30代で投資を始めた私が、20代の自分に伝えたいこと

投資初心者のための資産形成入門

私は30代のころにインデックス投資を始めました。妻と3人の子どもを持ち、今は早期退職を視野に入れながら日々を過ごしています。

ここで最初に断っておきたいのですが、私はこれから「今すぐ投資を始めましょう」とは言いません。特定の商品も、口座開設も勧めません。ただ、20代の自分がもう少し早く「知っていたなら」と思うことが、いくつかあります。その話を静かにしてみようと思います。

この記事を読んでどう動くかは、皆さんが決めることです。


30代になって初めて気づいた後悔

投資を始めるまでの話

30代になる前の私にとって、投資といえばデイトレードでした。毎日画面に張り付いてチャートを読み、株価の細かな動きに反応して売り買いするイメージ。「そんな時間も才能も自分にはない」と、それだけで完全に諦めていました。

老後にはお金が必要だとは頭ではわかっていました。インフレ(物価が上がり続けることで、同じお金の価値が目減りしていく現象)が続けば、銀行に預けっぱなしでは資産が実質的に減っていくとも知っていました。それでも「自分にできる方法がない」と思い込んでいたから、何も動かなかったのです。

転機は偶然訪れました。たまたま読んでいた雑誌の記事に「インデックス投資」という言葉が載っていました。今でこそ広く知られていますが、当時はまだそれほど一般的な言葉ではありませんでした。記事をたどり、当時出ていた関連書籍を片っ端から読みました。そこで初めて知ったのです。「ほったらかしでも資産形成できる方法がある」ということを。

20代の自分に言いたいこと

あのとき感じた正直な気持ちは、「もっと早く知りたかった」でした。後悔というほど深刻ではないですが、少し残念だという気持ちは今も消えません。

ただ、20代の自分を責める気にはなれません。知らなかっただけで、怠けていたわけではないからです。そして知ったところで、当時の自分がすぐ始められたかどうかも、正直わかりません。


20代の自分が投資を始めなかった理由

振り返れば、始めなかった理由はいくつかありました。どれも今思えば「そうだよな」と思える理由ばかりです。

お金がなかった:当時の収入では生活するだけで精一杯で、投資に回す余裕など感じていませんでした。「まとまったお金ができたら考えよう」と思い続けて、気づけば30代になっていました。

よくわからなかった:株、債券、投資信託、ファンド……用語が多くて何から調べればいいかもわかりませんでした。難しそうに見える世界に、わざわざ踏み込む必要を感じなかったのです。

怖かった:「損をするかもしれない」という恐怖は、始める前の人間にとってはかなり大きく見えます。実際に資産を持ったことがない人間にとって、減るかもしれないリスクは非常に重く感じるものです。

周囲が誰もやっていなかった: 同世代の友人で投資の話をする人は、ほとんどいませんでした。誰もやっていないことを一人で始めるのは、なんとなく気恥ずかしかったですし、正直怪しいとも思っていました。


30代になって気づいた「時間」の価値

お金よりも、時間の方が重要だった

投資を始めてから気づいたことがあります。投資において一番大切な資源は、お金ではなく「時間」だということです。

たとえば月1万円を30年間積み立てた場合と、20年間積み立てた場合では、単純な積立額で120万円の差が生まれます。しかしそれ以上に大きいのが、複利の効果です。

複利とは何か?

利息に対してさらに利息がつく仕組みのことを複利といいます。銀行預金の金利がほぼゼロに近い現在、あまり実感しにくいかもしれませんが、長期間にわたって一定の利回りで運用し続けると、この仕組みが静かに、しかし確実に機能し始めます。最初の数年は「大してわからない」のですが、10年、15年と経つうちに、その差は無視できないものになっていきます。

派手ではありません。劇的でもありません。ただ、時間をかけることで初めて意味を持つ仕組みです。

少額でも、意味はあった

私が当時の記事を読んで最初に感じたのは「月数千円からでも始められる」という事実でした。大金が必要だと思い込んでいた自分には、それだけで十分な驚きでした。

少額から始めることの本質は、お金を増やすことよりも「投資というものに慣れる経験を積む」ことにあります。市場が下がったとき、自分がどう感じるか。それを少額で体験しておくことは、長く続けるためにとても重要でした。


