老後資金は「貯金」より「定期収入」が正解!投資初心者が知るべき、お金と生きがいの「セカンドライフ」準備術

投資ニュース解説

「老後資金、いったいいくら貯めたらいいんだろう…」

「2000万円なんて無理!」

そんな不安を感じている投資初心者さん、多いのではないでしょうか?

でも、もし「貯金を取り崩す生活」ではなく、「毎月決まった収入が続く生活」だったら、どうでしょう?

少し、安心しませんか?

最近、ファイナンシャルプランナー(FP)の井戸美枝さんの「老後資金の準備というと『貯蓄』に目が向きがちだが、それよりも安心なのは『定期収入』の確保」という記事(PRESIDENT Online)が話題になっています。

老後資金の準備で「貯蓄」よりもっと重要…お金のプロが勧める「定年後の安定収入を手に入る3つの対策」 iDeCoをフル活用すれば10年で200万円超の節税に
安心して長生きするには老後資金をどのくらい貯蓄すればいいか。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんは「老後資金の準備というと『貯蓄』に目が向きがちだが、それよりも安心なのは『定期収入』の確保。3つの方法で準備すれば老後不安を解消できる」と...

井戸さんによると、いくら貯金があっても、それを毎月切り崩していくのは精神的に不安なもの。それは、貯蓄がいつか尽きてしまうのではないかという恐怖、いわゆる「資産寿命」への不安があるからです。それよりも、公的年金にプラスして「定期的な収入」がある方が、ずっと心穏やかに暮らせる、というのです。生活費をまかなえる程度の安定収入があれば、「資産寿命を延ばせる」わけです。

この記事では、井戸さんも推奨する「老後の安定収入を手に入れる3つの対策」を、投資初心者さんにも分かりやすく、最新の情報(※)に基づき解説していきます。(※本記事は2025年10月時点の情報を基に作成しています。)

さらに、ただお金を準備するだけでなく、「お金・健康・時間」のバランスを取りながら、自分らしいセカンドライフ(定年後の第二の人生)を見つけるヒントも一緒に考えていきましょう!

この記事を読み終わる頃には、「いくら貯めるか」という不安から、「どうやって収入を作ろうか」という前向きな準備へと、考え方が変わっているはずです。

対策①:税制優遇をフル活用して「自分年金」を作る

老後の定期収入の柱、一つ目は「自分年金」です。これは、公的年金に加えて、私たち自身で「私的な年金」を用意するということです。その最強ツールが、ニュースでも紹介されている「iDeCo(イデコ)」と「NISA(ニーサ)」です。

1. 究極の節税ツール「iDeCo」を活用する

iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は、一言でいうと「国が用意してくれた、めちゃくちゃ税金がお得になる“自分年金”づくり制度」です。井戸さんも「最優先で利用しましょう」と強く推奨しています。

iDeCoの3大メリット徹底解説

iDeCoは、投資を始める前の初心者さんでも、まず検討すべき制度です。そのお得さは他の追随を許しません。

  1. 掛金が全額「所得控除」になる(入り口の節税)これが最大のメリットです。毎月積み立てるお金(掛金)が、まるごとあなたの所得から差し引かれます。【ここがポイント:所得控除とは?】所得控除とは、税金(所得税・住民税)を計算する「もと」になる金額(所得)を減らしてくれる仕組みです。所得が減れば、払う税金も安くなります。例えば、会社員の方で毎月2.3万円(年間27.6万円)をiDeCoで積み立てたとしましょう。所得税率と住民税率の合計が20%だとすると、年間で5万5200円も税金が安くなります(27.6万円 × 20%)。ニュースにある通り、これを10年続ければ55万円以上の節税です。税金面で非常に有利なため、「今収入があって税金を納めている人」は、このメリットを最大限に享受できます。
  2. 運用で出た利益が「非課税」(運用中の節税)通常、投資信託などで利益が出ると、約20%の税金が引かれます。しかしiDeCoなら、利益は全額あなたのもの! 税金ゼロで、その利益をそのまま次の投資に回せる(複利効果)ので、お金が育つスピードが格段にアップします。これが「雪だるま式にお金が増える」秘密です。
  3. 受け取り時にも税制優遇がある(出口の節税)60歳以降にiDeCoのお金を受け取る際も、「公的年金等控除」や「退職所得控除」という大きな控除が使え、ほとんどの場合で税金がかかりません。

