ステーブルコインは「日常のお金」になれるか?4,600人調査が示す普及の実態と課題

投資ニュース解説

その調査、知ってる?ステーブルコインが「投資」から「生活」へ変わりつつある

みなさん、「ステーブルコイン」という言葉を聞いたことはありますか?「仮想通貨のことでしょ?なんか難しそう…」と感じる方も多いかもしれません。でも実は、ステーブルコインはビットコインのように値段がドカンと上がったり下がったりするものではなく、「価値が安定したデジタルなお金」として、世界中でじわじわと日常生活に浸透しつつあるんです。

2025年、企業向けにステーブルコインのインフラを提供するBVNKという会社が、市場調査会社YouGov・コインベース・Artemisと共同で、世界15カ国・4,658人を対象にした大規模な「ステーブルコイン実用性レポート」を発表しました。この調査は2025年9月〜10月に実施されたもので、仮想通貨を保有している、または保有予定のある人たちから回答を得たものです。

その結果、驚くべき事実が明らかになりました。ステーブルコインはもはや「投資家だけのもの」ではなく、給与の受け取りや日常の決済、国際送金など、リアルな生活の中で使われ始めているというのです。

ステーブルコインは「日常のお金」になれるか? 4600人調査が示す普及の実態と課題(CoinPost) - Yahoo!ファイナンス
BVNKとYouGovが15カ国4,658人を対象に実施した調査から、ステーブルコインの日常利用が拡大している実態が明らかになった。フリーランサーの収入35%がステーブルコインで受領される一方、取り消し不能な支払いリスクやUXの複雑さが普及...

今回は、その調査結果をわかりやすく解説しながら、「ステーブルコインって結局、私たちの生活とどう関係があるの?」という疑問にお答えしていきます。投資初心者の方にも読みやすい内容にしていますので、ぜひ最後までお付き合いください!

そもそもステーブルコインって何?ビットコインとどう違うの?

まず基本から確認しましょう。「ステーブルコイン」とは、価格が安定するように設計されたデジタル通貨のことです。「ステーブル(Stable)」は英語で「安定した」という意味。名前の通り、値段が安定しているのが最大の特徴です。

ビットコインやイーサリアムといった一般的な仮想通貨は、1日で価格が10〜30%も変動することがあります。投資としては魅力的な反面、「今日100円で買ったものが、明日は80円になってしまう」というリスクがあるため、普段使いのお金としては使いにくいのが現実でした。

一方、ステーブルコインは主に米ドルや日本円といった法定通貨に価値を連動させています。たとえば「1USDT(テザー)= 1米ドル」という感じで、価値が固定されているので、普通のお金感覚で使えるわけです。

主なステーブルコインの種類(簡単まとめ):

名前連動する通貨特徴
USDT(テザー)米ドル世界最大。時価総額は約28兆円(2025年時点)
USDC米ドルCircle社発行。透明性が高く機関投資家に人気
JPYC日本円2025年10月に正式発行開始。国内で注目急上昇

ステーブルコインの世界市場は急拡大しており、2025年10月1日時点での発行残高は2,800億ドルにまで増加しています。日本円に換算すると約40兆円超という巨大規模です。これはもはや、ニッチな投資商品の話ではありません。

日本でも変化が起きています。JPYCは資金決済法に基づく「電子決済手段」として2025年10月に正式提供が開始され、Web3関連事業者や法人による利用が進んでいます。

4,600人の調査が明かした「ステーブルコイン利用の最前線」

では、今回のBVNKの大規模調査で何がわかったのでしょうか?特に注目すべき数字を見ていきましょう。

「持つ人」がどんどん増えている

調査によると、回答者の半数が過去12カ月以内にステーブルコインの保有量を増やしたと答えています。また、56%が「今後1年間でさらに増やす予定」とのこと。まだ持っていない人の中でも13%が「これから持つ」と答えています。

