすでに対立するのではなく、お互いの得意分野を活かしながら、連携する道を選んでいるのです。

メガバンクが整備する「高速道路(プログマ)」と、JPYCが張り巡らせる「毛細血管(Web3サービス)」が繋がることで、初めて日本全体に「デジタル円」がスムーズに流れるようになるのです。

私たち投資初心者が注目すべきポイント

この「お金の未来」の大きな変革期に、私たち投資初心者は何に注目すればよいでしょうか?

  1. 「決済」や「送金」のニュースに敏感になる
    • 「〇〇社がステーブルコイン決済を導入」「銀行の海外送金手数料が大幅値下げ」といったニュースは、この流れが加速しているサインです。
  2. Web3関連のサービスを体験してみる
    • JPYCを使ってNFTを買ってみるなど、少額から新しい技術に触れてみると、その可能性が肌感覚でわかります。(もちろん、リスクを理解した上で!)
  3. 関連企業の株価をチェックする
    • メガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)はもちろん、システム基盤を提供する「プログマ」に出資している企業や、JPYCと連携する企業(ナッジなど)が、この変革でどう成長していくか、長期的な視点で見ていくのは面白いかもしれません。

もちろん、課題も残っています。

  • 法整備: マネーロンダリング(資金洗浄)対策や、利用者保護のルールをどう徹底するか。
  • 技術的な課題: JPYCの上限額(現在1回100万円)の撤廃や、海外のステーブルコインとの互換性など、まだまだクリアすべき点は多いです。

しかし、この流れはもう止まりません。

まとめ:お金の「OS」が変わる!未来の当たり前に乗り遅れないために

今回は、投資初心者の皆さんに向けて「円建てステーブルコイン」のニュースを深掘りしてみました。

今日のポイント

  1. 「ステーブルコイン」は、価格が安定した(例:1コイン=1円)デジタルなお金。
  2. 「安く・早く・24時間」送金できるのが強み。
  3. 世界は「ドル建て」が9割で、このままだと日本経済がピンチ(円離れ)。
  4. そこで、日本でも「JPYC(フィンテック)」と「メガバンク連合(法人向け)」の2大勢力が本格始動!
  5. これは「対立」ではなく、「Linux(JPYC)」と「Windows(メガバンク)」のような「共存」と「連携」の未来になる可能性が高い。(すでに協業も発表!)

ステーブルコインの登場は、単なる新しい決済手段が増える、という話ではありません。 それは、私たちが使っている「お金」という社会の根本的な「OS」が、アップデートされるような大事件です。

かつて、現金からクレジットカードへ、そしてスマホ決済(PayPayなど)へと「当たり前」が変わってきたように、数年後には、ステーブルコインで送金したり、買い物をしたりするのが「当たり前」になっているかもしれませんね。

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