iDeCoの注意点と最新情報

  • 原則60歳まで引き出せない:iDeCoはあくまで「老後資金」のための制度。途中で引き出せないからこそ、確実に老後資金を作れるというメリットでもあります。
  • 加入年齢の引き上げ:ニュースにもある通り、iDeCoは今後、加入できる年齢が65歳未満から70歳未満に引き上げられる予定です(※法改正の議論が進んでいます)。これにより、長く働くことを選んだ方も、より長く節税メリットを享受しながら、老後資金を準備できるようになります。

2. 自由度No.1!「新NISA」を併用する

もう一つの強力なツールが、2024年からパワーアップした「新NISA(少額投資非課税制度)」です。

  • 運用益が「非課税」:iDeCoと同様、NISA口座で投資して得た利益にも税金がかかりません。
  • いつでも「引き出し自由」:iDeCoとの最大の違いがコレ! 老後資金のためだけでなく、「子どもの教育費」「住宅購入の頭金」など、必要な時にいつでも自由に引き出せます。
  • 非課税枠が大幅拡大:「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を合わせ、生涯で1800万円という大きな非課税投資枠が設けられました。これは、現役世代の私たちにとって、まさに「貯蓄から投資へ」という国の後押しを最大限に活かせるチャンスです。

3. 【初心者向け】iDeCoとNISA、賢い使い分けのポイント

「どっちもお得そうだけど、私はどっちがいいの?」

ニュースでも触れられている使い分けを、初心者さん向けに整理します。

  1. 最優先は「iDeCo」で税金メリットを最大化:今、所得があって税金を払っているなら、まずは「掛金の所得控除」という唯一無二の節税メリットがあるiDeCoの限度額を優先して積み立てましょう。これが老後資金の確固たる「土台」になります。
  2. 次に「新NISA」で柔軟な資産づくり:iDeCoの限度額以上に余裕資金がある場合や、「60歳まで引き出せないのは不安」という方は、新NISAを活用します。これは「老後資金の上乗せ」や「いざという時の予備資金」など、目的に合わせて柔軟に引き出せる「自分年金」となります。

老後の定期収入を増やすには、まずこの2つの制度を最大限に活用し、「自分年金」をコツコツと育てることから始めるのが王道です。

対策②:「長く働く」ことで資産寿命を延ばす

老後の定期収入の柱、二つ目は「長く働く」ことです。

「えー、定年後も働くの? しんどそう…」

そう思うかもしれません。でも、ここで言う「働く」は、現役時代のようにバリバリ働くことだけを指すのではありません。#考え方にもあるように、「健康と時間とお金のバランス」を取りながら、「自分らしく」働くことがポイントです。

1. 働くことの金銭的メリットは計り知れない

  • 貯蓄を取り崩さなくて済む:これが最大の利点です。例えば、年金だけでは毎月5万円足りない場合、働いて月5万円の収入があれば、貯蓄に一切手を付けずに生活できます。「貯蓄が減っていく不安」から解放されるのは、精神的にとても大きいです。井戸FPが提唱するように、生活費をまかなえる程度の収入があれば、「資産寿命」は劇的に延びるのです。
  • 将来の年金が「増える」:ニュースでも触れられている通り、60歳以降も会社員などとして「厚生年金」に加入して働くと、将来受け取る年金額そのものが増えます。働いて今すぐ収入を得ながら、将来の年金(定期収入)も増やせるなんて、まさに一石二鳥です。
  • 社会保険料の恩恵を受けられる:会社員として厚生年金・健康保険に加入して働けば、もしもの病気や怪我の際にも、傷病手当金などの保障を引き続き受けられる場合があります。

