【初心者向け】ついに日本で始まる「円建てステーブルコイン」とは?私たちの生活や投資はどう変わるのか、専門用語を交えず徹底解説!【JPYC】

投資ニュース解説

「デジタルマネー」や「暗号資産」と聞くと、「なんだか難しそう…」「ビットコインみたいに値動きが激しくて怖いな」なんて思っていませんか?

実は2025年の秋、私たちの「お金」の常識をガラッと変えるかもしれない、新しいデジタルマネーが日本で本格的に始まろうとしています。それが「円建てステーブルコイン」です。

最近ニュースで、「JPYCという円建てステーブルコインが、この秋から発行される」という話題が取り上げられました。これは、フィンテック企業のJPYC社が発行するもので、三菱UFJ銀行のようなメガバンクも法人向けのステーブルコインを準備しているなど、今、金融業界で非常に注目されている動きなんです。

広がるステーブルコイン経済圏 「円建て」今秋に始動、普及の条件は - 日本経済新聞
日本円に価値が連動するステーブルコイン「JPYC」の発行が近く始まる。ブロックチェーンを基盤にした新しいデジタルマネーで、24時間リアルタイムに低コストで送金・決済ができる。米国では7月にステーブルコインを事実上制度化する「ジーニアス法」が...

この記事では、

  • そもそも「ステーブルコイン」って何?ビットコインとどう違うの?
  • 私たちの生活にどんなメリットがあるの?
  • 投資としてはどう考えればいいの?危険はないの?

といった疑問を、投資初心者の方にもゼロからご理解いただけるよう、専門用語をできるだけ使わずに、わかりやすく解説していきます。未来のお金の話、ぜひ一緒にのぞいてみましょう!

【導入】新しいお金の誕生?2025年秋、日本が変わるかもしれない話

2025年の秋、日本で新しい「お金」の時代が幕を開けようとしています。その主役が、「円建てステーブルコイン」です。

最近のニュースで、フィンテック企業であるJPYC社が、日本円と1対1の価値で連動する「JPYC」というステーブルコインをこの秋から発行することが報じられました。これは、改正された法律(改正資金決済法)のもとで発行される、いわば「国のお墨付き」を得た新しい形のデジタルマネーです。

「デジタルマネーって、PayPayとかSuicaと何が違うの?」「暗号資産って聞くと、ビットコインみたいに価格が乱高下して危ないイメージ…」

そう感じる方もきっと多いですよね。でも、ご安心ください。このステーブルコインは、これまでの電子マネーとも、価格が激しく動く暗号資産とも少し違う、ユニークな特徴を持っています。それは私たちの生活、特にお金の送金や決済、さらには資産運用のあり方まで変えるほどの大きな可能性を秘めているんです。

この記事では、そんな「円建てステーブルコイン」の基本の「き」から、私たちの生活や仕事にどんな影響があるのか、そして投資初心者として知っておくべきポイントまで、一つひとつ丁寧に解説していきます。読み終わる頃には、未来のお金の形がきっとクリアに見えてくるはずです。

そもそも「ステーブルコイン」って何?ビットコインと何が違うの?

「ステーブルコイン」という言葉、初めて聞く方も多いかもしれませんね。まずはこの言葉を分解してみましょう。

  • ステーブル(Stable):英語で「安定した」という意味です。
  • コイン(Coin):ここでは暗号資産(デジタル通貨)を指します。

つまり、ステーブルコインとは「価値が安定したデジタル通貨」のこと。これが最大の特徴であり、ビットコインなどの他の暗号資産との決定的な違いです。

ビットコインは、1枚あたりの価格が数分で何十万円も変動することがあるように、価格の不安定さが特徴です。これでは、今日のランチ代が明日には2倍になっているかもしれず、日常的な決済に使うのは少し不安ですよね。

一方、今回登場する「JPYC」のような円建てステーブルコインは、常に「1 JPYC ≒ 1円」となるように設計されています。価値が日本円と連動しているため、価格が安定しており、安心してお金の代わりに使うことができるのです。

なぜ価格が安定するの?「裏付け資産」の仕組み

では、なぜステーブルコインの価値は安定しているのでしょうか?それは、発行されたコインと同じだけの「裏付け資産」を、発行会社がきちんと保管しているからです。

円建てステーブルコインの場合、発行会社は利用者が10,000円を払って10,000 JPYCを手に入れたら、その10,000円を銀行預金や安全性の高い国債(日本国債など)として、金庫のように別途保管します。この「いつでも1円と交換できますよ」という保証があるからこそ、価値が安定するのです。この仕組みは法律で厳しく定められているため、信頼性が担保されています。

支える技術「ブロックチェーン」と「スマートコントラクト」

ステーブルコインは「ブロックチェーン」という技術の上で動いています。

  • ブロックチェーンとは? 一言でいうと「みんなで監視し合う、改ざんが極めて難しいデジタルの取引台帳」です。銀行のような特定の管理者がいなくても、取引の記録がチェーン(鎖)のようにつながって共有されるため、透明性と安全性が非常に高いのが特徴です。この技術のおかげで、個人間でも安全にお金のやり取りができます。
  • スマートコントラクトとは? これは「あらかじめ設定したルールに従って、自動的に実行される契約プログラム」のこと。身近な例で言えば、「お金を入れると、ジュースが出てくる」自動販売機のようなものです。この仕組みを使うと、「商品が届いたら、自動的に代金を支払う」といった取引の自動化が可能になり、将来的に様々なサービスへの応用が期待されています。

円建てステーブルコインが普及すると、私たちの生活はどう便利になる?

