【投資初心者向け】もう米国一択じゃない!2025年からの「国際分散投資」入門

インデックス投資の心得

NISAを始めたばかりの方も、少し投資に慣れてきた方も、「投資といえばアメリカ株」というイメージをお持ちではないでしょうか。たしかに、ここ数年はアメリカ株、特にハイテク企業に投資をすることが一つの正解のような時代でした。

しかし、2025年に入り、その常識が少しずつ変わり始めています。今回は、最近話題のニュース「国際分散投資のススメ(世界が多極化する中、投資も多極化へ)」を基に、これからの新しい投資の考え方について、初心者の方にも分かりやすく解説していきますね。

今回は下記の記事を参考にしました!

国際分散投資のススメ(世界が多極化する中、投資も多極化へ) | トウシル 楽天証券の投資情報メディア
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。著者の今中 能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。「国際分散投資のススメ(世界が多極化する中、投資も多極化へ)」毎週月曜日午後掲載本レポートに掲載し…

なぜ今「国際分散投資」?世界は”多極化”の時代へ

まず、今回ご紹介するニュースのポイントは、「世界がアメリカ一極集中から”多極化”に向かっているため、投資も世界中に目を向けましょう」ということです。

2025年1月にアメリカでトランプ大統領が就任して以来、世界のルールが大きく変わろうとしています。さらに、中国からは素晴らしい性能の生成AI「DeepSeek」が登場し、「AIはアメリカが最強」というイメージも揺らぎ始めています。

これは、投資家にとって「今までのやり方で大丈夫だろうか」と考え直す、大きなきっかけになる出来事ですね。

「多極化(たきょくか)」という言葉は難しく聞こえるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

  • これまでの世界:アメリカという圧倒的なリーダー(一極)がいて、経済も技術も政治も、世界中を引っ張っていた状態です。
  • これからの世界:アメリカだけでなく、中国やヨーロッパ、そして日本のような国々(多極)が、それぞれ力をつけて存在感を増していくイメージです。

これは、クラスに一人のカリスマ的な学級委員長がいた状態から、様々なグループがそれぞれ活躍し始めるようなイメージでしょうか。

この世界の大きな変化に合わせて、ぼくたちの投資も「アメリカだけ見ていれば良い」という考えから、「世界地図を広げて、様々な国の良いところを探す」スタイルに変えていく必要があります。これが、今回お話しする「国際分散投資」の基本的な考え方です。

実際に、2025年に入ってからの株価の動きを見ると、アメリカの株価指数が年初の水準にやっと戻ってきたのに対し、香港(中国)やドイツ(ヨーロッパ)の株価指数はより早く回復し、一時は大きく上回っていました。

これはまさに、世界のお金の流れが変わり始めているサインかもしれませんね。

大注目の中国!AIと半導体で大化けする可能性

「多極化」の主役の一人として、今、世界中が注目しているのが中国です。

そのキッカケとなったのが、2025年1月に登場した生成AI「DeepSeek」。このAIのすごい点は、なんとアメリカの有名AIの半分以下のコストで、非常に高性能なものが作れてしまったということなのです。

これは、中国の技術力がぼくたちの想像以上に高くなっている証拠です。安いコストでAIを開発できるなら、これから中国ではAIを使った新しいサービスが爆発的に増えるかもしれませんね。プログラミングや広告の世界では、すでにDeepSeekが浸透し、仕事のやり方が大きく変わっているようです。

もちろん、良い点ばかりではありません。DeepSeekには、「ユーザーの個人情報を中国政府に提供しているのではないか」という懸念の声もあがっています。中国の法律では、政府から要請があれば企業は情報を提供しなければならないルールがあるため、これは投資する上で知っておくべきリスクですね。

そして、もう一つの大きな課題が「半導体」です。

AIを動かすには、「AI半導体」という超高性能な部品が絶対に必要ですが、これは今までほとんどアメリカの企業が作っていました。しかし、アメリカが中国への輸出を厳しくしたため、中国はこれを自前で作らなければならなくなりました。

