【投資初心者向け】「ステーブルコイン」が金融の常識を覆す!米国の本気と日本の遅れから学ぶ、新しい資産の守り方・増やし方

投資ニュース解説

「投資を始めたいけど、何だか難しそう…」

「最近よく聞く『仮想通貨』って、結局よくわからない」

と感じている方も多いのではないでしょうか?

特に最近、「ステーブルコイン」という言葉をニュースでよく見かけませんか? 実は今、このステーブルコインを巡って、世界のお金のルールが根底から変わるかもしれない、大きな動きが起きているんです。先日、こんなニュースが報じられました。

仮想通貨の神学論争、ステーブルコインの次は 証券か商品か決着へ - 日本経済新聞
「我々も米国でステーブルコインの事業をできないだろうか」。デロイトトーマツグループで、暗号資産(仮想通貨)を担当する斉藤洸ディレクターには日本の大手金融機関などからの問い合わせが相次ぐ。自らステーブルコインを発行したり、カストディー(保管)...

「ステーブルコイン?」「法律?」「巨大銀行が参入?」 なんだか難しそうな言葉が並んでいますが、心配しないでください。この記事を読み終わる頃には、このニュースが意味すること、そして、それが私たちの未来の資産形成にどう関わってくるのかが、きっと理解できるようになっています。

これは、遠い国の難しい経済の話ではありません。あなたが普段使っている「円」や「ドル」のあり方、銀行の役割、そして資産の守り方や増やし方の常識が、ガラッと変わる可能性を秘めた、とても大切な話なんです。

既成概念に縛られず、消費者・投資家である私たち自身の目線で、この大きな変化の波を一緒に見ていきましょう!

そもそも「ステーブルコイン」って何?ビットコインと何が違うの?

まず、基本中の基本からおさえましょう。「ステーブルコイン」とは、一体何者なのでしょうか?

一言でいうと、「価格が安定するように設計された仮想通貨」のことです。 「え、仮想通貨って価格が激しく上下するものじゃないの?」と思ったあなた、正解です!

ビットコインはジェットコースター、ステーブルコインは普通列車

皆さんが仮想通貨と聞いて真っ先に思い浮かべるビットコインは、1日で価格が10%以上も動くことがある、まさに「ジェットコースター」のような資産です。高いリターンが狙える反面、大きなリスクも伴います。これでは、今日のランチ代を支払おうとしたら、昨日よりずっと高くなっていた…なんてことが起こりかねず、日常的な支払い(決済)には使いにくいですよね。

一方、ステーブルコインは、米ドルや日本円といった、私たちが普段使っている法定通貨(ほうていつうか)と価格が連動するように作られています。例えば、「1USDC(代表的な米ドルステーブルコイン)=約1ドル」「1JPYC(円建てステーブルコイン)=約1円」といった具合に、価値がほぼ固定されているんです。これはまるで、決まった路線を安定して走る「普通列車」のようです。

なぜステーブルコインが世界を変えるの?

価格が安定しているなら、別に今の円やドルでいいじゃないか、と思いますよね。しかし、ステーブルコインには、既存の金融システムが抱える問題を解決する、とてつもない可能性があるんです。

一つは、圧倒的に速くて安い国際送金です。 海外に住む家族にお金を送る時、銀行を通すと数日かかったり、高い手数料を取られたりしますよね。ステーブルコインを使えば、インターネットを通じて、世界中のどこへでも、わずか数分、数円~数十円の手数料で送金できてしまいます。世界の国際送金市場は4.4京円にもなると言われており、このインパクトは計り知れません。

もう一つは、新しい金融サービス(DeFi)への扉です。 ステーブルコインは、「DeFi(ディーファイ:分散型金融)」と呼ばれる、銀行などの中央管理者を介さない新しい金融サービスの世界で、基軸通貨のように使われています。自分のステーブルコインを貸し出して利息を得たり、異なる仮想通貨と交換したりと、これまでの金融の常識では考えられなかったような資産運用が可能になります。

つまり、ステーブルコインは「仮想通貨の便利な部分(速さ・安さ)」と「法定通貨の信頼性(価格の安定)」をイイとこ取りした、まさに未来のお金の形なのです。だからこそ、世界中の金融機関が無視できない存在になっているわけですね。

