2024年1月に鳴り物入りで始まった「新NISA」。それから約2年が経過しようとしていますが、皆さんの運用状況はいかがでしょうか?「周りが儲かっているって言うから始めたけれど、実はよく分かっていない…」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回は、QUICK資産運用研究所が2025年10月に実施した最新の調査結果をもとに、新NISA利用者のリアルな懐事情を徹底解説します。なんと、利用者の7割以上が10%を超える利益を出しているという、驚きのデータが出ています。
なぜこれほどまでに多くの人が成功しているのか、そしてこれから投資を続ける上で何に気をつけるべきなのか。初心者の方にも分かりやすく、丁寧にお話ししていきます。
新NISA利用者の約9割がプラス運用!最新の調査結果をチェック
まずは、今回発表された記事の核心部分を見ていきましょう。QUICK資産運用研究所が5,075人を対象に行った調査によると、新NISAを利用している人たちの運用成績は、目を見張るものがあります。
驚異の「プラス運用87.2%」
新NISA口座で投資をしている人のうち、運用の損益がプラス(資産が増えている状態)になっている人は、全体の87.2%にのぼりました。前回の調査時よりもさらに増えており、利用者のほとんどが「お金が増える」という体験をしています。
10%以上の利益を出している人が7割超え
さらに驚くべきは、その利益の幅です。運用益が10%以上となっている人は73.9%に達しました。100万円を投資していたら、110万円以上になっている計算です。銀行の普通預金の利息が0.1%程度であることを考えると、いかに大きな数字かが分かりますね。
4人に3人が「利用してよかった」と回答
この好成績を受けて、利用者の満足度も非常に高くなっています。アンケートでは、74.4%の人が「新NISAを利用してよかった」「どちらかといえばよかった」と回答しています。
よかったと思う理由の第1位は「非課税で運用できているから(70.9%)」。やはり、本来なら取られるはずの税金がかからないというメリットを、多くの人が実感しているようです。
なぜこんなに儲かっているの?初心者が成功した「3つの追い風」
「投資ってこんなに簡単に増えるものなの?」と疑問に思う方もいるでしょう。実は、新NISAが始まった2024年から2025年にかけては、投資家にとって「最高のボーナスタイム」だったと言える側面があります。
1. 世界的な株高、特にAIブームの恩恵
2024年以降、世界の株式市場は非常に強い動きを見せました。特にアメリカを中心とした「AI(人工知能)」関連企業の成長が凄まじく、エヌビディアなどのハイテク株が市場を牽引しました。新NISAで多くの人が購入している「全世界株式(通称:オルカン)」や「全米株式(S&P500)」などの投資信託は、これらの成長をダイレクトに取り込んで大きく値上がりしたのです。
2. 歴史的な円安の影響
海外の株式に投資する商品を持っている場合、為替の影響を強く受けます。
解説:円安と投資信託の関係
海外の株を買う投資信託は、円をドルなどの外貨に替えて運用します。そのため、1ドル=140円の時よりも1ドル=150円(円安)になった時の方が、円に換算した時の資産価値は膨らみます。2025年も円安傾向が続いたことが、日本に住む投資家の成績を押し上げる要因となりました。
3. 新NISA開始のタイミングが絶妙だった
これが今回の最も大きなポイントかもしれません。新NISAがスタートした2024年1月というタイミングは、株価が上昇を開始する直前の、非常に良い時期でした。この時から積立投資を始めた方は、右肩上がりの相場に最初から乗ることができたため、短期間で10%を超える利益を出しやすい環境に恵まれたのです。
今後の投資人生を左右する「考え方」の落とし穴
今回の調査結果は非常にポジティブなものですが、投資初心者の方がここで気を引き締めなければならないポイントがあります。それは、「市場環境が真逆だったらどうなっていたか」という視点です。
良好な環境は「当たり前」ではない
現在は、幸いにして市場環境が良好なため、アンケート結果も好意的なものばかりです。しかし、もし新NISAが始まった2024年に世界的な金融危機や大暴落が起きていたら、どうなっていたでしょうか?