現在、中国のハイテク企業ファーウェイが、このAI半導体を自国で製造するために巨大な工場を建設中だそうです。もしこれが成功すれば、中国は「AI」と「半導体」という、未来の産業の両輪を手に入れることになります。これは、中国経済がもう一段階大きく成長する、とてつもないポテンシャルを秘めているということです。

「でも、中国のどの会社に投資すればいいか分からない…」と思いますよね。そんな初心者の方におすすめなのが、ETF(上場投資信託)です。

ETFは、たくさんの会社の株を詰め合わせた「お弁当パック」のようなものです。一つ買うだけで、手軽に分散投資ができます。

  • グローバルX MSCI 中国 ETF(3040、香港):中国の様々な業種の会社、約560社にまとめて投資できるETFです。中国全体の成長の波に乗りたい方向けと言えるでしょう。
  • グローバルX チャイナテック ETF(380A、東証):中国のハイテク企業30社に絞って投資できるETFです。AIや半導体の成長に期待するならこちらでしょう。

中国はまだ未知数な部分も多いですが、その分、大きな変化と成長が期待できる、非常にエキサイティングな投資先です。

意外な伏兵?軍備増強でアツいヨーロッパ市場

次に注目したいのが、ヨーロッパです。アメリカ、中国に比べると少し地味な印象かもしれませんが、今、大きな変化が起きています。

キッカケは、アメリカのトランプ大統領が「ヨーロッパの防衛は、ヨーロッパ自身で行うべきだ」と発言したことでした。これを受けて、ヨーロッパの国々は「自分たちの国は自分たちで守らなければ」と、防衛に使うお金(防衛予算)を大幅に増やすことを決めました。

EU(欧州連合)全体で、なんと最大で135兆円もの資金を防衛力強化に投入する計画を発表しており、その本気度がうかがえますね。

この動きを受けて、株価が急上昇しているのが「防衛関連企業」です。戦闘機や戦車、ミサイルなどを作っている会社ですね。

例えば、ドイツのラインメタルという会社の株価は、2025年に入ってたった数ヶ月で約3倍にもなりました。他にも、イギリスのBAEシステムズ、フランスのタレスといった会社の株価も絶好調です。この防衛関連株の人気が、市場全体を引っ張る形で、ヨーロッパ各国の株価指数も上昇しています。

特に好調なのが、ヨーロッパ最大の経済大国であるドイツの株価指数「DAX(ダックス)指数」です。

ただし、少し注意したいのは、株価が急に上がりすぎて、割高になっている可能性がある点です。例えば、PER(株価収益率)という、会社の利益に対して株価が割高か割安かを示す指標があります。これが高いほど人気で期待されている証拠ですが、過熱気味のサインでもあります。ドイツのラインメタルのPERは100倍を超えている状況です。

とはいえ、これからのヨーロッパの変化の大きさを考えると、投資先として見逃せない存在であることは間違いないでしょう。

ヨーロッパへの投資も、まずはインデックスに連動するETFから始めるのが簡単です。

  • グローバルX DAX ドイツ株式ETF(DAX、NASDAQ)
  • インデックスファンドDAX(ドイツ株式)

これらのETFは、好調なドイツのDAX指数に連動するように作られていますので、ヨーロッパ市場の変化を捉える第一歩として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

やはり安心?日本の魅力と米国の新たな可能性

ここまで中国、ヨーロッパと見てきましたが、ぼくたちが住んでいる日本も、国際分散投資をする上で非常に重要なピースになります。

日本の株式市場の魅力は、なんといってもその多様性です。

  • 世界トップクラスのハイテク企業:アドバンテストや東京エレクトロンなど。
  • 世界を熱狂させるエンタメ企業:任天堂やソニーグループなど。
  • 世界中で活躍する金融機関や商社:三菱UFJや三菱商事など。

このように、ハイテク成長株から、安定した配当が魅力の高配当株まで、あらゆるタイプの優良企業が揃っています。これは、ご自身の投資スタイルに合わせて、様々な戦略を「円建て」で組めるという大きなメリットです。

さらに、日本株は「代替投資先」としても非常に面白い存在です。

例えば、「中国のAIと半導体の成長に期待したいが、直接中国株を買うのは少し不安…」と思うことはありませんか?