では、この「円建てステーブルコイン」が私たちの生活に浸透すると、具体的にどんな良いことがあるのでしょうか?ニュースで紹介された企業の取り組みを例に見ていきましょう。

メリット1:お金のやり取りが「いつでも、安く、瞬時に」

皆さんは、銀行で振込をするときに「手数料が高いな」「平日の昼間しか手続きできないのが不便…」と感じたことはありませんか?

ステーブルコインは、ブロックチェーン技術を使っているため、24時間365日、曜日や時間を問わず、いつでもお金を送ることができます。しかも、銀行を介さない直接のやり取りなので、手数料を非常に安く抑えることが可能です。送金もほぼリアルタイムで完了します。特に、手数料が高額になりがちな海外への送金では、このメリットが大きく活かされると期待されています。

メリット2:企業活動がもっとスムーズに

企業間の取引でも大きな変化が起こりそうです。ニュースで紹介されていたソフトウェア開発のアステリア社は、多くの企業が使っている会計システムと、今回の円建てステーブルコイン「JPYC」を連携させるサービスを発表しました。

これにより、例えば「月末になったら、取引先に自動で代金を支払う」「商品が納品されたことをシステムが確認したら、即座に支払いを実行する」といった「支払いの完全自動化」が可能になります。これは経理の仕事を劇的に効率化する可能性を秘めています。

メリット3:お買い物やサービスの使い方がもっと多様に

私たちの身近な決済シーンも変わるかもしれません。クレジットカードのナッジ社は、カード利用代金の返済方法として「JPYC」を使えるようにする、と発表しました。

利用者は銀行口座からの引き落としだけでなく、自分の好きなタイミングでJPYCを送って返済ができるようになります。お店側は特別な対応は不要で、これまで通りのカード決済として扱えます。このように、ステーブルコインは既存の金融サービスと融合することで、私たちの支払い方法の選択肢を増やしてくれるのです。将来的には、ECサイトでの支払いや、クリエイターへの「投げ銭」など、様々な場面での活用が考えられています。

世界の動向は?なぜ今、日本で「円建て」が重要なのか

実は、このステーブルコインの動きは日本だけで起きているわけではありません。世界に目を向けると、すでに熾烈な「デジタル通貨覇権争い」が始まっているのです。

世界では「ドル建て」が主流、決済量はVISAを超える規模に

世界では、米ドルと価値が連動する「ドル建てステーブルコイン」がすでに巨大な市場を築いています。その発行総額は日本円にして約42兆円にも達し、ブロックチェーン上での決済取引量は、なんとクレジットカード大手のVISAやマスターカードを上回るほどの規模にまで成長しているのです。

この流れを加速させるように、米国では2025年7月に「ジーニアス法」という法律が成立しました。これは、ステーブルコインの発行に国の許可を必要とし、安全な資産による裏付けを義務付けるなど、国としてステーブルコインを正式な決済手段として認めるものです。これは、現実世界だけでなく、デジタル空間でも「ドル」を世界の基軸通貨にしようという米国の強い意志の表れと見られています。

過去の失敗から学ぶ:裏付け資産の重要性

一方で、ステーブルコインには苦い歴史もあります。数年前、韓国発の「テラUSD」というステーブルコインが、高い利回りをうたって世界中の投資家から資金を集めましたが、その仕組みの欠陥から価値が暴落。一瞬にして約4兆円もの資産が失われるという大事件が起こりました。

この事件は、私たちに「何を裏付けに価値が保証されているのか」を確認することの重要性を教えてくれました。その点、今回日本で始まる「JPYC」は、円や日本国債という確かな資産を裏付けとしているため、テラのようなリスクは低いと考えられています。

なぜ日本で「円建て」が重要なのか?

では、なぜ世界でドル建てが主流の中、日本で「円建て」のステーブルコインを普及させることが重要なのでしょうか?