おそらく、「運用損益がマイナス30%以上」という人が続出し、アンケートの結果も「NISAなんてやるんじゃなかった」という不満の声で溢れかえっていたはずです。
成功体験が「過信」に変わるリスク
投資を始めてすぐに10%以上の利益が出ると、「投資は簡単だ」「もっとリスクを取っても大丈夫だ」と勘違いしてしまいがちです。これを心理学の世界では「ビギナーズラック」や「自信過剰バイアス」と呼ぶこともあります。
しかし、株価は必ず上がったり下がったりを繰り返します。1年で20%上がることもあれば、次の年に30%下がることもあります。今回の「7割が10%超え」という数字は、あくまでここ2年の特殊な好景気がもたらした結果であることを忘れてはいけません。
長期投資家にとっての「真の試練」はこれから
これから10年、20年と投資を続けていく中で、必ず「資産が半分になるような暴落」や「数年間全く増えない停滞期」がやってきます。その時に、今回のような成功体験を「心の余裕」として持っておけるかが重要です。
「あの時は10%増えたこともあるから、今は我慢の時だ」と思えるか、「せっかく増えた分が減っちゃった、もうダメだ」と投げ出してしまうか。この分かれ道が、最終的な資産形成の成否を決めます。
2026年以降のNISAはどう変わる?注目すべき3つの議論
記事では、政府がさらなるNISAの拡充に向けて調整中であることも触れられています。これからの制度改正についても、初心者の方が知っておくべきトピックがいくつかあります。
1. つみたて投資枠の年齢制限の緩和
現在は18歳以上が対象ですが、これを18歳未満にも広げる案が出ています。お子さんの将来のための資産形成をNISAで行えるようになる日が近いかもしれません。
2. 高齢者向け「プラチナNISA」の議論
高齢者の方が資産を使いながら運用できるよう、「毎月分配型」の投資信託を対象にするべきだという議論があります。
解説:毎月分配型投資信託とは
投資信託の運用益などから、毎月決まった金額を投資家に払い出す仕組みの商品です。お小遣いのように受け取れるメリットがありますが、運用の効率が悪くなったり、自分の投資元本を切り崩して払い出されたりすることもあるため、注意が必要です。
面白いことに、今回の調査では60代以上の4割が「毎月分配型は購入したくない」と答えています。高齢者の方々も、目先の現金よりも着実な資産運用を求めている傾向が見て取れます。
3. 相続手続きの簡素化
「自分に万が一のことがあった時、NISA口座の株をそのまま家族のNISA口座に移したい」という要望は非常に多いです。現在は一度売却して現金化しなければならないなどの制約がありますが、これが改善されれば、家族で資産を守る仕組みとしてより使いやすくなります。
初心者がこれから実践すべき「新NISAの歩き方」まとめ
今回のニュースと最新の状況を踏まえて、投資初心者の方が取るべきアクションをまとめました。
| ステップ | アクション内容 | 意識すること |
| ステップ1 | 利益が出ている自分を褒める | まずは「投資を始めた」という行動力を肯定しましょう。 |
| ステップ2 | 投資目的を再確認する | 今の利益は「おまけ」です。20年後の目標金額を見据えましょう。 |
| ステップ3 | 暴落時のシミュレーション | もし資産が30%減っても生活に困らないか、確認しておきます。 |
| ステップ4 | 手続きの簡素化を待つ | 制度はどんどん良くなります。焦らず最新情報をチェックしましょう。 |
最後に:新NISAは最強の「武器」
今回の調査で分かった通り、新NISAは正しく使えば非常に強力な資産形成の武器になります。4人に3人が満足しているという事実は、日本の投資文化が大きく前進した証拠です。
大切なのは、今の好成績に一喜一憂しすぎず、「淡々と続ける」こと。相場が良い時も悪い時も、同じように積み立てを継続する力が、将来のあなたを助けてくれます。
今回の調査結果を「自分も成功者の仲間入りだ!」という自信に変えて、これからも楽しく投資を続けていきましょうね。