2. お金だけじゃない!「セカンドキャリア」で得られるもの

老後の幸福度を決めるのはお金だけではありません。セカンドライフの働き方は、「生きがい」と「健康」という、お金に換えられない資産を生み出します。

  • 健康の維持:外に出て、体を動かし、頭を使うことは、心身の健康維持に直結します。定年後に家にこもりきりになるより、「週に2〜3日だけ」「午前中だけ」といった適度な労働は、最高の健康法かもしれません。健康でいられることは、医療費の節約にもつながります。
  • 社会とのつながり・生きがい:仕事を通じて「誰かの役に立っている」と感じることや、同僚や顧客とコミュニケーションをとることは、生活にハリと「生きがい」を与えてくれます。これは、孤独になりがちな老後において、非常に大切な「時間」の資産となります。
  • 「自分らしい生き方」の実現:現役時代とは違い、セカンドライフの働き方は「収入のため」だけではありません。「若い頃にやりたかったことに挑戦する」「時給は低くても、好きな分野で働く」「地元に貢献する活動に参加する」など、お金とやりがいのバランスを取りながら、自分らしい生き方を実現できます。

65歳、70歳まで「働く」ことを、ネガティブに捉える必要はありません。それは「自分年金」と並ぶ、老後の安定した「定期収入」源であり、同時に「生きがい」と「健康」を支える大切な活動なのです。

対策③:老後の年金を「育てる」年金繰り下げ受給

老後の定期収入の柱、三つ目が「年金受給を繰り下げる」ことです。これは、特に「長く働く」ことと相性抜群の、知る人ぞ知る裏ワザ的な方法です。

1. 「繰り下げ受給」で年金額が劇的に増えるメカニズム

  • 【解説:年金繰り下げ受給とは?】公的年金は、原則として65歳から受け取りが始まります。ですが、この受け取り開始時期を、66歳~75歳までの間で遅らせることができます。これを「繰り下げ受給」と呼びます。

最大のメリットは、「年金額が劇的に増える」ことです。

  • 受け取りを1ヶ月遅らせるごとに、年金額が $0.7\%$ ずつ増えていきます。この増額率は、一生涯変わりません。

具体的な増額率のインパクト

  • もし70歳まで(5年間)繰り下げると…
    • $0.7\% \times 12$ヶ月 $\times 5$年 $= 42\%$ 増額!
  • もし最大の75歳まで(10年間)繰り下げると…
    • $0.7\% \times 12$ヶ月 $\times 10$年 $= 84\%$ 増額!

例えば、65歳で月15万円もらえるはずだった年金が、70歳からなら月21.3万円、75歳からなら月27.6万円になります。この増えた年金は、長生きするほど大きな恩恵をもたらします。

2. 「長く働く」×「繰り下げ」の最強タッグ戦略

「でも、65歳から年金をもらわないと生活できないよ!」

その通りです。だからこそ、対策②の「長く働く」ことが活きてきます。

例えば、65歳から70歳までの5年間は、年金をもらわずに「働く収入」と「対策①で準備した自分年金」で生活します。そして70歳になったら仕事のペースを落とし、代わりに「$42%$アップした年金」を受け取り始めるのです。

このように、働けるうちは働いて収入を確保し、その間に年金を「育てて(繰り下げて)」おく。これは、公的年金という「定期収入」を最大化する、最も効率的で強力な戦略と言えます。

3. 繰り下げ受給の判断基準と注意点

長生きすればするほどお得な繰り下げ受給ですが、判断には慎重さも必要です。

  1. 損益分岐点の考慮:繰り下げて年金額が増えても、早くに亡くなってしまうと、65歳から受け取っていた場合より総額が少なくなる可能性があります。一般的に、70歳繰り下げなら81歳、75歳繰り下げなら86歳くらいが損益分岐点(長生きすればするほどお得になる年齢)と言われます。
  2. 健康状態のチェック:公的年金は、健康状態に関わらず、生きている限り受け取れる「終身年金」です。繰り下げて「高い年金」を受け取るためには、長生きが必要です。ご自身の健康状態や、家族の長寿の傾向などを参考に検討しましょう。
  3. 税金・社会保険料の負担:年金額が増えると、それに伴って所得税・住民税や、健康保険料・介護保険料などの負担も増える場合があります。手取り額ベースでシミュレーションすることが大切です。

