【速報】ついに日本のメガバンクが動き出す!「ステーブルコイン」って何?

投資ニュース解説

3メガバンクがステーブルコインを共同発行するというニュースが話題となっています。

3メガバンク、ステーブルコイン共同で発行 三菱商事が決済で利用へ - 日本経済新聞
三菱UFJ銀行などの3メガバンクは、円や米ドルといった法定通貨の価値に連動するステーブルコインを共同で発行する。まず三菱商事の資金決済で使えるようにする。30万社以上の主要取引先を持つ3メガが手を組み、日本でステーブルコインを普及させる。ス...

まずは、今回のニュースの「キモ」となる言葉、「ステーブルコイン」について、世界一やさしく解説します!

超入門:「ステーブルコイン」ってなに?

「コイン」と聞くと、ビットコインなどの「仮想通貨(暗号資産)」を思い浮かべるかもしれません。

でも、ステーブルコインは、ビットコインとは決定的に違う点があります。

・ ビットコインなど: 買う人・売る人のバランスで、価格がジェットコースターみたいに激しく動く(1BTC=500万円になったり、1000万円になったり…) ・ ステーブルコイン: 「1コイン=1円」とか「1コイン=1ドル」のように、特定の国の通貨(法定通貨)と価値が連動するように設計されたデジタルマネーなんです。

「ステーブル(Stable)」とは「安定した」という意味。 つまり、「価値が安定したコイン」、それがステーブルコインです。

「え、じゃあSuicaやPayPayの残高と何が違うの?」 いい質問ですね! 似ているようで、使っている「技術」がまったく違います。

仕組みは? なぜ価値が安定するの?

ステーブルコインは、なぜ「1コイン=1円」を保てるのでしょうか? それは、「裏付け資産」があるからです。

例えば、今回メガバンクが「100億円分」の円建てステーブルコインを発行するとします。その場合、発行する銀行(や信託銀行)は、「本物の100億円(預金や国債など)」を金庫(信託口座)にちゃんと保管しておかなければならない、というルールがあります。

みんなが「このコインを円に戻したい!」と殺到しても、「はい、ちゃんとここに本物の円がありますよ」と交換できる準備があるから、価値が安定するわけですね。

PayPayと何が違う? 鍵は「ブロックチェーン」

ここが一番のポイントです。 ステーブルコインは、「ブロックチェーン」という技術の上で動いています。

・ ブロックチェーンって? 「みんなで監視しあう、絶対に改ざんできないデジタル台帳」みたいなものです。 取引の記録(ブロック)を、鎖(チェーン)のようにつなげて、世界中のコンピューターに分散して保存します。

・ これがスゴイ理由 ・ コストが激安に: 銀行の巨大なコンピューターシステム(勘定系システム)を通さず、ネット上で直接お金を送りあえるようになります。結果、送金手数料などが劇的に安くなる可能性があります。 ・ スピードが爆速に: 銀行の営業時間を待ったり、国をまたぐ送金で何日も待ったりする必要がありません。24時間365日、ほぼリアルタイムで決済が終わります。 ・ 透明性・安全性が高い: 取引の記録はみんなで見ている(分散型)ので、誰かがズルをしたり、データを消したりするのが非常に困難です。

つまり、SuicaやPayPayが「特定のお店のレジ(システム)」でしか使えないのに対し、ステーブルコインは「ブロックチェーンという世界共通の道路」の上を、誰でも(許可されれば)自由に、安く、速く走れる「デジタルな現金」のようなイメージです。

なぜ3メガバンクが手を組むの?その「狙い」と「背景」

今回のニュースの面白いところは、ライバル同士であるはずの三菱UFJ・三井住友・みずほが、「一緒にやろうぜ!」と手を組んだ点です。

そこには、メガバンクたちの「本気の危機感」と「大きな野望」が隠されています。

狙い①:日本国内の「規格」を統一したい!

もし、三菱UFJが「MUFGコイン」、三井住友が「SMBCコイン」、みずほが「Mizuhoコイン」をバラバラに作ったらどうなるでしょう?

「A社はMUFGコインしか受け付けません」 「B社との取引はSMBCコインでお願いします」 …なんてことになったら、めちゃくちゃ不便ですよね。昔のビデオテープ(VHSとベータ)戦争みたいです。

そうなる前に、「日本で使うステーブルコインのルール(規格)は、これに統一しよう!」と、最初に主導権を握りたいわけです。 新興フィンテック企業「プログマ」のシステムを共通で使うのも、このためです。

狙い②:迫る「海外勢」への対抗措置

今、世界ではアメリカ主導で「ドル」と連動するステーブルコイン(USDCやUSDTなど)がとんでもない勢いで普及しています。

もし、このまま日本の企業や個人が「送金が便利だから」と、ドル連動のコインばかり使うようになったら…?