つまり、保有者は着実に増え続けており、しかも「もっと使いたい」という前向きな意欲があることがわかります。

新興国では「ほぼ必須のツール」になっている

特に注目すべきは、発展途上国での普及ぶりです。ナイジェリアと南アフリカでは、回答者の約80%がすでにステーブルコインを保有しており、75%以上が2026年中にさらに保有を増やすと答えています。

なぜここまで普及しているのでしょうか?それは、自国の通貨が不安定だったり、銀行口座を持てない人が多かったり、海外送金の手数料がとんでもなく高かったりするからです。

ナイジェリアでは、なんと95%の人が自国通貨ナイラよりもステーブルコインでの支払いを好むと答えています。これは驚くべき数字です。通貨の信頼性が低い国では、ステーブルコイン(特に米ドル連動型)が事実上の「安心できるお金」として機能しているわけです。

フリーランサーやギグワーカーがすでに活用中

もう一つ興味深いのが、フリーランサーやギグワーカー(単発の仕事をする人たち)の活用事例です。

ステーブルコインで報酬を受け取るフリーランサー・ギグワーカーは、収入の約35%をステーブルコインで受け取っているという結果が出ています。また、調査対象のフリーランサー・ギグワーカーのうち、73%が「国際的な仕事をする能力が向上した」と回答。46%はさらに「大幅な改善」と高く評価しています。

たとえば、日本に住みながらアメリカのクライアントから仕事を受けるフリーランサーを考えてみてください。従来は銀行の国際送金で数千円の手数料がかかり、数日かかるのが当たり前でした。ステーブルコインなら、手数料は数円〜数十円程度、しかも数分で完了します。これは革命的な変化です。

銀行・フィンテックへの期待と、「使いたい!」のに使えないギャップ

調査からはもう一つ、重要なことがわかりました。ステーブルコインを使いたい人は多いのに、まだ「使える場所」と「使いやすさ」が追いついていないという現実です。

銀行アプリで使えたら77%が使いたい!

今のところ、ステーブルコインを取得・管理する方法として最も多いのは、46%が選んだ「中央集権型取引所(コインベースやbitFlyerのような仮想通貨取引所)」の利用です。

でも、77%の人は「銀行アプリやフィンテックアプリでステーブルコインウォレットが開設できるなら使いたい」と答えています。また、ステーブルコイン利用者の71%は「ステーブルコイン連動型デビットカード」を使いたいと答えています。

これが意味するのは、ユーザーはすでにステーブルコインを信頼しており、あとは「いつも使っている銀行やアプリで使えれば」という段階まで来ているということです。

「使いたい気持ち」と「実際の利用」のギャップ

レポートで特に強調されているのが、「使いたいという意向」と「実際の利用」の間の大きなギャップです。

たとえば家・車・旅行といった大きな買い物については、現在ステーブルコインで支払っている人は28%ですが、使いたいと思っている人は42%もいます。

日常の決済やNetflix・Appleなどのサブスクリプション支払いについても、全体の46%がステーブルコインを使いたいと答えています。

このギャップの原因としてレポートが指摘しているのは、主に2つです。

① 受け入れ場所が少ない — まだステーブルコインで支払いができる店やサービスが限られている ② 使いにくさ — 操作が複雑だったり、取り消しができない決済リスクなどへの不安

利用者が感じる不満としては、「支払いを取り消せないことへの不安(30%)」と「手順の煩雑さ(22%)」が上位に挙げられています。

また、ステーブルコインに決済対応していることで、保有者の2人に1人が「そのサービスや店を選んだ経験がある」とも答えています。つまり、ステーブルコイン対応は新規顧客を引き付ける強力な武器になり得るということです。

手数料・セキュリティ・アクセスのしやすさが普及を後押し

普及が進んでいる理由としては、手数料の安さ(30%)・セキュリティ(28%)・グローバルなアクセスのしやすさ(27%)が三大要因として挙げられています。

クレジットカード決済(2〜3%)や国際送金(20〜50ドル以上)に比べて、ステーブルコインの送金手数料は非常に低く、数円〜数十円程度に抑えられます。このコスト優位性が、特にコストに敏感な新興国や個人事業主に刺さっているわけです。

2025〜2026年のステーブルコイン、投資家はどう向き合うべきか?