とはいえ、「人生100年時代」と言われる今、長生きするリスク(=お金が足りなくなるリスク)に備える上で、繰り下げ受給は非常に強力な「定期収入」確保策です。特に、70歳まで元気に働けそうな方には、ぜひ検討していただきたい方法です。

対策④:お金だけじゃない!「セカンドライフ」の生き方をじっくり考える

ここまで、老後の「定期収入」を確保する3つの具体的な対策を見てきましたが、#考え方で触れているように、私たちのセカンドライフは、お金だけでは豊かになりません。

1. 老後の幸福度を決める「3つの資産」のバランス

老後のセカンドライフを豊かにするためには、「3つの資産」のバランスが重要です。

資産の種類意味合い準備のポイント
お金の資産生活の不安をなくし、やりたいことを実現するための「土台」。iDeCo/NISA、長く働く、年金繰り下げで「定期収入」を確保。
健康の資産お金や時間を享受するための「器」。これがないと何もできない。適度な運動、食事、睡眠、そしてストレスの少ない「自分らしい働き方」を意識する。
時間の資産生きがいや人間関係を育むための「自由な時間」。お金の不安を解消して確保した時間を、趣味、家族、地域貢献など「やりたいこと」に使う。

2. 自分らしい「セカンドライフの設計図」を描く

「貯蓄より定期収入」という考え方は、単なるお金のテクニックではありません。それは、「お金の心配から解放された時間を、どう使って生きるか?」という、セカンドライフの生き方そのものをデザインするための準備です。

  • ライフワークバランスの再構築:現役時代のように、お金のために全てを捧げる必要はありません。健康を最優先し、時間を大切にする働き方を選ぶことができます。
  • 「生きがい」の再発見:定年後に急に仕事がなくなると、時間を持て余してしまう人がいます。趣味やボランティア、資格の取得など、「これなら定年後も熱中できる」というものを見つけておくことが、充実したセカンドライフを送るための「時間」の活用術になります。
  • 「健康寿命」の延伸:健康で長生きできる期間(健康寿命)を延ばすことが、最もお金の不安を減らすことにつながります。趣味や仕事を通じて、身体的・精神的な活力を維持し続ける工夫が必要です。

iDeCoやNISAで「お金」の準備を始めると同時に、ぜひ「どう生きたいか」という「時間の使い方」も具体的に考えてみてください。お金の準備と人生の設計は、車の両輪なのです。

【まとめ】「貯める不安」から「作る安心」へ。今日から始めるセカンドライフ準備

今回は、FPの井戸美枝さんの提言をベースに、投資初心者さんが知っておきたい「老後の定期収入」の作り方と、セカンドライフの考え方について解説しました。

老後資金というと、つい「いくら貯めれば安心か」という「貯蓄額(ゴール)」ばかり気にしてしまいます。でも、大切なのは「どうやって毎月決まった収入(流れ)を作るか」です。

最強の「定期収入」戦略をおさらい

対策目的始めるメリット
① 自分年金を作る(iDeCo・NISA)老後資金の土台と上乗せ。節税効果が絶大。運用益が非課税。
② 長く働く貯蓄の取り崩しを防ぎ、年金を増やす。資産寿命が延びる。健康と生きがいも手に入る。
③ 年金繰り下げ受給公的年金という定期収入を増額する。一生涯、年金が最大 $84\%$ 増える。

ゴールが見えないマラソンは不安ですが、「毎月これだけ入ってくる」という計算が立てば、安心感が生まれます。

お金の準備は、セカンドライフで「自分らしく生きる」ための土台づくりです。「お金・健康・時間」のバランスを取りながら、あなたらしい生き方を見つける旅を、今日から始めてみませんか?

その第一歩として、まずは「iDeCo」や「新NISA」について、国の優遇制度を賢く利用するために、ご自身の状況(会社員・自営業など)に合わせたシミュレーションからスタートするのがおすすめですよ!

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