【新NISA】「eMAXIS Slimの父」が語る!投資初心者が知るべき「信託報酬」の真実とは?

投資ニュース解説

新NISAが始まって、「私も投資デビューしました!」という方も多いのではないでしょうか?

「つみたて投資枠で何を買えばいいか分からない…」

「とりあえず『オルカン』か『S&P500』がいいって聞いたけど…」

そんな投資初心者の皆さんを力強くサポートしてくれる、今、日本で最も選ばれている投資信託シリーズがあります。それが、「eMAXIS Slim」シリーズです。

最近、この「eMAXIS Slim」シリーズの”生みの親”である、三菱UFJアセットマネジメントの代田秀雄(しろた ひでお)さんのインタビュー記事(AERA Money 2025/11/05配信)を見つけました。

eMAXIS Slim生みの親・代田秀雄氏「信託報酬を運用会社がコントロールするなんて無理」の理由【新NISA応援】 | AERA DIGITAL(アエラデジタル)
本連載12回目は代田(しろた)秀雄さんの登場。純資産総額首位の投資信託「eMAXIS Slim」シリーズの生みの親だ。2025年4月1日付で常務を退任した三菱UFJアセットマネジメントでは特別業務…

なぜ「eMAXIS Slim」は、私たち投資初心者からベテランまで、こんなにも愛され、選ばれ続けているのでしょうか?

この記事では、代田さんの貴重な言葉をひも解きながら、投資初心者の皆さんが絶対に知っておくべき「eMAXIS Slimが最強と呼ばれる理由」と、皆さんの資産形成に直結する「信託報酬のウラ側」について、どこよりも分かりやすく解説していきます!

この記事を読み終わる頃には、あなたが新NISAでeMAXIS Slimを選ぶべき理由が、ハッキリと分かるはずです。

「eMAXIS Slim」って、何がそんなにスゴいの?

まずは、eMAXIS Slimシリーズがいかにスゴいか、その「現在地」から見てみましょう。

2025年10月のデータによると、日本にある5,000本以上の投資信託の中で、純資産総額(ファンドに集まったお金の総額)の第1位と第2位を、eMAXIS Slimが独占しています。

  • 第1位:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
  • 第2位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

この2本だけで、なんと17兆円(!)を超えるお金が集まっているんです。まさに、新NISA時代の「お金の受け皿」の代表格と言えます。

なぜ、こんなにも人気なのか? その最大の理由は、「徹底した低コスト」にあります。

しかし、代田さんはインタビューで衝撃的なことを語っています。

「(信託報酬の)コストや価格を運用会社側でコントロールするなんて無理ですよ」

え!? 運用会社がコストを決められないって、どういうこと? それこそが、eMAXIS Slimが私たち投資家から「最強」と呼ばれる秘密であり、代田さんのスゴさの核心なんです。

「信託報酬はコントロール無理」の真意と、仁義なき値下げ戦争

投資初心者の皆さんに、まず最初に覚えてほしい超重要ワードがあります。それが「信託報酬」です。

【初心者向け解説】「信託報酬」ってなに?

信託報酬とは、投資信託を運用・管理してもらうための「手数料」のことです。

たとえば、皆さんがジムに通うとしたら「月会費」を払いますよね? それと同じで、投資信託を持っている間、私たちはそのファンドの「会費」を(知らず知らずのうちに)毎日払い続けています。

この信託報酬は、年率「0.1%」や「0.05%」のように表示され、率が低ければ低いほど、私たち投資家の手元に残る利益が増えることになります。

たった0.1%の違いでも、20年、30年と長期で運用すると、最終的なリターンに何十万円、何百万円という大きな差を生む、まさに「チリも積もれば山となる」手数料なのです。

eMAXIS Slimシリーズは、「業界最低水準の運用コストを、将来にわたって目指し続ける」という、とんでもない「公約」を掲げて誕生しました。

これが、代田さんの言う「コントロール無理」の答えです。

どういうことかと言うと…

  1. eMAXIS Slimが、信託報酬「0.1%」でオルカンを発売したとします。
  2. 数か月後、ライバル会社Aが「ウチはもっと安いぞ!」と、信託報酬「0.08%」の類似ファンドを出してきました。
  3. すると、eMAXIS Slimは「業界最低水準を目指す」と約束してしまっている手前、自分たちの利益を削ってでも、信託報酬を「0.08%」か、それ以下に下げざるを得ないのです。

実際に、2023年〜2024年にかけて、この「値下げ戦争」が勃発しました。

オルカンの信託報酬が「0.1133%」だった時代に、日興アセット(現アモーヴァ・アセット)や野村アセットが、相次いで「0.05775%」という、当時の常識を覆すレベルの低コストファンドで殴り込んできたのです。