アメリカが金融の未来を決める?知っておきたい2つの重要法案

そんな可能性を秘めたステーブルコインですが、これまでは「本当に信頼できるの?」「法律的に大丈夫なの?」といった不安の声も多くありました。そこで、金融の最先端を走るアメリカが、いよいよ本腰を入れてルール作りに乗り出しました。ここで鍵となるのが2つの法案です。

ジーニアス法:ステーブルコインに「お墨付き」を与える法律

ニュースにもあった「ジーニアス法」は、ステーブルコインの信頼性をガッチリ保証するための法律です。ポイントは2つ。

  1. 発行できるのは認可された事業者だけになること。 誰でも自由に発行できた状態から、国(米当局)が認めた、信頼できる会社しか発行できなくなります。
  2. 必ず「裏付け資産」を持つことを義務化すること。 発行したステーブルコインと同額の米ドルや米国債を、必ず準備金として保有しなければなりません。これにより、「1コイン=1ドル」という価値の裏付けが、国によって保証されることになります。

これは例えるなら、国が「このステーブルコインは、ちゃんと現金と交換できることを保証しますよ」というお墨付きを与えたようなものです。この安心感が生まれたことで、これまで様子見していたJPモルガンのような超大手銀行も、「これなら安全だ!」と事業に参入し始めたのです。

クラリティー法案:「証券 vs 商品」論争に終止符を打つ?

そして、もう一つが仮想通貨業界全体を揺るがす「クラリティー法案」です。 これは、長年続いてきた「仮想通貨は『証券(株)』なのか?それとも『商品(コモディティ)』なのか?」という神学論争に、一つの答えを出そうというものです。

「どっちでもいいじゃん…」と思うかもしれませんが、これは投資家にとって天と地ほど違う、超重要な問題なんです。

証券(株など)の場合、監督するのはSEC(米国証券取引委員会)という、投資家保護を第一に考える超厳しい組織。上場企業の株式と同じように、厳しい情報開示や規制が課せられます。 一方、商品(金や原油など)の場合、監督するのはCFTC(米国商品先物取引委員会)。SECほど規制は厳しくなく、より市場の自由な発展が期待できます。

これまでは、ビットコイン以外の多くの仮想通貨(アルトコインと呼ばれます)が「証券かもしれない」というグレーな状態だったため、年金基金や資産運用会社といった機関投資家たちは、訴訟リスクを恐れてなかなか手を出せませんでした。

しかし、このクラリティー法案によって、多くのアルトコインが「商品である」と明確に位置づけられれば話は別です。機関投資家という”クジラ”たちが、安心して市場に参入できるようになり、莫大な資金が流れ込んでくる可能性があります。これは、ビットコインやイーサリアム以外の仮想通貨にも、大きなチャンスが生まれることを意味しているのです。

「すべてが遅い」…日本の仮想通貨規制の現状と私たちへの影響

世界、特にアメリカがこれほどダイナミックに動いている中、私たちの国、日本はどうなのでしょうか? 残念ながら、ニュースでSBIホールディングスの北尾会長が「日本はすべてが遅い」と述べたように、周回遅れの感は否めません。

もちろん、日本も手をこまねいていたわけではありません。2023年6月には、ステーブルコインのルールを定めた改正資金決済法が施行されました。しかし、実際に円建てのステーブルコインが広く使われるようになるまでには、まだ時間がかかりそうです。法律の施行から承認まで2年もかかったという事実が、そのスピード感の遅さを物語っています。

日本の投資家にとって、この「遅れ」は具体的にどのようなデメリットをもたらすのでしょうか?

一つ目は、税金の問題です。 日本では、仮想通貨で得た利益は「雑所得」として扱われ、給与所得などと合算して税金が計算されます。所得が多い人だと、最大で利益の約55%も税金で持っていかれてしまいます。一方、アメリカや他の多くの国では、株と同じ「申告分離課税」で、税率は20%程度です。これでは、日本で積極的に仮想通貨へ投資しようという意欲が削がれてしまいますよね。

二つ目は、金融商品の選択肢が少ないことです。 アメリカではすでに、ビットコインの価格に連動するETF(上場投資信託)が承認され、多くの投資家が証券口座を通じて手軽にビットコインへ投資できるようになっています。しかし、日本ではまだ承認されていません。新しい資産クラスへのアクセスが、制度によって制限されてしまっているのです。

