新NISAで「はやり株」への短期投資がブームに
2024年から始まった新NISA(ニーサ)、すごい人気ですよね。「非課税」という言葉に惹かれて、「私も始めてみようかな?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな中、最近ちょっと心配なニュースが報道されました。
日本経済新聞(2025年8月23日朝刊)によると、新NISAを使って、SNSなどで話題になっている「はやり株」に短期集中投資する人が増えているというのです。

記事によると、ネット証券のNISA買付額ランキングには、NTTのようなおなじみの有名企業と並んで、「メタプラネット」という会社の名前が上位にランクインしました。この会社は、ビットコインへの積極投資で注目を集め、株価が一時は爆発的に上昇。SNSでは「億り人になれるかも!?」なんて声も飛び交いました。
しかし、その熱狂は長くは続かず…。急騰した株価は、その後ピーク時の半値近くまで下落してしまったそうです。まさに天国から地獄。せっかく非課税メリットのあるNISAで投資したのに、大きな含み損を抱えてしまった人も少なくありません。
「え、NISAって、もっと安全なイメージだったのに…」
「話題の株に乗れば、簡単にお金が増えるんじゃないの?」
もしあなたがそう感じたなら、この記事をぜひ最後まで読んでみてください。
なぜ、SNSで話題の「はやり株」に手を出すのが危険なのか。そして、私たちのような投資初心者が、新NISAという最高の制度を最大限に活用して、一喜一憂せずに着実に資産を築いていくための「王道」の方法を、どこよりも分かりやすく解説していきます!
なぜ危険?「はやり株」投資に潜む3つの大きな落とし穴
「でも、話題になっている株って、それだけ上がる可能性があるってことじゃない?」
そう思いますよね。確かに、うまく波に乗れば短期間で大きな利益を得られるかもしれません。しかし、その裏には、初心者こそ知っておくべき3つの大きな落とし穴が潜んでいるんです。
落とし穴1:買うのが遅い!「高値掴み」のリスク
まず、考えてみてください。あなたがSNSやニュースで「あの株がすごい!」という情報を目にする時、その株価は既にどうなっているでしょうか?
そうです。ほとんどの場合、すでに価格が上がりきった後なんです。
「はやり株」は、プロの投資家や情報に敏感な人たちが安いうちに仕込み、人気が沸騰して価格がピークに達した頃に売り抜けて利益を確定します。私たちが「お、なんだかスゴそう!」と飛びついた瞬間は、残念ながらプロたちが売り抜けるための「最後の買い手」…つまり「高値掴み」になってしまう可能性が非常に高いのです。
「みんなが買っているから安心」は、投資の世界ではむしろ危険信号。お祭りの一番盛り上がっている時に参加して、終わった後に一人取り残されてしまうようなものなのです。
落とし穴2:感情が揺さぶられる!ジェットコースターのような価格変動
「はやり株」の多くは、しっかりとした業績よりも「将来への期待感」や「話題性」といった、フワフワした理由で株価が上がっています。
これは、株価の土台が非常に不安定だということ。ちょっとした悪いニュースや、市場全体のムードが悪化しただけで、あっという間に暴落してしまう危険性をはらんでいます。これを専門用語で「ボラティリティ(価格変動率)が高い」と言います。
過去にも、NISAではやり株ブームがありました。例えば2020年、コロナ禍でワクチンの開発期待から「アンジェス」というバイオ企業の株が急騰しました。しかし、期待がしぼむと共に株価はピーク時の半値以下になり、多くの個人投資家が涙を飲みました。
毎日株価が気になって仕事が手につかない、少し下がっただけで不安で眠れない…。そんなジェットコースターのような投資は、精神的にも良くありませんよね。
落とし穴3:NISA最大の弱点!「損益通算」ができない恐怖
これが、初心者の方に最も知っておいてほしい、NISAで短期投資をする一番のデメリットです。
「損益通算(そんえきつうさん)」という言葉、聞いたことがありますか?
【初心者向け解説】損益通算とは?