その結果、三菱UFJアセット(eMAXIS Slimの会社)は、好むと好まざるにかかわらず、約束を守るために信託報酬を「0.05775%」に引き下げました。

この時、多くの投資家が「やっぱりeMAXIS Slimは約束を守ってくれた!」「俺たちのSlimについていく!」と歓喜し、その信頼をさらに強固なものにしました。

これが「コントロール無理」の真意です。 代田さんは、あえて「他社が安くしたら、ウチも下げざるを得ない」という状況に自らを追い込むことで、「業界最低水準」というブランドを確立したのです。

この熾烈なコスト競争は、私たち投資家にとっては、笑いが止まらないほどありがたい状況(=どんどん手数料が安くなる)なんですね。

「儲からない」のにナゼ続ける? 驚異の「薄利多売」ビジネスモデル

ここで、賢い投資初心者の皆さんは、こんな疑問を持つかもしれません。

「そんなに安くして、運用会社は儲かるの?」 「安かろう悪かろうで、運用が雑になったりしない?」

ごもっともな疑問です。 実際、代田さんもインタビューで、eMAXISシリーズ(Slimがつく前の旧シリーズ)を2009年に立ち上げた当初、社内では「これ、本当にやるの?(儲からないのに)」という雰囲気すらあったと語っています。

しかし、代田さんは「年金運用の世界でインデックス化が進んだように、個人の資金運用でも絶対にインデックス化が進む」と確信していました。

【初心者向け解説】「インデックス運用」とは?

インデックス運用とは、「日経平均株価」や「S&P500」といった市場全体の平均点(指数)と同じ値動きを目指す運用スタイルのことです。

一方、プロ(ファンドマネージャー)が「この会社は伸びるぞ!」と銘柄を選んで、平均点以上(市場平均超え)を目指す運用を「アクティブ運用」と言います。

インデックス運用は、機械的に市場平均に連動させるため、調査費用などのコスト(=信託報酬)を安くできるメリットがあります。

長い歴史の中で、「コストの高いアクティブ運用の多くは、コストの安いインデックス運用に勝てない」という事実が証明されており、現在、世界中の資産運用の主流はインデックス運用になっています。

代田さんが見据えていたのは、信託報酬が安くても成り立つビジネスモデルでした。 代田さんは、運用会社の収入をこう定義しています。

「運用会社の収入 = 純資産総額 × 信託報酬 × 投資家の保有期間」

この計算式が、すべての答えです。

信託報酬(1個あたりの利益率)が、たとえ0.1%や0.05%と「薄利」であっても、 純資産総額(=販売個数)が10兆円、20兆円と爆発的に増えれば、 運用会社(三菱UFJアセット)の収入は、とんでもない額になります。

まさに、「薄利多売(はくりたばい)」モデルです。

コンビニのおにぎりが1個150円(利益30円)でも、1日に1000個売れれば、それだけで3万円の利益が出るのと同じです。 eMAXIS Slimは、信託報酬(1個あたりの利益)を極限まで下げた代わりに、新NISAという追い風に乗り、日本中の投資家からお金を集める(=大量に売る)ことで、莫大な純資産総額を築き上げました。

そして、このモデルを成功させる最後のピースが「投資家の保有期間」です。

私たちが新NISAで「つみたて」を始め、相場が良い時も悪い時も「長期保有」し続けること。 それこそが、eMAXIS Slimの純資産総額を安定させ、運用会社の収入を支え、結果として「さらなる信託報酬の引き下げ」という形で、私たち投資家に還元される好循環を生むのです。

代田さんは、2018年の「つみたてNISA」開始を最大の勝機と見抜き、その1年前にeMAXIS Slimを投入しました。 「つみたてNISAで入ってくる新たなお金は、将来すごい規模になる。だから絶対に取りたい」 その慧眼が、今の17兆円という結果に繋がっているのです。

「俺たちのeMAXIS Slim」と呼ばれる理由と「顔の見える」運用

eMAXIS Slimは、いつしか投資家たちから、親しみを込めて「俺たちのeMAXIS Slim」と呼ばれるようになりました。

なぜ、単なる金融商品が、これほどまでに「感情移入」されるブランドになったのでしょうか?

その秘密も、代田さんのインタビューに隠されていました。 代田さんは「eMAXIS Slimの生みの親」と呼ばれることについて、こう語っています。

「(投資信託は一人で作れるものではなく)運用チームも信じられないような努力を重ねています。」 「私が『生みの親』と言われると複雑な気持ちです。」 「ただ、ブランドを高めるためには『顔が見えること』も大切な要素。」

この言葉に、代田さんの誠実さと、ブランド戦略家としてのスゴさが表れています。

投資信託というのは、どうしても「作っている人の顔」が見えにくい商品です。私たちは、自分の大切なお金(未来)を、顔も知らない誰かに託しているわけです。

そんな中、代田さんは「生みの親」としてメディアの前に立ち続け、SNSや「ブロガーミーティング」などのイベントを通じて、投資家と直接対話を続けてきました。

「なぜ低コストにこだわるのか?」 「運用チームはどんな努力をしているのか?」

その「顔」と「想い」を発信し続けることで、私たち投資家は「ああ、この人たちになら任せられる」「このファンドを応援したい」という、単なるコストの安さを超えた「信頼」や「共感」を抱くようになったのです。