なぜ、日本ではこれほどまでにルール作りが遅れてしまうのでしょうか。 一つには、既存の金融機関や省庁の利害関係が複雑に絡み合い、新しい変化への抵抗が強いという側面があるのかもしれません。しかし、その結果、不利益を被るのは、新しい技術の恩恵を受けられず、国際競争から取り残されてしまう一般の消費者や投資家です。

私たちは、ただ「国がやってくれない」と嘆くだけでなく、「なぜ私たちのための便利な仕組みが、すぐ導入されないのだろう?」と声を上げ、既成概念にとらわれない新しい金融制度を求めていく視点が、今こそ必要とされているのではないでしょうか。

未来の波に乗るために、投資家として今からできること

ここまで、ステーブルコインを巡る世界の大きな変化と、日本の現状について見てきました。 「何だか大変なことになっているのはわかったけど、じゃあ自分はどうすればいいの?」と感じているかもしれません。

投資初心者の方が、この大きな波に乗り遅れないために、今からできることを3つのステップで考えてみましょう。

1. まずは「知る」ことから始める

何も、いきなり大金を投じる必要はありません。まずは、この世界で何が起きているのか、情報収集を始めることが第一歩です。今回ご紹介した「ステーブルコイン」「DeFi」「クラリティー法案」といったキーワードを、少しずつでいいので調べてみてください。金融庁や、信頼できる金融機関、経済ニュースサイトなどから情報を得る習慣をつけることが大切です。不確実な時代だからこそ、誰かの情報を鵜呑みにするのではなく、自分で学ぶ姿勢が、あなたの資産を守る最強の武器になります。

2. 新しい技術に「触れてみる」

もし余剰資金があれば、ごく少額で仮想通貨の世界に触れてみるのも良い経験になります。例えば、国内の仮想通貨取引所に口座を開設し、数百円分のステーブルコインやビットコインを買ってみる。実際に送金を体験してみると、そのスピードや手数料の安さに驚くはずです。リスクを理解した上で、小さな一歩を踏み出すことで、ニュースで語られていることが、より自分事として理解できるようになります。

3. 古い常識を「疑ってみる」

今回の話で一番大切なのは、「これまで当たり前だった金融の常識は、未来も当たり前とは限らない」という視点を持つことです。銀行にお金を預けておけば安心、という時代は終わりつつあるのかもしれません。ステーブルコインや仮想通貨は、まだ発展途上の技術であり、リスクも存在します。しかし、それらを毛嫌いするのではなく、新しい資産の選択肢の一つとして、冷静にその可能性とリスクを見極めることが重要です。アメリカのクラリティー法案が可決されれば、今まで見向きもされなかったアルトコインが、将来有望な投資対象として脚光を浴びる日が来るかもしれません。

この変化は、一部の専門家や投資家だけのものではありません。私たち一人ひとりの「お金」との付き合い方を、根本から変える大きなうねりなのです。

まとめ

今回は、「ステーブルコイン」を切り口に、今まさに起ころうとしている金融の大変革について解説しました。

ステーブルコインは、価格が安定した便利な仮想通貨で、送金や決済の常識を覆す可能性を秘めています。 アメリカでは「ジーニアス法」や「クラリティー法案」といったルール作りが急速に進み、大手金融機関や機関投資家が本格参入する土壌が整いつつあります。 一方、日本は規制や税制面で世界から遅れをとっており、私たち投資家が不利益を被っている側面もあります。 この変化の時代を生き抜くには、古い常識にとらわれず、自ら学び、新しい技術に触れ、未来の選択肢を冷静に見極める視点が不可欠です。

変化のスピードは、私たちの想像以上に速いかもしれません。銀行に手数料を払って送金することが時代遅れになり、個人が国境を越えて自由に金融サービスへアクセスする未来は、もうすぐそこまで来ています。

この大きな波を、ただ眺めているだけの人になるか、それとも、小さなサーフボードで果敢に乗りこなそうと挑戦する人になるか。 未来の選択は、今日のあなたの小さな一歩にかかっています。まずは情報収集から、新しいお金の世界を覗いてみてはいかがでしょうか?

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