新NISAが始まってから、「私もつみたて投資デビューしました!」という方が周りにも増えてきたのではないでしょうか?
証券口座を開設して、いざ投資信託の積立設定をするとき、多くの人がふと疑問に思うこと。それは…
「つみたて日って、毎月何日にするのが一番お得なんだろう?」
「給料日後の25日に設定してるけど、これでいいのかな?」 「いっそのこと、『毎日つみたて』にした方が、リスクが分散されてパフォーマンスが良くなるんじゃない?」
こんな風に考えたことがある方も多いはずです。かくいう私も、なんとなく「毎日コツコツ積み立てた方が、細かく分散できるから最強なんじゃないか?」なんて思っていました。
そんな私たちの素朴な疑問に、真正面から答えてくれる面白いニュースが飛び込んできました。経済誌「AERA Money」の2025年9月24日の記事で、「投資信託のつみたて日は、毎月何日が一番トクか?」というテーマで、なんと過去20年分ものデータを使って徹底検証を行ったというのです!

この記事では、この興味深いニュースの内容を投資初心者の方にも分かりやすく解説しながら、「毎日つみたて」と「毎月つみたて」のどちらが良いのか、そして、この結果を知った私たちが本当に大切にすべきことは何なのかを一緒に考えていきたいと思います。
最初にネタバレしてしまうと、結論は「どっちでもOK!もっと大事なことがある!」です。この記事を読み終える頃には、つみたて日の設定で悩む時間がもったいなくなり、もっとワクワクしながら資産運用を続けられるようになっているはずですよ!
衝撃の検証結果!一番リターンが高かった「つみたて日」はいつ?
さて、それでは早速、気になるAERA Money誌の検証結果を見ていきましょう!なんだかテストの結果発表みたいでドキドキしますね。
この検証は、ニッセイ基礎研究所という金融のプロ集団が、ものすごく手間のかかるシミュレーションをしてくれたものです。
▼検証のルール
- 対象の指数:
- S&P500 (アメリカの代表的な株価指数)
- 全世界株式 (その名の通り、世界中の株にまとめて投資)
- TOPIX (日本の代表的な株価指数) など
- 検証期間:
- 過去5年間 (最近の傾向)
- 過去20年間 (長期的な傾向)
このルールで、「もし毎月1日に積み立てていたら…」「もし2日に積み立てていたら…」というのを、なんと365日分すべて計算して、どの日のリターンが一番高かったのかを比べたんです。すごい根気ですよね!
【結果発表】一番儲かったのは「X日」だった!
気になる結果はどうだったのでしょうか?特に人気の「S&P500」と「全世界株式」の結果を見てみましょう。
投資先 | 期間 | 一番良かった日 (ベスト) | 一番悪かった日 (ワースト) |
S&P500 | 過去5年 | 毎月1日 | 毎月29日 |
過去20年 | 毎月1日 | 毎月末日 | |
全世界株式 | 過去5年 | 毎月1日 | 毎月29日 |
過去20年 | 毎月15日 | 毎月末日 | |
TOPIX (日本株) | 過去20年 | 毎月16日 | 毎月30日 |
なんと! S&P500は過去5年でも20年でも「毎月1日」が最強という結果に!
これはなぜかというと、アメリカ株市場がこの20年間、基本的には「右肩上がり」だったからです。
考えてみてください。1ヶ月という短い期間で見ても、株価がギザギザしながらも少しずつ上がっていく傾向があるなら、できるだけ早く、つまり月の初めに投資した方が、その後の値上がり分をまるっと享受できるので有利になりますよね。月末に買うよりも、月初に買った方が約30日間も長く値上がりの恩恵を受けられる、というわけです。これが20年間も続けば、チリも積もって差が出てくるんですね。
一方で、全世界株式や日本株(TOPIX)の20年間の結果を見ると、「月の真ん中(15日や16日)」が良かったりします。これは、昔から「機関投資家が月末に株を売って、月初に買うから、その影響が少ない月の半ばが良い」なんていうアノマリー(経験則)があったりするのですが、それに近い結果になっていて面白いですね。
初心者のための用語解説
S&P500: アメリカを代表する超有名企業500社(Apple、Amazon、Googleなど)の株価をギュッとまとめたもの。これに連動する投資信託は、世界経済の成長の恩恵を受けやすいとされ、新NISAでも大人気です。
TOPIX(東証株価指数): 日本の東京証券取引所に上場している主要な会社の株価をまとめたもの。日本の経済全体の動きを示す鏡のような指数です。
インデックスファンド: S&P500やTOPIXのような「指数(インデックス)」と同じ値動きを目指す投資信託のこと。手数料が安く、市場全体に分散投資できるので、初心者には特におすすめされています。
この結果だけ見ると、「よし!S&P500に投資するから、積立日を1日に変更しよう!」と思った方もいるかもしれません。でも、ちょっと待ってください!話はまだ続きます。次は、もう一つの気になる疑問、「毎日つみたて」との比較結果を見ていきましょう。
「毎日つみたて」vs「毎月つみたて」最終決着!