ライバルが値下げをしても、eMAXIS Slimがすぐには追随しない時期がありました。 ネットでは「Slimは約束を破るのか?」と不安視する声も上がりましたが、代田さんたちは検討を重ねた上で、キッチリと値下げを実行しました。

「業界最低水準を目指す」という約束を守り続ける姿勢。 そして、その過程を隠さず、投資家と対話しようとする「顔の見える」姿勢。

これこそが、eMAXIS Slimを「ただの安いファンド」から、「信頼できる、俺たちのファンド」へと昇華させた最大の要因なのです。

50兆円構想へ。「伝道師」と私たちが、新NISAで共に創る未来

代田さんは2025年4月に三菱UFJアセットマネジメントの常務を退任されましたが、現在は「特別業務顧問」として、そしてご自身が立ち上げた新会社の代表として、引き続きeMAXIS Slimと長期投資の普及に尽力されています。

まさに「eMAXIS Slimの伝道師」です。

「多くの方が投資をはじめてくださったのに、長期投資を推進してきた私が『退社しました。あとは知りません』ではいけない。」

この言葉、カッコよすぎませんか? 相場が荒れた時(暴落した時)こそ、こうした「顔の見える」存在が「大丈夫、長期で続けましょう」と声をかけてくれることが、私たち投資初心者にとって、どれほどの安心材料になるか分かりません。(ちなみに代田さんご自身も、新NISAで満額つみたてを続けているそうです!)

代田さんは、eMAXIS Slimシリーズの未来について、こう語っています。

「仮に純資産総額が50兆円になれば、運用面もコスト面もさらなる余裕が生まれます。」 「欧米のインデックス投信と伍(ご)していくには、少なくともこのくらいの規模が必要」

50兆円。 とてつもない数字ですが、今の年間流入ペース(2024年は流入と運用益で約7.9兆円増加)が続けば、決して夢物語ではありません。

純資産総額が50兆円になれば、規模のメリットで運用効率がさらに上がり、信託報酬は「0.05775%」どころか、「0.04%」や「0.03%」といった、今では想像もつかないレベルまで下がる(かもしれない)のです。

私たち投資初心者がやるべきこと

新NISAという最高の制度が整い、「eMAXIS Slim」という最高の金融商品(=投資の道具)が、手の届くところにあります。

私たちがやるべきことは、驚くほどシンプルです。

  1. eMAXIS Slim(オルカンやS&P500)を選ぶ。
  2. 新NISA口座で「つみたて」設定をする。
  3. あとは忘れて、本業(仕事や生活)を思いっきり楽しむ。

私たちが「長期・積立・分散」をコツコツと続けること。 それが、自分自身の未来の資産を育てる「最強の戦略」であると同時に、eMAXIS Slimの純資産総額を増やし、未来の「さらなる低コスト」を実現する(=代田さんたちの夢を応援する)ことに、直結しているのです。

「投資」と「社会貢献」と言うと大げさですが、eMAXIS Slimへの投資は、運用会社と私たち投資家が「Win-Win」の関係で、共に未来を創っていく、非常に稀有な金融商品だと言えるでしょう。

まとめ:新NISAの「最適解」は、すでにある

最後に、今回の記事の要点をまとめます。

  • eMAXIS Slimは「純資産総額No.1」の最強ファンド 新NISA時代の「お金の受け皿」として、オルカンとS&P500が圧倒的な人気を誇っています。
  • 強さの秘密は「値下げ戦争」も辞さない徹底した低コスト 「業界最低水準を目指す」という公約を守るため、他社が安くすれば追随する(=コントロール無理)姿勢が、投資家の信頼を勝ち取りました。
  • 「薄利多売」ビジネスモデルを確立 信託報酬が安くても、莫大な純資産総額(=人気)を集めることで、運用会社も投資家もWin-Winの関係を築いています。
  • 「俺たちのSlim」は「顔の見える」信頼の証 代田氏をはじめとする運用チームの「想い」や「努力」が伝わるからこそ、投資家はコストを超えた「共感」でこのファンドを選んでいます。
  • 私たち投資家がすべきは「続けること」 私たちが新NISAで長期積立を続けることが、eMAXIS Slimを50兆円規模へ成長させ、未来の「さらなる低コスト」に繋がります。

投資の神様ウォーレン・バフェットは、「S&P500のインデックスファンドに投資しなさい」と言いました。 eMAXIS Slimの”生みの親”である代田さんは、その「最強の道具」を、日本中の誰もが(新NISAで)使えるように、人生をかけて整備してくれたのです。

新NISAで何を買うべきか迷っているなら、答えはもう出ています。 「eMAXIS Slim」を選び、あとはドンと構えて「長期・つみたて」を続けていきましょう。それが、あなたの未来を豊かにする、最も確実で、最も簡単な方法なのですから。

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