とっても簡単に言うと、「利益と損失を合算して、税金を計算する仕組み」のことです。 例えば、普通の証券口座(課税口座)で、A株で50万円の利益が出て、B株で30万円の損失が出たとします。 この場合、利益と損失を合算して「50万円 – 30万円 = 20万円」の利益として計算してくれます。税金はこの20万円に対してかかるので、負担が軽くなります。これが損益通算のメリットです。
しかし、NISA口座では、この損益通算ができません。
もしNISA口座で買ったメタプラネット株で30万円の損失が出て、同時に普通の課税口座で持っていた別の株で50万円の利益が出たとしましょう。 本来なら相殺してほしいところですが、NISA口座の損失は「なかったこと」にされてしまうため、課税口座の50万円の利益にまるまる税金(約20%なので約10万円)がかかってしまうのです!
つまり、NISA口座で損失を出してしまうと、税金面で何の助けにもならない、ただの損失になってしまいます。売るに売れず、口座の中でずっとマイナスのまま放置される「塩漬け株」になってしまう可能性が格段に高まるのです。
非課税というメリットばかりに目が行きがちですが、NISAにはこんな怖いデメリットもある、ということを絶対に覚えておいてください。
投資の成否は「何を買うか」では決まらない!
「じゃあ、どの株を買えば安全なの?」 「次に流行りそうな株を、こっそり教えてほしい…」
「はやり株」の危険性が分かると、次にこう考えたくなりますよね。気持ちはすごく分かります。しかし、ここで一つ、衝撃の事実をお伝えしなければなりません。
実は、投資の成功の9割は、「どの個別株を選ぶか」では決まらないのです。
「え、そうなの!?」と驚かれたかもしれません。多くの人が、投資とは「金の卵を産むニワトリ」、つまり将来何十倍にもなるようなお宝銘柄を探し出すゲームだと思っています。しかし、それは大きな誤解です。
投資の世界には「モダンポートフォリオ理論」という、ノーベル経済学賞も受賞した有名な考え方があります。この理論によると、投資の成果に最も大きな影響を与える要因は、以下のようになっています。
- アセットアロケーション(資産配分):91.5%
- 銘柄選択:4.6%
- 投資のタイミング:1.8%
- その他:2.1%
見てください!私たちが血眼になって探そうとしている「どの銘柄を買うか」の影響は、たったの4.6%。相場の天井や底を狙う「タイミング」に至っては、わずか1.8%です。
成功の9割以上を占めるのは、「アセットアロケーション」。これこそが、投資初心者が最初に学ぶべき、最も重要なキーワードなのです。
【初心者向け解説】アセットアロケーション(資産配分)とは?
難しく聞こえますが、要は「自分の資金を、性質の違う様々な資産(アセット)に、どんな割合(アロケーション)で振り分けるか」という、あなただけの”投資のレシピ”作りのことです。
料理に例えてみましょう。 素晴らしいコース料理を作るとき、いきなり「トリュフを買ってこよう!」とはなりませんよね?まずは「前菜」「スープ」「メイン(魚・肉)」「デザート」といった全体の構成とバランスを考えます。
投資も同じです。
- メインディッシュ(ハイリスク・ハイリターン):株式
- 付け合わせの野菜(ミドルリスク・ミドルリターン):債券
- お口直しのシャーベット(ローリスク・ローリターン):現金・預金
このように、値動きの異なる資産を組み合わせることで、どれか一つが大きく値下がりしても、他の資産がカバーしてくれるようになります。これにより、大きな失敗を防ぎ、精神的にも安定した状態で、長期的に資産を育てていくことができるのです。
つまり、「どの銘柄を買うか?」という”食材選び”の前に、「株式と債券の割合をどうするか?」という”レシピ作り”の方が、何倍も重要だということです。
SNSで話題の「はやり株」に一点集中投資するのは、栄養バランスを全く考えず、毎日ステーキだけを食べ続けるようなもの。最初のうちは良くても、いつか必ず体を壊してしまいますよね。
大切なのは、特定の銘柄に熱狂することではなく、自分に合った「資産配分のレシピ」を最初にしっかりと決めること。それこそが、あなたの資産形成を成功に導く、唯一の道しるべなのです。
投資初心者の最適解!NISAで始める「ほったらかし投資」のすすめ
「アセットアロケーションが大事なのは分かったけど、具体的にどうすればいいの?」
ご安心ください。ここからは、私たち投資初心者のための”最強の戦術”をご紹介します。それは、アセットアロケーションの考え方をベースにした「長期・分散・積立」を実践する、通称「ほったらかし投資」です!
