2025年10月26日、私たちの大事な資産を預けている楽天証券から、セキュリティに関する大きなニュースが発表されました。
それが、「パスキー認証(FIDO2)」の導入です。

「パスキー?」「FIDO(ふぁいど)2?」 「また新しい設定が増えるの?面倒だな…」 「そもそも、それって美味しいの?」
そう感じた投資初心者さんも多いのではないでしょうか。
確かに、新しい言葉が出てくると少し身構えてしまいますよね。 でも、ご安心ください。
この「パスキー認証」、特に私たちのように長期で大切な資産を預ける投資家にとって、とても重要で、実はとっても便利な仕組みなんです。
この記事では、以下の点について、投資初心者さんにも分かりやすく、かみ砕いて解説していきます。
- そもそも「パスキー認証」って何?今までのパスワードと何が違うの?
- 投資家にとってのリアルな「メリット」と、知っておくべき「デメリット」
- 楽天証券での設定方法(概要)と、紛失・機種変更時の注意点
- 【結論】インデックス投資家は、パスキーを設定すべきか?
この記事を読み終わる頃には、「パスキー、よく分かった!さっそく設定してみよう!」と思っていただけるはずです。あなたの資産を守るための最新知識、ぜひアップデートしていってくださいね。
そもそも「パスキー認証」って何?パスワードとどう違うの?
まずは基本の「キ」から。 「パスキー認証」とは、一言でいえば「パスワードを“使わない”新しいログイン方法」です。
え、パスワードを使わない?じゃあどうやって本人確認するの?と思いますよね。
従来の「パスワード認証」の弱点
私たちが普段使っている「パスワード認証」は、「あなたが知っている情報(パスワード)」だけで本人確認をしています。
でも、この方法には大きな弱点がありました。
- 覚えられない問題: セキュリティを高めるには「アルファベット大文字小文字+数字+記号を混ぜて12桁以上」なんて言われますが、そんな複雑なパスワード、全部覚えていられますか?(私は無理です…) 結局、使い回したり、簡単なものにしてしまったり…といった危険が常にありました。
- 盗まれる問題: これが一番怖いのですが、パスワードは「情報」なので、盗まれる(漏洩する)可能性があります。 その代表的な手口が「フィッシング詐欺」です。
【かんたん解説】フィッシング詐欺とは?
「フィッシング(Phishing)」とは、魚釣り(Fishing)をもじった言葉。 銀行や証券会社になりすました「偽メール」や「偽SMS」を送りつけ、「セキュリティ強化のため、パスワードを再入力してください」といった嘘の理由で偽物のウェブサイトに誘導します。
そこで慌ててIDとパスワードを入力してしまうと、その情報が丸ごと盗まれ、あなたのアカウントが乗っ取られてしまう…という恐ろしい詐欺です。
このフィッシング詐欺によって、せっかく貯めたポイントや、最悪の場合、証券口座の資産が盗まれてしまう事件が後を絶ちません。
「パスキー認証」のすごい仕組み
そこで登場したのが「パスキー認証」です。 これは、国際的な認証技術の標準規格である「FIDO2(ファイドツー)」に基づいています。(FIDO2は「安全なお墨付きマーク」みたいなものだと考えてOKです)
パスキー認証は、パスワードの代わりに「2つの鍵」を使って本人確認をします。
- 秘密鍵(ひみつかぎ)
- あなたのスマホやPCの中にだけ保存される、誰にも見せない「本物の鍵」です。
- この鍵は、デバイスの外には一切出ません。
- 公開鍵(こうかいかぎ)
- 楽天証券などのサービス側に登録しておく、「鍵穴」のようなものです。
- 秘密鍵と公開鍵はペアになっていて、このペアじゃないと絶対に開きません。
ログインする時の流れはこんなイメージです。
- あなた: 楽天証券にログインしたい!
- 楽天証券: OK!じゃあ、この「鍵穴(公開鍵)」に合う「本物の鍵(秘密鍵)」を持ってるか証明して!