20代で無理に始めなくてもいい理由

ここで少し立ち止まって、正直なことを言いたいと思います。

20代で投資を始めないことは、決して間違いではありません。

生活が不安定な時期は、生活の安定を優先すべきです。 毎月の収入が読めない、いつ転職するかもわからない、引越しの予定がある——そういう時期に、お金を動かすことは必ずしも賢明ではありません。投資に回すお金は、当面使う予定のないお金でなければならないからです。

20代にしかできない自己投資があります。 スキルを磨く、経験を積む、人脈をつくる。こうした投資は、将来の収入そのものを引き上げる可能性があります。お金を市場に入れるより、自分に入れる方が効果的な時期は確実に存在します。

心が追いつかないなら、待っていいのです。 仕組みを理解しないまま始めることほど危ないことはありません。不安を抱えたまま投資を続けることは精神的に消耗しますし、下落時に感情的な判断をしやすくなります。「よくわからないけどやってみる」は、投資においてはあまり勧められない出発点です。


それでも20代のうちに知っておいてほしいこと

投資は才能じゃない

私はチャートを読めません。銘柄分析も得意ではありません。経済の専門家でも何でもありません。それでも18年間、インデックス投資を続けられています。

インデックス投資とは、特定の市場全体に連動するように設計された金融商品に投資することで、個別の企業を選ぶのではなく「市場全体」を買うイメージに近いものです。専門的な知識がなくても始められるように設計されています。

私が投資を始めるうえで重要だと感じたのは、「アセットアロケーション」「バイアンドホールド」「コストの重要性」の3つでした。少し噛み砕くと、どんな資産をどんな割合で持つか決めること、買ったら基本的に売らないこと、手数料が低い商品を選ぶこと——この3つです。難しくありません。ただし、シンプルに聞こえても、実践では「続けること」が一番難しいのです。

大金は必要ない

繰り返しになりますが、投資は大金がなければできないわけではありません。大切なのは金額より期間です。

「続けられる仕組み」が大事

私がリーマンショック(2008年の世界的な金融危機)、東日本大震災、コロナショックを経験しても投資を続けられた理由は、「見なくてもいい仕組みにしていたから」だと思っています。積立設定をしたら、ほぼ見ない。投資していることを忘れるくらいの距離感で付き合ってきました。

派手に増やそうとしない。頻繁に口座を確認しない。それが私にとっての「続けられる仕組み」でした。


投資を始めないと決めた20代がやるべきこと

今は始めないと決めた人に、それでもやれることがあります。

支出を把握すること。 自分が毎月何にいくら使っているかを知ることは、投資を始めるうえでも基礎になります。お金の流れが見えていない状態で投資を始めるのは、地図なしで旅に出るようなものです。

貯金の習慣を持つこと。 投資を始めるには「当面使わないお金」が必要です。その準備として、貯金の習慣は確実に役立ちます。収入の一部を先に分けておく「先取り貯金」の考え方は、のちに積立投資の習慣にそのまま応用できます。

お金の知識を少しずつ持つこと。 本を1冊読む、信頼できる情報源を1つ見つける——それだけで十分です。知識は行動より先に積めますし、知っているだけで判断の質が変わります。


まとめ|20代のあなたへ

始めるかどうかは、皆さんが決めることです。

私が言えるのは、「知っておくこと」と「始めること」は別だということです。今すぐ動く必要はありません。ただ、「投資というものがある」「時間には価値がある」「怖いと思っていたものが、案外シンプルかもしれない」という感覚だけでも、20代のうちに持っておいてほしいのです。

私が18年間投資を続けてこられたのは、偶然読んだ雑誌の記事がきっかけでした。皆さんにとってのその「記事」が、もしこの文章であれば嬉しいです。そうでなくても、いつかどこかで「そういえば」と思い出してもらえれば、それで十分です。

30代になったとき、「あのころ少し考えておいてよかった」と思える自分でいてほしい。それだけです。

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