なぜ、この方法が最強なのでしょうか。3つのキーワードに分けて見ていきましょう。
1.長期:時間を最強の味方につける「複利」の魔法
投資の神様、ウォーレン・バフェットは言いました。「私が金持ちになれたのは、長生きしたことと、複利のおかげだ」と。
「複利(ふくり)」とは、投資で得た利益を元本にプラスして、その合計額でさらに再投資していくこと。雪だるま式にお金が増えていくイメージです。
【初心者向け解説】複利のパワー!
例えば、毎月3万円を年利5%で積み立てるとします。
- 10年後:元本360万円 → 約465万円(+105万円)
- 20年後:元本720万円 → 約1,233万円(+513万円)
- 30年後:元本1,080万円 → 約2,505万円(+1,425万円)
最初の10年で増えたのは約100万円ですが、20年後から30年後までの10年間では、なんと1,200万円以上も増えています!これが時間を味方につける「複利」の魔法。短期売買では、この恩恵を全く受けることができません。
2.分散:「卵は一つのカゴに盛るな」のリスク管理術
これは有名な投資の格言です。一つのカゴ(=一つの銘柄)にすべての卵(=あなたの資産)を入れてしまうと、もしそのカゴを落としてしまったら、すべての卵が割れてしまいますよね。
そうならないために、複数のカゴに分けておきましょう、というのが「分散投資」です。
- 地域の分散:日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、新興国など、世界中の国に投資する。
- 資産の分散:株式だけでなく、債券など値動きの異なる資産にも投資する。
- 銘柄の分散:一つの会社だけでなく、何百、何千という数の会社に少しずつ投資する。
「そんなこと、個人でやるのは無理!」と思いますよね。でも、大丈夫。それを簡単に実現してくれるのが、次に紹介する「投資信託」なんです。
3.積立:高値掴みを防ぐ賢い買い方「ドルコスト平均法」
「でも、いつ買えばいいのか分からない…」 そんな悩みを解決してくれるのが、毎月決まった日に決まった金額を買い続ける「積立投資」です。この買い方を「ドルコスト平均法」と呼びます。
価格が高い時には少しだけ買い、価格が安い時にはたくさん買うことができます。これを続けることで、自然と平均購入単価を下げることができる、非常に賢い方法です。
感情に左右されず、機械的に買い続ける。これにより、「はやり株」で起こりがちな「高値掴み」のリスクを効果的に避けることができるのです。
そして、この「長期・分散・積立」を、たった一つの商品で実現してくれる魔法のようなアイテムが「インデックスファンド(投資信託)」です。
【初心者向け解説】インデックスファンドとは?
日経平均株価や、アメリカのS&P500といった「市場全体の平均点(指数=インデックス)」と同じような値動きを目指す投資信託のこと。
例えば「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という一本を買うだけで、世界中の何千社もの企業に、数百円から分散投資ができてしまいます。これこそ、初心者が「ほったらかし投資」を始める上で、最も有力な選択肢と言えるでしょう。
個別株の値動きを毎日チェックする必要はありません。最初にしっかりとした方針(アセットアロケーション)を決めて、あとは毎月コツコツ積立設定をするだけ。
これこそが、新NISAの非課税メリットを最大限に活かせる、賢くて、そして心穏やかに続けられる投資法なのです。
今日からできる!新NISA「王道」投資の始め方3ステップ
「よし、なんだか自分にもできそうな気がしてきた!」
そう思っていただけたら嬉しいです。では最後に、今日からできる「王道のほったらかし投資」の始め方を、具体的な3つのステップでご紹介します。
ステップ1:自分の「リスク許容度」を知ろう!
