【超入門】円建てステーブルコイン「JPYC」誕生!僕たちの生活はどう変わる?投資初心者向けに徹底解説

投資ニュース解説

最近、ニュースで「円建てステーブルコイン」という言葉を耳にしないでしょうか。2025年8月20日の日本経済新聞で、「フィンテック企業のJPYCが、日本円と同じ価値を持つステーブルコイン『JPYC』を9月にも発行する」というニュースが大きく報じられました。

円建てステーブルコイン、越境決済を即時・低コストで - 日本経済新聞
フィンテック企業のJPYC(東京・千代田)が、日本円に価値が連動するステーブルコイン「JPYC」の発行を9月にも始める。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を基盤とし、即時・低コストの送金手段などとし

「ステーブルコイン?」「フィンテック?」「なんだか難しそう…」と感じた人も多いのではないでしょうか。でも、これは実は、ぼくたちの生活やお金の未来を大きく変えるかもしれない、非常に重要なニュースなのです。海外への送金がほぼ無料になったり、新しい金融サービスが生まれたりする可能性を秘めています。

この記事では、

  • そもそも「ステーブルコイン」とは何でしょうか?ビットコインとはどう違うのでしょう?
  • 新しい「JPYC」で、ぼくたちの生活はどう便利になるのでしょうか?
  • 投資初心者は、この新しい技術とどう向き合えばいいのでしょうか?

これらの疑問を、できるだけ分かりやすく、かみ砕いて解説していきます。この記事を読み終える頃には、皆様も「なるほど、JPYCとはそういうことか!」と、周囲の方に説明できるくらい詳しくなっているはずです。さあ、未来のお金の冒険に一緒に出かけましょう。

【基本のキ】1 JPYC = 1円の謎!ステーブルコインの仕組みを解説

「JPYC」の話をする前に、まずは主役である「ステーブルコイン」について知っておきましょう。

そもそも「ステーブルコイン」とは?ビットコインとの違い

皆様がよく聞く「ビットコイン」のような暗号資産(仮想通貨)は、価格がジェットコースターのように激しく動きます。1日で10%以上価格が変動することも珍しくありません。そのため、買い物や送金に利用するには、少し不安を感じるのではないでしょうか。

そこで登場したのがステーブルコインです。「ステーブル(Stable)」とは「安定した」という意味です。その名の通り、特定の資産と価値が連動するように作られており、価格が安定しているのが最大の特徴なのです。

  • ビットコインなど: 価格が大きく変動します。投資や投機の対象です。
  • ステーブルコイン: 特定の資産(法定通貨など)と価値が連動し、価格が安定しています。「決済」や「送金」での利用が主な目的です。

今回登場する「JPYC」は、日本円と価値が連動するため「円建てステーブルコイン」と呼ばれます。つまり、常に「1 JPYC ≒ 1円」の価値を保つように設計されているのです。

なぜ「1 JPYC = 1円」を維持できるのか

「しかし、どうして価値を安定させることができるのか?」と疑問に思うかもしれません。その秘密は「裏付け資産」にあります。

JPYCを発行する会社は、私たちがJPYCを買うために支払った日本円を、そのまま銀行預金や国債といった安全な資産で保管します。例えば、世の中に100億円分のJPYCが発行されていれば、発行会社は必ず100億円分の日本円(やそれに準ずる資産)を信託銀行などに保管しているイメージです。

この「裏付け資産」があるからこそ、利用者が「1 JPYCを1円に交換したい」と要求した際にいつでも対応できます。この安心感が、価値の安定につながっています。これを「資金保全」と呼び、法律でしっかりと義務付けられている、非常に重要なポイントです。

どうやって手に入れるのか

JPYCを手に入れるには、まず「ウォレット」という電子上の財布を用意する必要があります。スマートフォンのアプリのようなものをイメージしていただくと分かりやすいでしょう。

そして、JPYCを扱っている事業者(記事に出てきた「電子決済手段等取引業」の登録業者)を通じて日本円を振り込むと、ご自身のウォレットにJPYCが送金される、という仕組みです。とてもシンプルですね。

