2025年の投資信託リターンに起きた「逆転劇」
新NISAが始まって2年が経過した2025年。多くの投資家に人気の投資信託の年間リターン(収益率)を比較したところ、驚きの結果が出ました。それは、全世界株式に投資する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」が20.51%のリターンを記録し、首位を獲得したことです。
一方、これまで圧倒的な人気を誇っていた「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は15.66%のリターンで10位にとどまりました。約5ポイントもの差がついたのです。
「米国株が最強」と言われ続けてきた投資の世界で、なぜこんな逆転劇が起きたのでしょうか?そして、この変化は私たち投資初心者にとってどんな意味を持つのでしょうか?
この記事では、2025年の投資信託リターンランキングから見えてきた「分散投資の力」について、できるだけわかりやすく解説していきます。投資を始めたばかりの方も、これから始めようと思っている方も、ぜひ最後までお読みください!
なぜオルカンが米国株を上回ったのか?
2025年の市場で何が起きたのか
2025年は投資の世界にとって、とても興味深い年でした。これまで長く続いてきた「米国一強」の構図に変化の兆しが見え始めたのです。
具体的に数字で見てみましょう。2025年の主要な投資信託のリターンは以下のとおりでした:
- 全世界株式型(オルカン): 20.51%
- 米国株式型(S&P500): 15.66%
- 米国大型テック株集中型: 16.64%(前年は70%超で首位だったのに!)
これを見て「あれ?」と思った方もいるかもしれません。実は、オルカンは投資先の約60%が米国株なんです。それなのに、なぜ米国株100%のS&P500を上回ったのでしょうか?
地域分散の効果が発揮された
答えは「地域分散」にあります。オルカンの残り約40%は米国以外の株式に投資されています。この40%が2025年に大活躍したのです。
2025年は世界的な株高が続きましたが、その中で特に目立ったのが:
- 欧州株の好調: スペインやイタリアなど南欧諸国の株価が大幅上昇
- 新興国株の躍進: 韓国、中国、アジア地域の株式が米国株をアウトパフォーム(上回る成績)
- 日本株の復活: TOPIXが米国S&P500を上回る好成績を記録
つまり、2025年は「米国だけが良かった」のではなく、「世界中の株式市場が元気だった」年だったのです。
円安効果も追い風に
もう一つ見逃せないのが「為替」の影響です。
オルカンに組み入れられている米国以外の株式は、ユーロや英ポンドなどさまざまな通貨で運用されています。2025年は円安が進んだため、これらの外貨建て資産の価値が円換算で押し上げられました。
投資の世界では、株価の上昇だけでなく、為替の動きも最終的なリターンに大きく影響するのです。オルカンはこの「為替分散」の恩恵も受けることができました。
マグニフィセント7の勢い鈍化
2024年まで米国株を引っ張っていたのが、「マグニフィセント7」と呼ばれる巨大テック企業7社(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、エヌビディア、テスラ)でした。
しかし2025年は、これらの企業に集中投資するファンドのリターンが16.64%にとどまり、前年の70%超から大きく減速しました。一方で、日本株に主に投資する「ひふみプラス」がこれを下回るなど、投資家の資金が米国大型テック株から他の地域や銘柄へと広がっていったのです。
「米国一強」は本当に終わったのか?
過去のデータが示す教訓
ここで少し視野を広げて、歴史を振り返ってみましょう。
実は、「どの国の株式が一番強いか」は時代によって大きく変わってきました。1970年代から2020年代まで、10年ごとに最もリターンが高かった国や地域を見ると:
- 1970年代: 日本株が優位
- 1980年代: 日本株が大活躍(バブル期)
- 1990年代: 米国株が台頭
- 2000年代: 新興国株が好調
- 2010年代: 米国株が圧倒的に優位
このように、株式市場のリーダーは時代とともに変わってきたのです。「永遠の勝者」は存在しないと言えるでしょう。
2025年後半以降の見通し
では、2025年の結果を受けて、今後はどうなるのでしょうか?
専門家の見解を総合すると:
米国株の強みは健在
- 2025年のS&P500企業の利益成長率は15%前後と予想されている
- AI関連の設備投資は拡大を続け、2028年には1兆ドルを超える見込み
- トランプ政権の規制緩和や減税政策が企業収益を後押しする可能性
しかし不透明要因も
- 関税政策による貿易摩擦のリスク
- 株価指標面での割高感(PERが歴史的高水準)
- 大型テック株への集中リスク
非米国株の魅力
- 欧州や日本、新興国の株価バリュエーション(割安度)は米国より魅力的
- アジア新興国は世界経済の成長エンジン
- 地政学リスクの分散効果
つまり、米国株の成長力は引き続き期待できるものの、「米国だけに集中する」よりも「世界中に分散する」方が、リスクとリターンのバランスが取れる可能性が高いということです。
投資初心者が知っておくべき「分散投資」の基本
分散投資ってそもそも何?