投資を始める前に、一番大事なのが「自分はどれくらいの価格変動までなら耐えられるか?」を知ることです。これを「リスク許容度」と言います。
以下の質問に、正直に答えてみてください。
- 年齢は?(若いほど、長期投資できるのでリスクを取りやすい)
- 年収や貯金額は?(収入や資産が多いほど、リスクを取りやすい)
- 投資の経験は?(経験が長いほど、下落相場にも慣れている)
- もし投資したお金が1年で30%減ったら?(「気にしない」か「夜も眠れない」か)
これらの答えを総合して、自分が「積極型」「バランス型」「安定型」のどれに近いかを考えてみましょう。正解はありません。自分が心地よく続けられるレベルを見つけることが大切です。
ステップ2:自分に合った「アセットアロケーション」を決めよう!
リスク許容度が分かったら、それに合わせて投資のレシピ(アセットアロケーション)を考えます。初心者の方は、まずはシンプルに「株式」と「債券(または現金)」の比率を考えるのがおすすめです。
- 積極型(ハイリスク・ハイリターンを目指す) 例:株式100% 全世界株式のインデックスファンド1本に集中投資するスタイル。20代〜30代で、長期的な視点を持てる方におすすめ。
- バランス型(リスクとリターンのバランスを取りたい) 例:株式60% + 債券40% 値動きがマイルドになり、暴落時の下落幅を抑えやすい。いわゆる「バランスファンド」と呼ばれる商品も便利です。40代〜50代の方に。
- 安定型(なるべく元本を減らしたくない) 例:株式30% + 債券70% 大きなリターンは狙えませんが、安定感を重視するスタイル。定年が近い方や、とにかく不安な方におすすめです。
※これはあくまで一例です。NISAの枠内は株式100%で運用し、NISA以外の銀行預金を「安全資産」と考える、というやり方も非常に有効です。
ステップ3:証券口座で「積立設定」をしよう!
投資方針が決まったら、あとは実行あるのみ! 楽天証券やSBI証券などのネット証券でNISA口座を開設し、「つみたて投資枠」で、ステップ2で決めた方針に沿った投資信託を選び、積立設定をしましょう。
設定は本当に簡単です。
- 積立する投資信託を選ぶ(例:eMAXIS Slim 全世界株式)
- 毎月の積立金額を決める(無理のない範囲でOK!)
- 積立日を決める
- 引き落とし方法を設定する(クレジットカード払いがポイントも貯まってお得!)
一度この設定をしてしまえば、あとは毎月自動で買い付けが行われます。あなたがやることは、年に1回くらい、資産のバランスが崩れていないかチェックするだけ。
これが、真の「ほったらかし投資」です。
もう、SNSの「はやり株」情報に振り回される必要はありません。日々の株価の動きに一喜一憂することもありません。あなたは、自分の時間を大切にしながら、世界経済の成長を自分の資産に取り込んでいくことができるのです。
まとめ
今回は、新NISAで「はやり株」に手を出すことの危険性と、投資初心者が本当にやるべき資産形成の王道について解説してきました。
最後に、今日のポイントをまとめますね。
- 新NISAで短期の「はやり株」投資が流行中 SNSで話題の仮想通貨関連株などが人気ですが、急騰した後に暴落するケースが後を絶ちません。
- 「はやり株」には3つの罠がある すでに割高な「高値掴み」、精神を消耗する「激しい値動き」、NISA最大の弱点である「損益通算不可」という大きなリスクが潜んでいます。
- 投資の成功は「銘柄選び」ではなく「資産配分」で決まる 投資成果の9割は、どの資産をどんな割合で持つかという「アセットアロケーション」で決まります。特定の銘柄に賭けるのは、ただのギャンブルになりかねません。
- 初心者の最適解は「長期・分散・積立」による「ほったらかし投資」 時間を味方につける「複利」、リスクを抑える「分散」、高値掴みを防ぐ「積立」。この3つをインデックスファンドで実践するのが、最も賢く、心穏やかに続けられる方法です。
新NISAは、私たち個人の資産形成を国が後押ししてくれる、本当に素晴らしい制度です。だからこそ、目先の利益に目を奪われて、その恩恵を無駄にしてしまうのは本当にもったいない。
大切なのは、「一発当てる」ことではなく、「負けない」こと。そして、時間をかけて着実に資産を育てていくことです。
この記事が、あなたの資産形成の第一歩を踏み出すきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。さあ、今日から一緒に、未来のための「ほったらかし投資」を始めてみませんか?