- あなた: (スマホの指紋認証や顔認証、PINコードなどでロックを解除)
- あなたのスマホ: (デバイス内で秘密鍵を使って)「はい、証明完了!」
- 楽天証券: ペアが一致したね!本人確認OK!ログインどうぞ!
パスキーが「最強」と言われる理由
この仕組みの何がすごいか分かりますか?
- パスワードを「入力」しない: ログイン時に使うのは、あなたの「指紋」や「顔」だけ。だから、そもそも覚える必要がありません。
- 「秘密鍵」はスマホから出ない: 万が一、楽天証券から情報が漏洩したとしても、そこにあるのは「鍵穴(公開鍵)」だけ。「本物の鍵(秘密鍵)」はあなたの手元のスマホにしかないので、不正ログインされません。
- フィッシング詐欺が効かない: これが最大のポイント!パスキーは「どのサイト用の鍵か」をちゃんと覚えています。 もしあなたが偽サイトに誘導されても、スマホが「あれ?このサイト、いつもの楽天証券(
https://www.rakuten-sec.co.jp/)と住所(ドメイン)が違うぞ!」と気づき、パスキーの認証が作動しません。 あなたがパスワードを「入力」すること自体がないので、盗まれようがないのです。
楽天証券のニュースで言及されている3つのメリットは、まさにこの仕組みから生まれています。
- 不正アクセス耐性が高い → フィッシング詐欺に“ほぼ”無敵!
- 複雑なパスワードを覚える必要がない → 指紋や顔認証でOK!
- メールでの絵文字による追加認証が不要 → ログインが超スムーズ!
特に3つ目、楽天証券ユーザーなら「あ〜、あの絵文字認証ね…」とピンと来ますよね。セキュリティのためとはいえ、毎回メールを開いて絵文字を選ぶのは地味に手間でした。あれが不要になるのは、素直に嬉しい改善です。
投資家目線で解説!パスキー認証のリアルなメリット
パスキーの仕組みが分かったところで、次は「投資家」である私たちにとって、具体的にどんな良いことがあるのか、もっと深く見ていきましょう。
メリット①:【最重要】フィッシング詐欺による資産流出をほぼ防げる
投資家にとって最大の悪夢は、「朝起きたら、証券口座の資産がゼロになっていた」という事態です。
フィッシング詐欺の手口は年々巧妙になっており、「自分は大丈夫」と思っていても、ふとした瞬間に騙されてしまう可能性があります。
しかし、先ほど説明した通り、パスキー認証は「偽サイトでは動かない」という最強の特性を持っています。 パスワードのように「盗まれて使われる」という概念が(ほぼ)ないのです。
これは、私たちが長期で築いていく大切な資産を守る上で、これ以上ない強力な「盾」を手に入れることを意味します。セキュリティは、投資パフォーマンスと同じくらい重要な「資産防衛」の手段なのです。
メリット②:「あれ、パスワードなんだっけ?」からの解放
「年に数回しかログインしないから、パスワードを忘れちゃった…」 「複数の証券会社でパスワードを使い回していて、どれがどれだか…」
インデックス投資家あるあるですよね(笑)。
パスキーなら、使うのはスマホのロック解除と同じ「指紋」や「顔」だけ。 「忘れる」という概念がなくなります。これは精神衛生上、非常に快適です。
メリット③:ログイン爆速化!「あの絵文字」よ、さようなら
楽天証券を使っている方なら、ログイン時の「絵文字認証(ログイン追加認証)」を経験しているはず。
- IDとパスワードを入力
- メールが届く
- メールを開いて、指定された絵文字を確認
- ログイン画面に戻って、同じ絵文字を選択…
この一手間が、パスキー認証を使えばすべて不要になります。 スマホの顔認証や指紋認証だけで、スッとログインが完了します。 セキュリティが格段に上がるのに、利便性まで上がるなんて、最高ですよね。
メリット④:複数デバイスでも使える(クラウド同期)
「普段はスマホで積立設定してるけど、たまにPCの大きい画面でポートフォリオを確認したい」という方も多いでしょう。
パスキーは、クラウド経由で同期することができます。
- iPhone/Macユーザー: iCloudキーチェーン
- Android/Chromeユーザー: Googleパスワードマネージャー
これらを設定しておけば、例えば「iPhoneでパスキーを作成」しても、同じApple IDやGoogleアカウントでログインしている「Mac」や「WindowsのChrome」から楽天証券にログインしようとすると、手元のiPhoneに通知が来て認証できたり、PC自体にパスキーが同期されたりします。 (※PCがBluetoothに対応している必要があるなど、一部条件があります)
デメリットと注意点!設定前に必ず知っておきたいこと
と、ここまで良いこと尽くめのように紹介してきましたが、もちろんデメリットや注意点もあります。特に投資初心者さんは、ここをしっかり読んで理解してから設定に進んでください。
デメリット①:【最大の懸念】デバイス(スマホ)への依存
パスキーの「本物の鍵(秘密鍵)」は、あなたのスマホの中にあります。 ということは…そのスマホ自体を紛失したり、故障・水没させたりしたらどうなるのでしょうか?