【未来予想】海外送金が1円以下に?JPYCがもたらす金融革命

では、このJPYCが普及すると、私たちの生活は具体的にどう変わるのでしょうか。ニュース記事を参考に、その大きな可能性を見ていきましょう。

革命その1:海外送金が「いつでも、どこでも、低コスト」に

これが最もインパクトの大きい変化かもしれません。海外にいるご家族に仕送りをしたり、海外のネットショップで買い物をしたりする際の「国際送金」は、手数料が非常に高いと感じたことはありませんか。

日銀のデータによりますと、銀行経由で200ドル(約3万円)を送金するのに、平均で送金額の17.5%もの手数料がかかっていた時期もありました。3万円を送るのに5000円以上の手数料がかかるというのは、大変な負担です。さらに、着金までに数日かかることも一般的でした。

ところが、JPYCを利用すれば、この問題が一気に解決する可能性があります。

JPYCは「ブロックチェーン」という技術を利用しています。これは、銀行のような仲介者がいなくても、安全に直接お金のやり取りができる仕組みです。そのため、手数料が劇的に安くなります。JPYCの岡部社長は「安ければ1円以下になる」と述べています。

  • これまで: 手数料は数千円、着金までに数日かかっていました。
  • JPYCの場合: 手数料は1円以下になる可能性があり、着金は最短数秒で完了します。

これが実現すれば、海外に留学しているお子様への仕送りや、日本で働く外国人の方が母国のご家族へ送金するのが、非常に簡単で安価になります。まさに金融革命と言えるでしょう。

革命その2:ビジネスやクリエイターの追い風に

JPYCの活躍の場は、個人間の送金に限りません。

例えば、海外の企業と取引をする際、これまではドル建てのステーブルコイン(USDTやUSDC)がよく使われていました。しかし、これからは円建てのJPYCで直接決済ができるようになれば、為替変動のリスクを心配する必要がなくなり、経理の処理もずっと楽になるはずです。

さらに、日本が世界に誇るゲームやアニメ、漫画といったコンテンツ業界での活躍も期待されています。海外のファンが日本のクリエイターに直接JPYCで支援を行ったり、デジタルコンテンツを購入したりすることが、簡単かつ低コストでできるようになるかもしれません。これはクリエイターにとっても大きなチャンスです。

ニュース記事の中で金融庁の関係者が「やっと1社出てきた」と期待を寄せていたのも、こうした日本の産業が世界でさらに強くなる可能性を秘めているからなのです。

【投資家目線】JPYCは利益が出る?知っておくべき課題とリスク

さて、投資初心者の方としては「では、JPYCは投資対象としてどうなのか」という点が気になることでしょう。その点もしっかりと見ていきます。

JPYCは値上がりを狙う投資先ではありません

まず最も重要な点として、JPYCは、価格が常に1円に連動するように作られています。そのため、ビットコインのように「1 JPYC = 10円」といった値上がりを期待して購入するような、投資対象ではないということをご理解ください。

では、投資家にとって全く関係ないかというと、そんなことはありません。JPYCは、他の暗号資産を購入するための「ハブ通貨(基軸通貨)」として、非常に便利になる可能性があります。

これまでは、ビットコインなどを購入するために、まず日本の取引所で円をビットコインに交換し、それを海外の取引所に送金するなど、少し手間がかかっていました。しかし、JPYCがあれば、円をJPYCに交換し、それを様々な暗号資産に直接交換するといった、よりスムーズな取引ができるようになるかもしれません。