・ 日本の「円」の力が弱くなってしまう(経済の主導権を握られる) ・ お金の流れを海外の企業に全部コントロールされてしまう

そんな「デジタル金融敗戦」を避けるために、「オールジャパン体制で、しっかりした『円』のステーブルコインを作らねば!」という強い危機感があるのです。

狙い③:国際送金の「非効率」をぶっ壊したい

ニュース本文にもありましたが、今の国際送金は「SWIFT(スイフト)」という仕組みが主流です。

これが、正直言って「高い・遅い・面倒くさい」の三拍子そろっています。 ・ 手数料が数千円、場合によっては送金額の10%を超えることも… ・ 着金までに数日かかることもザラ

ニュースで名前が挙がった新興フィンテックの「JPYC」という会社(これも日本のステーブルコインです)の例では、フィリピンとアメリカ間の送金が「70秒で実行され、コストは1円以下」になったそうです。

…ヤバくないですか?

メガバンクも、この「ブロックチェーンを使った安くて速い決済」という流れに乗り遅れたら、自分たちのビジネスが根こそぎ奪われてしまう!という焦りがあります。だからこそ、自らこの新しい仕組み(ステーブルコイン)を発行する側に回ったのです。

ちょっと待って、「デジタル円」とは違うの?

最近、「デジタル円」という言葉も聞きませんか? これは、ステーブルコインと似ていますが、発行する「親」が違います。

・ デジタル円(CBDC): 発行するのは「日本銀行(日銀)」。私たちのお財布に入っているお札(日本銀行券)のデジタル版です。国の「公式」なお金ですね。こちらはまだ研究・実証実験の段階です。(2025年現在、世界130カ国以上が研究していますが、アメリカは民間主導を選び発行停止を表明するなど、各国の対応は様々です)

・ ステーブルコイン(今回): 発行するのは「民間の銀行や企業」。あくまで民間が発行する「お金に準ずるもの(電子決済手段)」という扱いです。(2025年に入り、日本でもこうしたステーブルコインを発行・取り扱いするための法律やライセンス(資金移動業など)が整備され、JPYCが登録を受けるなど環境が整ってきました)

日銀が発行する「デジタル円」と、メガバンクが発行する「ステーブルコイン」。 この2つが、将来的にどう共存していくのかも大きな注目ポイントです。

具体的に何が変わる?三菱商事の導入事例から見る「未来の決済」

「理屈はわかったけど、結局、何がどう便利になるの?」 ですよね。

今回のニュースでは、最初のユーザーとして「三菱商事」の名前が挙がりました。 ここから、未来の決済の姿をのぞいてみましょう。

第1弾:巨大商社・三菱商事の「社内決済」

三菱商事は、世界中に240社以上の関連会社を持つ、超巨大グループです。 想像してみてください。

・ ブラジルの子会社から、シンガポールの子会社へ送金 ・ 本社から、出資先のベンチャー企業へ資金を移動 ・ 世界中の取引先との間で、毎日発生する莫大な決済…

これらすべてに、先ほどお話しした「高い・遅い」国際送金を使っていたら、どれだけのコストと時間が無駄になっていたでしょうか。

広報担当者も「送金で活用を検討していることは事実」とコメントしています。 まずは、この「グループ内の非効率な資金移動」を、新しく作るステーブルコインで置き換えることから始めるとみられます。

社内(グループ内)であれば、ルールも決めやすいですし、実験もしやすいですからね。

期待される「高速・低コスト」な国際送金

ステーブルコインが本格的に使われ始めると、こうなります。

・ Before(今まで): A社(日本)→ B社(アメリカ)へ100万ドル送金

  1. 日本の銀行に依頼(高い手数料)
  2. 銀行がSWIFTネットワークを使って送金手続き(数時間~数日)
  3. アメリカの銀行が着金確認
  4. B社口座に入金 ・ 結果:着金まで2~3日。手数料で数万円が消える。

・ After(ステーブルコイン): A社(日本)→ B社(アメリカ)へ100万ドル分のステーブルコイン送金

  1. A社がウォレット(デジタル財布)から、B社のウォレットアドレスへ送金ボタンをポチッ
  2. ブロックチェーン上で取引が承認される(数秒~数分) ・ 結果:ほぼリアルタイムで着金。手数料は数十円~数百円。

これが実現すれば、企業にとって革命です。 浮いたコストや時間を、新しいビジネスや商品の値下げに回せるかもしれません。

未来予想図:企業間決済が「プログラム」される?

