ニュースのポイント——メタが「お金の送り方」を変えようとしている
2026年2月、世界中のIT・投資界隈で注目のニュースが飛び込んできました。
米メタ(旧Facebook)が、2026年後半にステーブルコイン決済へ再参入する計画を進めているようです。

このニュースを聞いて、「ステーブルコインって何?」「メタって決済もやるの?」と思った方、安心してください。この記事では、投資初心者の方でもスッキリわかるように、丁寧に解説していきますよ。
まず、今回のニュースをざっくりまとめると、こういうことです。
Facebook・Instagram・WhatsAppを運営するメタ社が、これらのアプリの中でドルに連動した「ステーブルコイン」を使って決済できる仕組みを、2026年後半から始めようとしているというもの。
そして重要なポイントが、メタ自身がコインを作るのではなく、外部のパートナー企業のインフラを借りて実現しようとしているという点です。
現時点で有力なパートナー候補として名前が挙がっているのが、決済大手のStripe(ストライプ)。Stripeは2024年に「Bridge(ブリッジ)」というステーブルコインのインフラ企業を約1,100億円(約11億ドル)で買収しており、すでにこの分野で強力な基盤を持っています。さらに、StripeのCEOであるパトリック・コリソン氏は、2025年4月にメタの取締役に就任しており、両社の関係は非常に深くなっています。
メタの広報担当者も、「ユーザーが好みの支払い方法をメタのプラットフォーム上で使えるようにすることが目的だ」と認めており、計画が進んでいることは間違いなさそうです。
ステーブルコイン市場全体の時価総額は、2026年初頭の時点で約3,180億ドル(約47兆円)規模にまで成長しており、まさに”今が旬”のテーマといえます。
そもそも「ステーブルコイン」って何?初心者向けに解説
「ステーブルコイン」という言葉、最近よく聞くけど正直よくわからない……という方も多いですよね。まずここをしっかり理解しておきましょう!
ステーブルコインとは?
「ステーブル(Stable)」は英語で「安定した」という意味。ステーブルコインとは、価格が安定している仮想通貨(暗号資産)のことです。
ビットコインやイーサリアムといった一般的な仮想通貨は、価格が1日で20〜30%も上下することがあります。これでは普段のお買い物や送金には使いにくいですよね。
そこで登場したのがステーブルコインです。米ドルや日本円などの法定通貨と1対1で価値が連動しているため、価格が安定しています。たとえば「USDC」や「USDT」と呼ばれるものは、1コイン=1米ドルの価値を維持するように設計されています。
なぜステーブルコインが注目されているの?
ステーブルコインが注目される理由は、主に3つあります。
① 国際送金が安くて速い 銀行の国際送金は手数料が高く、着金まで数日かかることもあります。でもステーブルコインなら、数秒〜数分で、格段に安い手数料で世界中にお金を送れます。
② 価格が安定している 普通の仮想通貨と違って価格変動が少ないので、実際の決済手段として使いやすいのが大きな魅力です。
③ ブロックチェーンの技術を使っている 透明性が高く、不正がしにくいのも特徴です。
GENIUS法(ジーニアス法)とは?
2025年に米国で「GENIUS法(Guiding and Establishing National Innovation for US Stablecoins Act)」という法律が成立しました。これはステーブルコインの発行ルールを定めた連邦法で、業界に「法的なお墨付き」が与えられたことを意味します。この規制整備が、メタのような大企業がステーブルコイン分野に参入しやすくなった大きな背景の一つです。
過去の「リブラ失敗」——なぜ今回は違うのか?
「メタがデジタル通貨に挑戦するのって、昔もあったよね?」と思った方、鋭い!実はメタは以前、同じような挑戦をして大失敗した歴史があります。
リブラ(Libra)の失敗とは?
2019年、当時のFacebook(現メタ)は「Libra(リブラ)」という独自のデジタル通貨の構想を発表しました。世界中のFacebookユーザーが使える、まったく新しいグローバル通貨を作ろうという壮大な計画でした。
しかし、この計画は世界中の規制当局から猛烈な反発を受けました。「民間企業が国家のように自分たちの通貨を発行するのは危険だ」「金融システムを不安定にする可能性がある」という批判が相次ぎ、アメリカ・ヨーロッパの政府・中央銀行から強い圧力がかかりました。
その結果、プロジェクトは名称を「Diem(ディエム)」に変更しながらも縮小を続け、最終的に2022年に事実上の解散となりました。マーク・ザッカーバーグCEO自身も2025年のイベントで「あの計画はもう死んだ」と認めたと伝えられています。
今回の「再参入」はここが違う!
では、なぜ今回は違うのでしょうか?大きく分けて3つのポイントがあります。
① コインを自分で作らない リブラは「メタが自分でコインを発行・管理する」計画でした。今回は、すでに存在するステーブルコイン(USDCなど)のインフラを外部パートナーから借りる形をとります。「コインを作る側」から「決済の場所を提供する側」へのシフトです。これにより規制当局の反発を大幅に回避できます。
② 規制環境が整ってきた 2019年当時はステーブルコインに関する法律がほとんどありませんでした。しかし2025年にGENIUS法が成立し、法的な枠組みが明確になりました。「ルールがないから怖い」という状況ではなくなったのです。
③ 市場の成熟 ステーブルコイン市場はすでに約47兆円規模に成長し、実際の決済に使われる事例も急増しています。「実験的な話」から「現実的なビジネス」になった、というわけです。
この「規制配慮型」の戦略は、ビッグテック企業がWeb3・仮想通貨分野に参入する際の新しいお手本になる可能性があります。
実現すると何が変わる?私たちへの影響と投資チャンス
では実際にメタのステーブルコイン決済が始まったら、私たちの生活や投資の世界はどう変わるのでしょうか?