知っておきたい課題とリスク

もちろん、良い話ばかりではありません。JPYCが本格的に普及するには、まだいくつかのハードルがあります。

  1. 取扱業者が少ない: 現時点では、JPYCを正式に取り扱える「電子決済手段等取引業」の登録事業者は、SBI VCトレードの1社のみです(2025年8月時点)。購入や売却ができる場所が増えない限り、普及は難しいでしょう。これは今後の大きな課題です。
  2. 法律の壁(発行上限): 現在の資金決済法では、1回あたりの発行上限が100万円と定められています。個人が利用する分には十分かもしれませんが、大きな金額を扱う法人にとっては、利便性が低いと感じられるかもしれません。この規制が将来的に緩和されるかどうかも、普及の鍵を握っています。
  3. マネーロンダリングのリスク: ステーブルコインは、その手軽さから、残念ながらマネーロンダリング(資金洗浄)のような犯罪に利用されやすい側面もあります。誰がどこに送金したのかをしっかりと追跡できる仕組みづくりなど、安全に利用するためのルール整備が、これからさらに重要になります。

どのような新しい技術にも、課題やリスクは伴います。こうしたマイナス面もきちんと理解した上で、冷静に動向を見守ることが大切です。

【まとめ】未来はどうなる?私たちが今からできること

最後に、JPYCとステーブルコインの未来について、そして私たち投資初心者がどう向き合えばいいかをまとめます。

市場はますます大きくなる見込みです

ステーブルコインの市場は、今まさに急成長しています。世界全体ではすでに37兆円を超える規模になっており、そのほとんどがドル建てです。アメリカの金融大手シティグループは、この市場が2030年までに最大で540兆円に達する可能性があると予測しています。非常に大きな成長が見込まれています。

JPYC社は、この予測を参考にすると、円建てステーブルコインだけでも80兆円規模に拡大する可能性があると見込んでいます。もちろん、これはあくまで予測ですが、それだけ大きなポテンシャルを秘めているということです。

投資初心者はどう向き合うべきか

では、私たちは今すぐ何をすればよいのでしょうか。

ぼくからの提案は、「焦らず、しかしアンテナは高く保つ」ということです。

  • 今すぐ焦って購入する必要はありません: 先にも述べたとおり、JPYCは値上がり益を狙うものではありません。
  • まずは情報収集から始めましょう: ステーブルコインやブロックチェーン関連のニュースを時々チェックしてみましょう。どのような企業が参入し、どんな新しいサービスが生まれるのかを知っておくだけでも、未来の投資チャンスを掴むための大きな一歩になります。
  • 少額から試してみるのも良いでしょう: もし将来、JPYCがもっと普及し、普段利用しているサービス(例えば、ポイント交換など)で使えるようになったら、試しに少額だけ利用してみるのも良い経験になると思います。

JPYCの誕生は、日本における「新しいお金の時代の幕開け」と言えるかもしれません。もちろん、普及までにはまだ時間がかかりますし、解決すべき課題も多くあります。しかし、この変化の波に乗り遅れないように、正しい知識を身につけておくことは、これからの時代を賢く生き抜く上で、きっと皆様の武器になるはずです。

今日のまとめ

今回の記事では、新しく登場する「円建てステーブルコインJPYC」について、基本から未来の可能性、そして課題までを一緒に見てきました。最後にポイントを再確認しましょう。

  • JPYCは「1 JPYC ≒ 1円」の価値を持つステーブルコインです。
    • ビットコインとは異なり価格が安定しているのが特徴です。
    • 価値の安定は、円や国債などの「裏付け資産」によって保たれています。
  • 生活が劇的に便利になる可能性があります。
    • 海外送金が「即時・低コスト(1円以下も)」になる金融革命の可能性があります。
    • ビジネス決済やコンテンツ購入など、様々な分野での活用が期待されています。
  • 投資家としての向き合い方
    • 値上がり益を狙う投資対象ではありませんが、暗号資産取引のハブになる可能性があります。
    • まだ取扱業者が少ない、規制があるなどの課題も存在します。
  • 私たちがすべきこと
    • 焦って飛びつくのではなく、まずは正しい知識を身につけて情報収集を続けることが大切です。

JPYCの登場は、私たちの金融やビジネスの常識を大きく変えるポテンシャルを秘めています。難しそうだと敬遠せずに、これからもその動向に注目していきましょう。未来は、知ろうとすることから始まります。

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