では、投資初心者の方は、このステーブルコインの潮流をどう捉えればいいのでしょうか?いくつかの視点で整理してみましょう。

規制整備が進み、「安心して使える環境」が整いつつある

2025年は、ステーブルコインにとって規制面での大きな転換点となりました。

米国では「GENIUS法」が成立し、ステーブルコイン発行者への監督体制が整備されました。欧州でもMiCA規制が施行され、準備金の透明性が強化されています。日本でも2023年の資金決済法改正を経て、2025年10月にJPYCが正式発行され、法人決済やWeb3事業との連携が活発化しています。

規制が整うことは、利用者にとっては「安心して使える」というプラス要因です。逆に、規制が整備されていないステーブルコインには慎重になる必要があります。

ステーブルコインは「投資対象」ではなく「インフラ」として見よう

ここが大切なポイントです。ステーブルコインは、ビットコインやイーサリアムのように「値上がりを期待して買う」ものではありません。1ドル連動のUSDTは、どれだけ時間が経っても基本的に1ドルのままです。

つまり、ステーブルコインは「お金を動かすためのインフラ(道具)」として考えるのが正しい見方です。送金・決済・資産保全のツールとして活用するもので、それ自体が何倍にもなることを期待するのは違います。

投資初心者の方へのアドバイスとしては、こう考えてみてください。

「ステーブルコインを直接買って儲ける」というより、「ステーブルコインが普及することで恩恵を受ける企業(取引所、フィンテック企業、決済インフラ企業など)への投資を検討する」

たとえばUSDCを発行するCircle社は、2025年6月のIPOで株価が当初の公募価格から675%上昇するという大成功を収め、規制への楽観的な見方と市場の期待の高さを示しました。

日本のステーブルコイン事情と今後の展望

日本では、三菱UFJ信託銀行をはじめとした大手金融機関がステーブルコイン発行に向けた動きを進めており、メルペイやPayPayなどの身近な決済サービスがUSDCに対応する可能性も報じられています。2025年は米国の暗号資産推進の流れがグローバルに波及し、日本においてもステーブルコインの本格的な台頭が期待される年と専門家も指摘しています。

「いつか使う機会が来るかもしれない」という心構えで、今から仕組みを理解しておくことは、決して無駄ではないでしょう。

まとめ:ステーブルコインは「未来のお金」から「今のお金」へ

今回のBVNKによる4,600人超の大規模調査が示したのは、ステーブルコインがすでに多くの人の日常生活に浸透しているという現実です。

特に新興国では「自国通貨よりも信頼できるお金」として使われ、フリーランサーや国際的に働く人たちにとっては「低コスト・迅速な決済ツール」として欠かせない存在になっています。

一方で、日本を含む高所得国では、「使いたい気持ちはある、でも使える場所が少ない」という段階にあります。レポートは「インフラはすでに整っている。需要も存在している。欠けているのは受け入れ体制・使いやすさ・利用者保護だ」と総括しています。

投資初心者の方に覚えておいてほしいのは、次の3点です。

  1. ステーブルコインは価格が安定したデジタルのお金 — 仮想通貨特有の価格変動リスクがほとんどない
  2. 普及の波は確実に来ている — 2025年の世界発行残高は2,800億ドル超、市場規模は着実に拡大中
  3. 「使うための道具」として理解する — 値上がり期待ではなく、送金・決済・資産管理のインフラとして捉える

ステーブルコインの世界は、今まさに大きな変革期を迎えています。この機会にぜひ基本的な仕組みを押さえておき、来たるデジタルマネー時代に備えてみてください。

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