日常生活への影響
① クリエイターへの国際送金が劇的に変わる YouTubeやInstagramで活躍するクリエイターが海外のファンからお金を受け取る場合、今は銀行の国際送金手数料が高く、時間もかかります。ステーブルコインなら、約100ドル(約1万5,000円)程度の少額送金でも、ほぼ手数料なしで数秒で完了する可能性があります。メタが特に注力しているのが、この「小口クリエイター報酬の国際送金コスト削減」です。
② 越境決済が身近になる 海外のネットショップで買い物をするとき、為替手数料や国際決済手数料を取られますよね。ステーブルコイン決済が普及すれば、これらのコストが大幅に下がる可能性があります。WhatsApp Businessなどを使ったビジネス決済にも大きなメリットが生まれます。
③ AIとの融合による「自動決済」の未来 少し先の話になりますが、AIエージェント(自動で作業をこなすAI)がステーブルコインを使って自動的に決済処理をする、というWeb3×AI時代の新しい決済スタイルも期待されています。
投資家として注目すべきポイント
「じゃあ、投資としてはどこに注目すればいい?」という方のために、整理しておきます。
メタ(Meta)株は、直接的な恩恵を受ける企業です。ただし現時点では「計画段階」であり、2026年後半の正式ローンチまでは不確定要素が多いことは頭に入れておきましょう。
Stripeは非上場企業のため直接株式投資はできませんが、IPO(株式公開)の動向に注目です。今回の動きでStripeの存在感はさらに高まっています。
ステーブルコイン関連では、USDC(米ドルコイン)を発行するCircle社のIPOや、ステーブルコインインフラを持つ企業の株式も注目です。
なお、ステーブルコイン関連の投資は規制変更リスクや技術リスクを伴います。あくまで余剰資金の範囲で、分散投資の一部として検討することをおすすめします。投資はご自身の判断と責任で行ってください。
ビッグテックの「決済レール争い」——今後の展望と注目ポイント
今回のメタの動きは、実は単なる一企業の話ではありません。もっと大きな「ビッグテック×ステーブルコイン」という時代の転換点を示しています。
「コインを作る」から「レールを握る」へのシフト
鉄道のたとえを使ってみましょう。お金の流れを「列車」だとすると、ステーブルコインは「列車の線路(レール)」のようなものです。
かつてのリブラは「自分で列車も線路も作る」という計画でした。これは壮大すぎて規制当局に潰されました。
今回メタが狙っているのは、「列車は誰かに任せるけど、駅(プラットフォーム)は自分が持つ」という戦略です。30億人以上が毎日使うFacebook・Instagram・WhatsAppというプラットフォームを持つメタが決済の「場所(レール)」を握れば、実質的に世界最大の決済ネットワークの一つになれる可能性があります。
競合他社の動き
実はメタだけでなく、他のビッグテックも同様の方向に動き始めています。AppleはApple Payをさらに拡張しようとしており、GoogleもGoogleウォレットの機能強化を続けています。ステーブルコインは「次世代の決済インフラ」として、テック企業・金融機関・各国政府が覇権を争う重要な戦場になっています。
今後のスケジュールと注目ポイント
2026年前半には、メタが外部パートナーとの正式な提携を発表する可能性があります。Stripeが最有力候補ですが、まだ正式決定ではありません。
2026年後半には、パイロット(試験運用)が始まると予測されています。まずはクリエイターへの少額送金など、限られた用途から始まる可能性が高いです。
チェックしておきたいポイントとしては、①メタとStripeの正式提携発表、②対応ステーブルコインの種類(USDC?USDT?)、③どの国・地域から先行ローンチするか、④ウォレットの管理方法(自分で管理できるのか、メタが管理するのか)、の4点が特に重要です。
まとめ:メタのステーブルコイン再参入——「お金の民主化」時代が来る?
今回の記事のポイントをまとめると、次のようになります。
メタが2026年後半、FacebookやInstagram、WhatsAppにステーブルコイン決済を統合しようとしているというのが今回のニュースの核心です。
過去のリブラ失敗を教訓に、今回は「自分でコインを作らず、外部インフラを活用する」規制配慮型の戦略を採用。有力パートナーとしてStripeが浮上しており、両社の関係はCEOの取締役就任など多方面で深まっています。
もしこれが実現すれば、30億人超のユーザーを抱えるメタのプラットフォームがステーブルコイン決済の最大の普及経路になり得ます。クリエイターへの海外送金コスト削減、越境決済の低コスト化、さらにはAIエージェントによる自動決済など、新しい「お金の動き方」が広がる可能性があります。
ビッグテックが「コインを作る側」から「決済レールを握る側」に移行しつつある今、ステーブルコインは私たちの生活に確実に近づいてきています。
投資初心者の方へのアドバイスとして、今すぐ何かに投資しなければいけない、ということはありません。まずはこういったニュースをウォッチしながら「どんな企業が恩恵を受けそうか」「市場全体のトレンドはどこに向かっているか」を学ぶことが大切です。メタ株やステーブルコイン関連企業の動向は、今後数年の投資テーマとして注目し続ける価値があります。
正式な発表や提携先の確定など、まだ続報が予想されるテーマです。引き続き最新情報をチェックして、「お金の未来」の変化を一緒に追いかけていきましょう!