JPYC社の岡部社長は「円建てコインの世界シェアを一定程度持つことが日本にとって重要になる」と語っています。将来、あらゆるものがインターネットにつながり、AI(人工知能)が自動で取引を行うようなデジタル経済圏が拡大したとき、そこで使われるお金がすべてドル建てステーブルコインだったらどうなるでしょうか。日本の金融サービスや経済活動が、海外のプラットフォームに依存してしまう可能性があります。

デジタル世界でも「日本円」の価値と存在感を保ち、日本の経済力を守るために、信頼性の高い円建てステーブルコインを育てていくことは、非常に重要な国家戦略の一つなのです。

【投資初心者向け】ステーブルコインは「買い」なの?注意点と未来の可能性

ここまで読んで、「ステーブルコインって面白そう!投資対象としてはどうなの?」と興味を持った方もいるかもしれません。最後に、投資初心者の方が知っておくべきポイントと、注意点を解説します。

注意点:値上がり益を狙う投資対象ではない

まず最も重要なことは、ステーブルコインは、ビットコインのように価格が10倍、100倍になることを期待して買うような投資対象ではないということです。その価値は常に「1コイン≒1円」に安定するように設計されているため、売買による差額で利益(キャピタルゲイン)を得ることは基本的にできません。あくまで「価値が安定した便利なデジタルマネー」と捉えるのが正しい理解です。

未来の投資の形?「DeFi(分散型金融)」での活用

では、投資の観点からは全く魅力がないのかというと、そうとも言えません。ステーブルコインは「DeFi(ディーファイ)」と呼ばれる新しい金融の世界で、資産を「運用」するためのツールとして注目されています。

  • DeFi(分散型金融)とは? 銀行や証券会社といった仲介組織を介さずに、ブロックチェーン上で個人やプログラム同士が直接、お金の貸し借りや交換などを行える新しい金融の仕組みです。

DeFiの世界では、自分が持っているステーブルコインを誰かに貸し出すことで、銀行預金よりも高い利息(インカムゲイン)を得られる可能性があります。もちろん、高いリターンには相応のリスクが伴いますが、ステーブルコインはこうした新しい資産運用の入り口になるかもしれないのです。

知っておくべき3つのリスク

ステーブルコインを利用する上で、以下のリスクは必ず頭に入れておきましょう。

  1. サイバー攻撃のリスク:デジタル資産である以上、ハッキングなどによって盗まれてしまう可能性はゼロではありません。自分の資産を守るためのパスワード管理などが重要になります。
  2. 運営企業の信頼性:発行会社が倒産したり、裏付け資産の管理がずさんだったりすると、価値が保証されなくなるリスクがあります。信頼できる発行会社を選ぶことが不可欠です。
  3. 法規制の変更リスク:ステーブルコインはまだ新しい分野のため、今後、国の法律や規制が変わる可能性があります。常に最新の情報をチェックする姿勢が大切です。

まとめ:未来への第一歩

ステーブルコインの普及には、誰もがスマホで簡単に使える「ウォレット(デジタル上のお財布)」アプリの登場など、まだいくつかのハードルがあります。しかし、そのポテンシャルは計り知れません。

投資初心者の方は、まずは慌てて飛びつく必要はありません。これから始まる様々なサービスを実際に目にしながら、「未来のお金はこんな風に変わっていくんだな」と、その可能性を感じてみてください。ステーブルコインを正しく理解することが、未来の金融社会を賢く生き抜くための第一歩になるはずです。

まとめ:新しいお金の時代が、もうすぐそこに

今回は、2025年秋から日本で本格的に始まる「円建てステーブルコイン」について、初心者の方にも分かりやすく解説してきました。最後に、この記事のポイントを振り返ってみましょう。

  • 価値が安定したデジタル通貨 日本円などの法定通貨と価値が連動しているため、ビットコインのように価格が激しく変動することがなく、決済や送金手段として使いやすいのが特徴です。
  • 生活が「安く、速く、便利に」なる可能性 24時間365日の送金や、格安の決済手数料が実現し、企業間の取引も自動化されるなど、私たちの金融体験を大きく変えるポテンシャルを秘めています。
  • 世界ではデジタル通貨の覇権争いが激化 アメリカはドル建てステーブルコインを国の戦略として推進しており、日本も「円」の価値をデジタル世界で保つために、この分野で存在感を示すことが重要になっています。
  • 投資としては「値上がり益」より「運用」に注目 価格が安定しているため、売買で儲ける投資対象ではありません。しかし、DeFi(分散型金融)といった新しい金融サービスで「貸して増やす」といった資産運用の選択肢になる可能性があります。

「円建てステーブルコイン」は、まだ始まったばかりの技術です。しかし、それは単なる新しい電子マネーの登場ではなく、送金、決済、企業の経理、そして資産運用のあり方まで、社会の仕組みを根底から変えるかもしれない大きな一歩です。

もちろん、新しいものにはリスクも伴います。だからこそ、正しい知識を身につけ、そのメリットとデメリットをしっかり理解しておくことが大切です。まずは少額から試せるサービスが登場するのを待ちながら、これからのニュースにぜひ注目してみてください。新しいお金の時代は、もうすぐそこまで来ています。

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