そうです。そのままではログインできなくなってしまいます。
これがパスキーの最大のデメリットであり、一番注意すべき点です。
<もしスマホを失くしたら?> 楽天証券の場合、ちゃんと救済策が用意されています。 ニュースの「こんな時どうしたらいい?」欄に記載がありました。
- 対策: 自動音声ダイヤルに連絡する。
- 結果: 一時的(30分間)に、従来のID・パスワードでのログインが可能になります。
- やるべきこと: その30分の間に急いでログインし、新しい端末でパスキーを再作成するか、いったんパスキーを削除する必要があります。
「紛失しても、電話すればなんとかなる」と覚えておくだけでも安心感が違いますね。とはいえ、非常に面倒なことになるのは確かなので、スマホの管理は今まで以上に重要になります。
デメリット②:「機種変更」の時にひと手間かかる
スマホを新しくする時も注意が必要です。
- 同じOS(例:iPhone → 新しいiPhone)の場合: iCloudキーチェーンなどでパスキーが自動で引き継がれることが多いため、基本的には再設定不要なケースが多いです。(楽天証券の案内でも「基本的には不要」とあります)
- 異なるOS(例:iPhone → Android)の場合: これが厄介です。パスキーの引き継ぎができません。 楽天証券は「古い端末でログインしてパスキーを一度削除し、新しい端末で再度パスキーを作成する」ことを推奨しています。
下取りなどで古い端末を手放す前に、必ずパスキーの削除(または移行手続き)を忘れないようにしましょう。
デメリット③:まだ全てのサービスが対応しているわけではない
楽天証券は対応しましたが、世の中のすべてのサービスがパスキーに対応したわけではありません。 結局、他の証券会社や銀行、ネットサービスでは、まだまだ従来のパスワードが必要です。
「パスワード管理から完全に解放される!」とまではいかないのが現状です。
デメリット④:共有PCでの利用は非推奨
「家族共用のリビングのPC」などで楽天証券にログインする場合、もしそのPCにパスキーを登録してしまうと、家族がPCのロックを解除できれば、誰でもあなたの楽天証券口座にログインできてしまう可能性があります。
パスキーは、基本的には「自分専用のスマホ」で管理するのが大原則です。
【結論】インデックス投資家こそ「パスキー」を設定すべき!
さて、メリットとデメリットを見てきました。 ここで、提供された「#考え方」にもあった、あるインデックス投資家の視点をご紹介します。
「ぼくはインデックス投資家なので、あまり証券会社のサイトにはログインしないです。インデックス投資家にとっては、多少設定の手間がかかってもセキュリティ強化に繋がる施策はうれしいです。」
これ、すごく共感しませんか?