さらに、ブロックチェーン技術のすごいところは、決済を「自動化」できることです。 これを「スマートコントラクト(賢い契約)」と呼びます。

例えば、こんな未来が考えられます。

・ 例:貿易の自動決済

  1. A社(日本)がB社(海外)からバナナを輸入する契約を結ぶ。
  2. 「B社のコンテナが日本の港に到着し、税関を通過したら、自動でA社からB社へステーブルコイン100万ドル分を送金する」というプログラム(スマートコントラクト)をブロックチェーンに組んでおく。
  3. 港のシステムが「到着OK!」という信号をブロックチェーンに送った瞬間、誰の手も介さず、瞬時に支払いが完了する。

銀行の振り込み手続きも、請求書の発行も不要。 すべてが自動で、正確に、速く行われる…。

今回のメガバンクの取り組みは、まさにこうした「新しい金融インフラ」を作るための第一歩なのです。

私たちの生活や「投資」にはどう影響するの?

「企業の話はわかったけど、私たち個人には関係ないんじゃ…?」 いえいえ、そんなことはありません!

技術というものは、必ず「BtoB(企業向け)」から「BtoC(個人向け)」へと広がってきます。インターネットも、スマホもそうでしたよね。

個人への普及はいつ?どんなメリットが?

まずは法人向けからスタートしますが、数年後には、私たち個人も当たり前にステーブルコインを使うようになっている可能性が高いです。

どんなメリットがあるでしょう?

  1. 個人間の送金が「LINE感覚」で、ほぼ無料に 友達との割り勘、仕送り、海外の友達への送金… 銀行名・支店名・口座番号を聞かなくても、ウォレット(デジタル財布)のアドレスさえわかれば、24時間365日、瞬時に、ほぼ手数料ゼロで送金できるようになるかもしれません。
  2. 海外旅行やネットショッピングが変わる! 「両替手数料」という概念がなくなるかもしれません。 スマホのウォレットで「円ステーブルコイン」を「ドルステーブルコイン」に瞬時に交換し、海外のお店でそのままピッと支払う。そんな未来も考えられます。
  3. デジタル給与の支払い 法律の整備も必要ですが、将来的にお給料の一部が「ステーブルコイン」で支払われる、なんてこともあり得ます。受け取った瞬間に、投資に回したり、送金したり、自由度が格段に上がります。

投資家目線での「3つの注目ポイント」

投資初心者さんにとって、このニュースは「短期的な株価」よりも、「長期的な社会の変化」として捉えることが重要です。

「どの株が上がるか?」ではなく、「この技術が普及したら、どの業界が伸びて、どの業界が厳しくなるか?」という視点を持ちましょう。

  1. 注目①:「ブロックチェーン」関連技術・企業 ステーブルコインは、あくまでブロックチェーンという「土台」の上で動くアプリの一つにすぎません。この「土台」を開発している企業や、安全に管理する「セキュリティ」関連の企業、デジタル財布(ウォレット)を提供する企業など、インフラを支える分野に注目が集まる可能性があります。
  2. 注目②:金融システムの「効率化」がもたらす経済効果 送金コストや決済コストが下がるということは、それだけ企業が「本業」に使えるお金が増えるということです。これは、日本経済全体にとって大きなプラス効果(生産性の向上)をもたらす可能性があります。 回り回って、日本株市場全体の魅力アップにつながるかもしれません。
  3. 注目③:銀行自身の「ビジネスモデル変革」 「送金手数料で稼ぐ」という銀行の伝統的なビジネスは、このステーブルコインによって(皮肉にも)厳しくなる可能性があります。 一方で、メガバンクは「新しい金融インフラのプラットフォーム提供者」として、まったく新しい収益源(システム利用料や、ステーブルコインを使った新しい金融商品の開発など)を生み出すチャンスでもあります。 銀行株に投資している人は、各行がこの変化にどう対応していくかを、しっかりウォッチしていく必要がありますね。

メリットだけじゃない?知っておきたい「リスク」と「課題」

もちろん、こんないい話ばかりではありません。 新しい技術には、必ず「リスク」や「課題」が伴います。投資家としては、むしろこちらを冷静に見る目が大切です。

リスク①:「裏付け資産」は本当に大丈夫?

