【老後の新常識】「貯金だけで死ぬ」は絶対NG!50代から始める「幸せにお金を使い切る」最高の技術

投資ニュース解説

「老後のためにお金を貯めなきゃ……」 毎日そう思って節約に励んでいませんか?

もちろん、将来への備えは大切です。でも、もし「死ぬ瞬間が、人生で一番お金持ちだった」としたら、それは本当に幸せな人生だったと言えるでしょうか?

実は今、多くのファイナンシャル・プランナーや経済の専門家が「老後資金は、元気なうちに使い切るべきだ」と警鐘を鳴らしています。

今回は、PRESIDENT Onlineに掲載された記事をもとに、「貯金だけで終わらない、自分らしい人生の楽しみ方」について、投資初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

1. なぜ「貯金だけして死ぬ」のが残念なのか?

まずは、今回取り上げる記事をご紹介します。

貯金だけして死んでいくのは残念すぎる…FPが徹底解説「老後資金を使うベストタイミング」と「正しい使い方」【2025年11月BEST】 「将来が不安だから」必要以上に溜め込む人がたくさんいる
老後資金はどのように使っていけばいいのか。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんは「老後資金を使うことへの罪悪感や不安は、多くの人に共通している。だが、元気なうちに、貯めた老後資金をいかに効率良く使うかを考えておかないと、大切な資産をほと...

記事の中でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんは、「老後資金を使うことへの罪悪感から、必要以上に資産を溜め込んでしまう人が多い」と指摘しています。

実は、2023年度だけで、相続人がおらず国庫(国の財布)に入った遺産は約1015億円にも上ります。多くの人が、せっかく貯めたお金を使わずにこの世を去っているのです。井戸さんは、資産を残すことよりも、「使ってよかった」と思える価値ある体験にお金を振り向けるべきだと提言しています。

「資産の最大化」より「幸福の最大化」を

投資や貯蓄の勉強をしていると、どうしても「いかに資産を増やすか(資産の最大化)」ばかりに目が行きがちです。複利の効果で雪だるま式に増やす……それは素晴らしいことですが、お金はあくまで「交換チケット」に過ぎません。

今回の記事が私たちに問いかけているのは、「そのチケット、いつ使うんですか?」ということです。

自分らしい人生にするために、お金はあるのです。「死ぬときに資産がゼロになる(=使い切る)」のが理想的だという考え方は、ベストセラー『DIE WITH ZERO』などでも提唱され、世界的なトレンドになっています。

この記事をきっかけに、今の貯蓄計画が「ただ不安を埋めるためだけのもの」になっていないか、一緒に見直していきましょう。

2. 基礎知識:人生の「黄金期間」を知っていますか?

記事の中で特に重要なキーワードとして登場するのが、人生の「黄金期間(ゴールデン・ピリオド)」という考え方です。

これは、50歳から75歳までの期間を指します。

なぜ50歳~75歳が「黄金」なのか?

投資初心者の方にこそ知ってほしいのですが、人生には「お金を使ってもっとも満足度が高い時期」が存在します。それがこの期間です。

  • 子育てが一段落する: 教育費の負担が減り、自分たちのために使えるお金と時間が増えます。
  • 仕事の集大成: 経験値が上がり、収入も安定している時期です。
  • まだ体が動く: ここが一番重要です。旅行に行ったり、新しい趣味を始めたりするには体力が必要です。

「健康寿命」と「平均寿命」の残酷なギャップ

ここで、少し専門的なデータを見てみましょう。ニュース記事でも触れられていますが、私たちには2つの「寿命」があります。

  1. 平均寿命: 亡くなるまでの年齢
  2. 健康寿命: 介護などを必要とせず、自立して健康に生活できる年齢

2022年の調査によると、日本人の健康寿命は以下の通りです。

  • 男性:約72.6歳
  • 女性:約75.4歳

一方、平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳です。つまり、人生の最後の約10年は、思うように体が動かない可能性が高いということです。

「退職して80歳になったら世界一周旅行に行こう」と思ってお金を貯めていても、その時には体力がついていかないかもしれません。だからこそ、体が元気な「黄金期間」にお金を使い、思い出を作ることが、投資のリターン以上に人生の質を高めてくれるのです。

3. マインドセット:日本人が陥る「老後不安」の正体

「理屈はわかるけど、やっぱり将来が不安でお金が使えない……」 そう思うのは当然です。日本人は世界的に見ても心配性な国民性があると言われています。

2230兆円が眠っている現実

記事によれば、2024年12月末時点で日本の個人金融資産は史上最高の2230兆円に達しました。そして、その約6割を60歳以上が保有しています。

これは、「老後のために」と頑張って貯めたお金が、結局使われないまま積み上がっている証拠でもあります。私たちは「長生きリスク」や「医療費」を過剰に恐れすぎているのかもしれません。

年齢とともに「使いたくても使えなくなる」

初心者の方が覚えておくべき経済の真実の一つに、「年齢とともに支出は自然に減少する」という法則があります。

現役時代は、付き合いの飲み会、新しい服、子供の学費、住宅ローンなど出費が多いですが、75歳を過ぎるとどうなるでしょうか?