ここで、投資の基本中の基本である「分散投資」について整理しましょう。
分散投資とは、簡単に言えば「卵を一つのカゴに盛らない」という考え方です。一つのカゴに全部の卵を入れていたら、そのカゴを落としたときに全部の卵が割れてしまいますよね。でも、複数のカゴに分けて入れておけば、一つのカゴを落としても被害は最小限で済みます。
投資も同じです。一つの国や一つの企業だけに投資していると、その国や企業に何か問題が起きたときに大きな損失を被る可能性があります。でも、世界中のさまざまな国や企業に分散して投資しておけば、どこかが不調でも他がカバーしてくれる可能性があるのです。
オルカンとS&P500の違いを理解しよう
新NISA で人気の2つの投資信託を比較してみましょう:
eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)
- 投資対象: 先進国23カ国+新興国24カ国の約2,900銘柄
- 地域配分: 米国約60%、日本約5%、その他約35%
- 信託報酬: 年0.05775%程度(超低コスト)
- 特徴: 自動的に世界の時価総額に応じて配分が調整される
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 投資対象: 米国の代表的な500銘柄
- 地域配分: 米国100%
- 信託報酬: 年0.09372%程度(超低コスト)
- 特徴: 米国経済の成長をダイレクトに享受できる
どちらも優れた投資信託ですが、オルカンの方がより広く分散されているため、リスクが抑えられる傾向があります。一方、S&P500は過去のリターンが高く、米国経済の成長力に賭けたい人に向いています。
あなたに合った選び方は?
オルカンが向いている人:
- とにかくリスクを抑えたい
- 世界経済全体の成長を信じている
- どの国が伸びるか予想できないので、全部に投資したい
- 投資のことをあまり考えずに長期保有したい
S&P500が向いている人:
- 多少のリスクを取ってでも高いリターンを狙いたい
- 米国経済の強さを信じている
- GAFAMなどの米国テック企業の成長に期待している
両方に投資するのもアリ: 実は、オルカンとS&P500の両方に投資する人もいます。ただし、オルカンにはすでに60%の米国株が含まれているので、両方持つと米国株の比率がかなり高くなることは理解しておきましょう。
むしろ、オルカンを持っている人が分散を強化したいなら、日本株や新興国株のファンドを追加する方が効果的かもしれません。
2026年以降の投資戦略 – これからどうする?
2025年の教訓を活かす
2025年の投資信託リターンランキングから、私たちが学ぶべき教訓は何でしょうか?
教訓1: 過去の実績だけで判断しない 2024年まで圧倒的だった米国株が、2025年には全世界株に追い抜かれました。「過去ずっと良かったから、これからも良い」とは限らないのです。
教訓2: 分散投資の効果は本物 オルカンが米国株を上回ったのは、まさに分散投資の効果です。どの地域が好調になるかは予測困難ですが、広く分散しておけば、好調な地域の恩恵を確実に受けられます。
教訓3: 為替の影響も大きい 株価だけでなく、為替の動きも最終的なリターンに大きく影響します。複数の通貨に分散することで、為替リスクも分散できます。
教訓4: 長期投資の重要性 短期的には米国株が優位だったり全世界株が優位だったりしますが、どちらも長期的には右肩上がりで成長しています。短期の勝ち負けに一喜一憂せず、長期で保有し続けることが大切です。
2026年以降の投資環境
専門家の予測によると、2026年以降の投資環境は以下のような特徴が予想されています:
注目ポイント:
- FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが継続する可能性
- トランプ政権の政策(規制緩和、減税、関税)の影響
- AI関連投資のさらなる拡大
- 新興国、特にアジア地域の成長加速
- 米国大型テック株からの資金分散の継続
2026年は、引き続き世界的な株高が期待される一方で、ボラティリティ(価格変動)が大きくなる可能性もあります。だからこそ、しっかりと分散された投資が重要になるのです。
投資初心者へのアドバイス
最後に、投資を始めたばかりの方、これから始める方へのアドバイスをまとめます:
1. 無理のない金額から始める 投資は余裕資金で行うのが鉄則です。生活費や緊急時の備えは別に確保しておきましょう。
2. つみたて投資を活用する 毎月一定額を積み立てることで、高値掴みのリスクを減らせます。新NISAのつみたて投資枠を活用しましょう。
3. 長期保有を前提に 短期的な値動きに惑わされず、10年、20年という長期スパンで考えましょう。時間が味方になります。
4. 分散を意識する オルカンのような全世界株式ファンドなら、1本で十分な分散ができます。最初はシンプルに始めるのがおすすめです。
5. 情報収集を継続する 市場環境は常に変化します。定期的に情報をチェックし、必要に応じてポートフォリオを見直しましょう。
6. 専門家の意見も参考に 不安なときは、金融機関の相談窓口やファイナンシャルプランナーに相談するのも一つの方法です。
分散投資の力を信じて、着実に資産形成を
2025年の投資信託リターンランキングは、私たちに大切なことを教えてくれました。それは、「分散投資の力」です。
長年、米国株の圧倒的な強さが続いてきましたが、2025年には全世界株式が米国株を上回りました。これは、世界中に分散して投資することの価値を改めて証明する結果となりました。
もちろん、米国株の成長力は今後も期待できますし、S&P500が悪い選択というわけではありません。どちらを選ぶかは、あなたのリスク許容度や投資方針次第です。
大切なのは:
- 過去の実績だけで判断しない
- 分散投資でリスクを抑える
- 長期的な視点を持つ
- 自分に合った投資スタイルを見つける
2025年の結果を見て、「やっぱりオルカンに変えようかな」と思った方もいるかもしれません。でも、焦って変更する必要はありません。どちらのファンドも優れた商品です。
もし今S&P500を積み立てているなら、それを続けながらオルカンも少し追加するとか、新規の積立分だけオルカンにするとか、柔軟に対応すればOKです。
投資は短距離走ではなくマラソンです。一時的な勝ち負けに一喜一憂せず、着実にコツコツと積み立てを続けることが、資産形成への最短ルートなのです。