私たちインデックス投資家は、一度積立設定をしたら、あとは「ほったらかし」が基本。毎日ログインして株価をチェックするようなことはしませんよね。
たまにしかログインしない。 だからこそ、パスキー認証は私たちにピッタリなんです。
- 理由1: たまにしかログインしないから、パスワードを忘れがち。 → パスキーなら生体認証なので忘れない!
- 理由2: たまにしかログインしないから、久しぶりに来た偽メールに騙されるかもしれない。 → パスキーならフィッシング詐欺をブロックできる!
- 理由3: たまにしかログインしない「大事な金庫」だからこそ、鍵は最強にしておきたい。 → パスキーは現時点で最強クラスのセキュリティ!
確かに、機種変更やスマホ紛失時の「手間(デメリット)」は存在します。 しかし、それは「資産をすべて失うリスク(フィッシング詐欺)」に比べれば、遥かに小さな問題です。
結論として、長期で資産を預けるインデックス投資家こそ、この「パスキー認証」を積極的に設定すべきです!
楽天証券での設定方法(概要)とQ&A
設定は意外と簡単そうです。
<設定の手順>
- 楽天証券のウェブサイトにログインします。(スマホが必要です)
- 「セキュリティ設定」画面に進みます。
- そこから「パスキーを作成」を選び、画面の指示に従ってスマホの生体認証などを行えば完了です。
- 注意点として、一度パスキーを作成すると、以降のログインはすべてパスキー認証に切り替わります。(ID・パスワード入力画面が出ても、最終的にスマホでのパスキー認証が求められます)
- 従来のID・パスワード認証に戻したい場合は、設定画面から「パスキーを削除」すればOKです。
<初心者が気になるQ&A> ニュースのQ&Aから、特に気になる点をピックアップしました。
Q. 指紋や顔のデータが、楽天証券に送られて保存されちゃうの? A. いいえ、絶対に送られません! 生体認証データは、あなたのスマホの中(セキュリティが強固な特別な領域)だけで処理が完結します。楽天証券側には「認証OK/NG」という結果だけが伝わります。あなたの顔や指紋のデータが外部に漏れることはないので、安心してください。
Q. 顔認証とか指紋認証がない古いスマホでも使える? A. 使えます! パスキー認証は、生体認証だけでなく、端末のロック解除に使っている「PINコード」や「パターン認証」でも利用できます。
Q. PCでログインしようとしたら「セキュリティキーを挿入」って出てできない… A. PCがBluetoothに対応していない可能性があります。 PCでのパスキー認証は、スマホとBluetoothで通信する必要があります。もしPCが非対応の場合は、スマホのウェブサイトからログインしてパスキーを削除(停止)する必要があります。
Q. パスキーって必須なの? A. いいえ、必須ではありません。 設定しなくても、従来通り「ID・パスワード+絵文字認証」でログインできます。 …が、この記事を読んだあなたなら、設定するメリットの大きさが分かりますよね?
まとめ:面倒くさくても、未来の自分のために「パスキー」を設定しよう
今回は、楽天証券が新しく導入した「パスキー認証」について、徹底的に解説しました。
【パスキー認証のポイント】
- メリット:
- フィッシング詐欺に最強で、セキュリティが爆上がり!
- パスワードを覚える必要がなく、生体認証でログインできる!
- 楽天証券の「絵文字認証」が不要になり、ログインが爆速に!
- デメリット:
- スマホを紛失・故障するとログインが面倒になる。
- 機種変更時(特にOSが違う場合)に、削除・再設定の手間がかかる。
私たちインデックス投資家にとって、一番怖いのは「暴落」よりも「資産の盗難」です。 せっかくコツコツ貯めてきた資産を、一瞬の気の緩みで失うことほど悲しいことはありません。
パスキー設定は、確かに最初は少しだけ手間がかかるかもしれません。 でも、それは「未来の自分の大切な資産を守るための、たった一度の作業」です。
「たまにしかログインしない」からこそ、ログインしない間も安心して資産を預けておけるよう、最強の鍵(パスキー)に交換しておきましょう。
この機会に、楽天証券のセキュリティ設定を見直して、より安全な投資ライフを送ってくださいね。