そんな時、思い出していただきたいのが、先ほど登場したアドバンテストです。もし中国がAI半導体の量産に成功すれば、その性能をチェックするためのアドバンテストの検査装置が絶対に必要になります。つまり、「中国の成長に期待して、日本の関連企業に投資する」という戦略が取れるのです。

「では、もうアメリカ株は終わりなの?」と思われるかもしれませんが、それは大きな間違いです。

たしかに、これまでは「マグニフィセント7」と呼ばれる巨大ハイテク企業群が世界経済を牽引してきました。しかし、アメリカの魅力はこの7社だけではありません。

アメリカには、この7社以外にも、世界を変えるようなサービスを生み出す成長企業や、何十年も安定して配当を出し続けている優良企業が数多く上場しています。情報開示がしっかりしていて、投資家にとって透明性が高いのも魅力ですね。

これからは、有名どころに集中投資するだけでなく、ご自身だけの「お宝銘柄」を見つけ出す楽しみが、アメリカ株投資にはあります。

今日から始める!国際分散投資の具体的なステップ

さて、いよいよ最後のまとめです。ここでは、具体的にどうやって「国際分散投資」を始めたら良いのか、そのステップを見ていきましょう。

国際分散投資を始めるときに、まず考えるのが「ポートフォリオ」を作ることです。

ポートフォリオとは、ご自身が保有する金融資産(株、投資信託、現金など)の組み合わせのことです。国際分散投資のポートフォリオは、「どの国の資産を、どれくらいの割合で持つか」を考えることから始まります。

配分に絶対の正解はありませんが、考え方としてはいくつかパターンがあります。

  • 均等配分パターン:米国25%、日本25%、中国25%、欧州25%のように、均等に分ける考え方です。分かりやすく初心者の方にもおすすめです。
  • 日米重視パターン:投資先の種類が豊富な米国と日本を多めにして、米国30%、日本30%、中国20%、欧州20%のようにする考え方です。

「配分は決めたけれど、具体的に何を買えばいいの?」となったら、やはりインデックス連動型の投資信託やETFが最初の選択肢になるでしょう。これらを組み合わせることで、専門家でなくても、簡単に世界中に分散されたポートフォリオを作ることができます。

最後に、非常に大切なことをお伝えします。

世界は常に変化しているため、国ごとの経済成長率や金利も変わっていきます。そうすると、株価の動きも当然変わってきますね。

ですから、1〜2年に1回くらいは、ご自身のポートフォリオを見直すことが大切です。「この国の割合が増えすぎたから、利益が出ている分を売って他の国に振り分けよう」「新しい有望な投資先が出てきたから乗り換えてみよう」といったように、定期的にメンテナンスをしてあげる必要があります。

この「見直し」こそが、変化の激しい多極化の時代を乗りこなすためのカギになります。

まとめ:変化の時代を乗りこなす、新しい投資の羅針盤

さて、今回は「国際分散投資」をテーマに、2025年からの新しい投資の世界地図についてお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。

ポイントをもう一度おさらいしますね。

  • 世界は多極化へ:これまでの「アメリカ一択」から、中国・ヨーロッパ・日本など、世界中に投資のチャンスが広がっています。
  • 各地域の魅力:中国はAIと半導体、ヨーロッパは防衛産業、日本は多様な優良企業と代替投資先としての魅力、そしてアメリカも新たな可能性に注目しましょう。
  • 始め方:まずはポートフォリオ(国・地域の配分)を考え、手軽なETFから始めてみるのがおすすめです。
  • 大切な心構え:国際分散投資では定期的にポートフォリオを見直して、世界の動きに合わせてメンテナンスしていきましょう。

投資の世界は、世界情勢の変化をダイレクトに映し出す鏡のようなものです。こうやって世界の動きと自分のお金を結びつけて考えると、ニュースを見るのがもっと面白くなるはずです。

「国際分散投資」は、これからの変化の激しい時代を賢く乗りこなすための、強力な羅針盤になってくれるでしょう。まずは少額からでも、世界に目を向けた投資の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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