  • 食が細くなり、食費が減る
  • 遠出が億劫になり、旅行費が減る
  • 物欲が落ち着き、大きな買い物をしなくなる

FPの井戸さんが指摘するように、医療・介護費以外の支出はかなり限定されていきます。「老後は毎月ものすごくお金がかかる」というのは、実は思い込みの部分も大きいのです。

この事実を知るだけでも、「今、もう少し楽しみにお金を使っても大丈夫かもしれない」と思えませんか?

4. 実践編①:お金の「流れ」を見える化する技術

では、具体的にどうすれば「将来破綻せずに」今お金を使えるようになるのでしょうか? 記事で紹介されている、プロ直伝のテクニックを解説します。

ステップ1:「人生年表」を作る

まず、ノートを広げて「人生年表」を書いてみましょう。 横軸に年齢(自分とパートナー)、縦軸に予定されるイベントを書きます。

  • 60歳:定年退職、再雇用スタート
  • 65歳:完全リタイア、夫婦で北海道旅行(予算50万円)
  • 70歳:自宅のバリアフリー・リフォーム(予算300万円)
  • 75歳:車の免許返納、車売却

こうして「いつ、何にお金を使うか」を書き出すと、「あ、70歳までにこれだけあればいいんだ」というゴールが見えてきます。漠然とした不安が、具体的な目標額に変わる瞬間です。

ステップ2:「ストック」と「フロー」を分ける

投資初心者の方にぜひ覚えてほしい用語があります。「ストック」と「フロー」です。

  • ストック(Stock):貯金残高や資産総額。「貯まっている水」のイメージ。
  • フロー(Flow):毎月の収入と支出。「流れている水」のイメージ。

老後資金で大切なのは、日々の生活費(食費や光熱費)は、年金などの「フロー(毎月の収入)」の範囲内で暮らすことです。 そして、旅行やリフォーム、医療費などの特別支出は、これまで貯めてきた「ストック(貯蓄)」を取り崩して使います。

この2つを混ぜて考えると、「貯金が減っていく!」とパニックになります。 「生活費は年金で賄えているから大丈夫。貯金は楽しむために使うもの(ストック)」と割り切ることで、罪悪感なくお金を使えるようになります。

解説:医療・介護費はいくら必要? 記事によると、老後の医療費・介護費の備えは、ざっくり1人あたり1000万円(総額)を目安に確保しておけば安心とのこと。これを「使ってはいけない聖域(ストック)」として確保し、それ以外のお金は「楽しむための資金」として分類してみましょう。

5. 実践編②:50代から始める「貯めながら使う」出口戦略

最後に、具体的な資産運用の「出口戦略」について解説します。 記事では、50代になったら「貯めながら使う」ことを推奨しています。

iDeCo(イデコ)の「ロック機能」を味方につける

投資初心者の方にもおすすめな制度がiDeCo(個人型確定拠出年金)です。 「節税しながら老後資金を作る制度」として有名ですが、実は「60歳まで絶対に引き出せない」という制限(ロック機能)こそが最大のメリットです。

どういうことかと言うと、iDeCoにお金を入れている限り、そのお金は物理的に使えません。つまり、「iDeCoに入っているお金=老後の命綱」として確保されている状態です。

この安心感があるからこそ、手元にある他の資金や給料を、趣味や旅行などの「現在の幸せ」のために思い切って使うことができるのです。

2027年の改正でさらに使いやすく!

さらに朗報です。ニュース記事にもある通り、iDeCoは制度改正により、2027年からは70歳まで加入(積立)が可能になる予定です。

  • これまで:60歳か65歳で積立終了
  • これから:長く働きながら、70歳まで積立を継続できる

これにより、「60代は働きながらiDeCoで積立を続け(資産を育て)、手元の給料は旅行や趣味に使う」というライフスタイルが可能になります。まさに「使いながら貯める」の実現です。

「モノ」より「体験」に投資しよう

お金を使うと言っても、ブランド品を買い漁るのが正解ではありません。幸福学の観点からも、「モノ(Goods)」よりも「体験(Experience)」にお金を使う方が、幸福感が長続きすることがわかっています。

  • 学び直し(リスキリング)で新しいスキルを身につける
  • 夫婦で思い出に残る旅行に行く
  • ずっとやりたかった楽器を習う

これらは「思い出」という、誰にも奪われない資産になります。死ぬ時に残るのは、銀行口座の数字ではなく、こうした豊かな思い出です。

まとめ:あなたの人生の主役は「お金」ではなく「あなた」です

今回の記事のポイントをまとめます。

  1. 貯め込みすぎ注意:資産最大化を目指して死ぬのはもったいない。「使い切る」意識を持とう。
  2. 黄金期間を逃さない:50歳~75歳の「元気で動ける期間」こそが、お金の使いどき。
  3. 不安の見える化:「人生年表」を作り、医療費(約1000万円)以外の余剰資金を把握する。
  4. 制度の活用:iDeCoで「老後の聖域」を確保しつつ、今あるお金は「体験」に投資する。

「老後が不安だから」といって、今の楽しみを全て我慢するのは、人生のバランスを欠いていると言えます。 お金は、あなたの人生をより鮮やかに、より自分らしくするための道具に過ぎません。

50代、60代はまだまだ人生の現役です。 ぜひ今日から、「何にお金を使ったら、自分の人生は最高になるか?」を考えてみてください。通帳の残高を眺める時間より、行きたかった場所のパンフレットを眺める時間の方が、きっとワクワクするはずです。

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