ステーブルコインの命は、「1コイン=1円」という「価値の安定」です。 そのためには、「100億円分のコインを発行したら、本当に100億円分の本物の円を保管している」ことが絶対条件。

もし、発行元の銀行の経営が傾いたり、保管している資産(国債など)が暴落したりして、「ごめん、全部は返せないかも…」なんてことになったら、パニックが起こります。 (過去に海外では、この裏付け資産が不透明だったステーブルコインが暴落する事件もありました)

今回はメガバンクと三菱UFJ信託銀行が組む「信託型」という、比較的安全性が高いとされる方法(資産がしっかり分別管理される)を取るようですが、「100%安全」ではないことは覚えておきましょう。

リスク②:ハッキングやシステム障害

デジタルである以上、サイバー攻撃による「ハッキング」や、システム障害のリスクはゼロにはできません。 ブロックチェーン自体は安全性が高いと言われますが、その「出入り口」となるウォレットサービスや取引所が狙われる可能性はあります。

自分の大切なデジタル資産を、どう守っていくか。私たち利用者側の「リテラシー(知識)」も、ますます重要になってきます。

リスク③:犯罪に使われない?(マネロン対策)

安くて、速くて、匿名性も(やり方によっては)高められる…。 こうした特徴は、残念ながら「マネーロンダリング(資金洗浄)」やテロ資金供与など、悪いことを考える人たちにとっても魅力的です。

そのため、世界中の政府や金融当局は、「誰が、いつ、いくら送ったのか」をちゃんと把握できるよう、厳格な「本人確認(KYC)」のルールなどを整備しています。 今回のメガバンクの取り組みも、当然こうした規制をクリアした上で行われますが、技術の進化と規制のイタチごっこは続いていきます。

投資初心者が今から準備しておくべきこと

「じゃあ、私たちはどうすれば?」 慌ててステーブルコインを買ったり、関連銘柄に飛びついたりする必要はまったくありません。

今やるべきは、「勉強」と「実践」です。

  1. 勉強:情報収集を続けよう この記事を読んで「ステーブルコイン」「ブロックチェーン」という言葉にアンテナが立った、それがもう第一歩です。 今後も、こうした「金融インフラ」が変わるニュースには、「自分ごと」として触れ続けてみてください。
  2. 実践:まずは「王道の投資」から こうした未来の変化にワクワクしつつも、私たち個人投資家がやるべきことは変わりません。 「長期・積立・分散」です。

NISAやiDeCoといった制度を活用して、全世界の株式(インデックスファンド)などにコツコツと投資をしていく。 経済全体が効率化し、世界が成長していく(と信じる)なら、その果実を「インデックス投資」を通じて受け取るのが、最もシンプルで再現性の高い戦略です。

新しい技術にアンテナを張りつつ、足元は王道の投資でしっかり固める。 これが、未来の変化を「チャンス」に変える一番の近道ですよ。

まとめ:お金の「OS」が変わる日。未来に備えて今できること

さて、今日は「3メガバンクのステーブルコイン共同発行」というニュースを深掘りしてきました。

ポイントをもう一度おさらいしましょう。

  1. ステーブルコインは「価値が安定した(1コイン=1円)」デジタルマネー。
  2. 「ブロックチェーン」技術で「安く・速く・安全」な決済が可能になる。
  3. メガバンクが手を組むのは、「海外勢への対抗」と「国内規格の統一」が狙い。
  4. まずは企業間(三菱商事)の送金コスト削減から。いずれ個人にも普及する可能性大。
  5. 投資家としては、「関連技術」や「経済全体の効率化」という長期目線で注目しよう。

今回のニュースは、例えるなら「お金の世界のOS(WindowsやiOSのような基本ソフト)が新しくなる」くらいの、地殻変動の始まりです。

OSが変われば、その上で動くアプリ(=金融サービス)も、ビジネスのやり方も、すべてが変わっていきます。

もちろん、実現には多くの課題があり、時間もかかるでしょう。 でも、変化の方向は決まりました。

私たち投資初心者は、この大きな流れを「怖いもの」と捉えず、「新しいチャンス」として学び続けることが大切です。 まずは、ご自身のNISA口座でコツコツ積立を続けながら、こうした未来のニュースにも一緒にアンテナを張っていきましょう!

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