「毎月1回だけ買うよりも、毎日ちょっとずつ買った方が、高値掴みするリスクを避けられて良さそうじゃない?」
そう、これこそが「毎日つみたて」の最大の魅力ですよね。株価が高い日も安い日も、毎日コツコツ買うことで、購入単価が平準化される。この考え方を「時間の分散」と言います。
今回の検証では、この「毎日つみたて」のパフォーマンスもしっかり計算されています。果たして、最強だった「毎月1日つみたて」を超えることができたのでしょうか?
▼S&P500(過去20年)のリターン比較
- 毎月1日つみたて (ベスト): 素晴らしいリターン!
- 毎日つみたて: なんと、毎月1日つみたてと、ほとんど変わらないリターン!
- 毎月末日つみたて (ワースト): 上記2つよりは少しだけ低いリターン。
そうなんです。驚くべきことに、「毎日つみたて」と「毎月つみたて」の成績には、決定的な差はなかったのです!
これは一体なぜでしょうか?
その答えが、投資の基本中の基本である「ドルコスト平均法」という考え方にあります。
初心者のための用語解説
ドルコスト平均法: 毎回「一定の金額」を定期的に買い続ける投資手法のこと。
- 株価が高いとき → 少ししか買えない
- 株価が安いとき → たくさん買える
これを続けると、平均購入単価を自然と下げることができる、という魔法のような手法です。皆さんがやっている「つみたて投資」は、まさにこのドルコスト平均法を実践していることになります。
「毎月つみたて」は月に1回、「毎日つみたて」は月に約20回(営業日の場合)、ドルコスト平均法を実践していることになります。
確かに毎日買えば、より細かく購入単価を平準化できます。でも、投資期間が5年、10年、20年と長くなっていくとどうでしょう?
- 毎月つみたて (20年): 12回/年 × 20年 = 240回の買い付け
- 毎日つみたて (20年): 約20回/月 × 12ヶ月 × 20年 = 4800回の買い付け
買い付け回数には大きな差がありますが、240回でも十分すぎるほど「時間の分散」は効いています。20年という長い物差しで見れば、1ヶ月の中の数日の株価の動きは、本当にささいな誤差になってしまうのです。
だからこそ、「毎日」でも「毎月」でも、長期的に見ればリターンに大きな差は生まれなかった、というわけなんですね。
データは面白い!でも、本当に気にするべき?
さて、ここまで検証データを見てきました。
- S&P500なら「1日」が一番良かった。
- でも「毎日つみたて」と比べても、大した差はなかった。
- 一番良かった日と悪かった日の差も、20年間で最大2〜3%程度だった。
この「2〜3%の差」をどう捉えるか。もちろん、元本が1000万円、2000万円と大きくなれば、20〜60万円の差になるわけですから、決して小さなお金ではありません。
でも、ここで一度立ち止まって考えてみてください。この結果は、あくまで「過去20年間のデータでは、たまたまそうなった」ということに過ぎません。未来の20年間も同じ結果になる保証はどこにもないのです。
もしかしたら、次の20年は「月末」が最強になるかもしれないし、「10日」が一番良くなるかもしれません。
そう考えると、私たちがやるべきことは、未来の「正解」がわからないつみたて日を必死に探すことでしょうか?
答えは、断じて「NO」です!
今回のニュース記事でシミュレーションを担当した専門家、前山さん自身も「結果はあくまで参考程度に」と述べています。
私たち個人投資家、特にこれから資産を築いていこうという初心者にとって、つみたて日を気にするよりも、もっともっと大切で、リターンに直結することがあります。それが、投資の世界で古くから言われている「成功の鉄則」です。
つみたて日より100倍大事な「投資の王道」3カ条
- 何があっても「やめない」こと(長期投資) 株価が暴落して、自分の資産が減っていくのを見るのは辛いものです。でも、そんな時こそ買いのチャンス。歴史が証明しているように、世界経済は長期的には成長を続けてきました。市場から退場せず、どっしりと居座り続けること。これが一番大事です。
- 淡々と「入金し続ける」こと(積立投資) つみたて日の議論がありましたが、それよりも「毎月きちんと決めた額を投資し続ける」ことの方がはるかに重要です。収入が増えたら積立額を増やす「積立増額」は、リターンを加速させる最強のブーストになります。
- 余計な「コストを払わない」こと(低コストな商品選び) つみたて日で生まれる数%の差を気にするくらいなら、投資信託の「信託報酬(手数料)」を0.1%でも安いものにこだわる方が、よほど確実なリターン向上に繋がります。新NISAで人気のeMAXIS Slimシリーズなどが低コストで有名ですね。
この3つを守ること。これこそが、私たちを経済的な自由に導いてくれるコンパスなのです。つみたて日をいつにするか悩むのは、例えるなら「マラソンでどの色のシューズを履くか」を延々と悩んでいるようなもの。もちろん、お気に入りのシューズを履けば気分は上がるかもしれませんが、それよりも大事なのは、コースから外れずに、一歩一歩走り続けることですよね。
結論!私たちは結局どうすればいいの?【具体的なアクションプラン】
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます!データの検証から、本当に大切なことまで見てきました。
最後に、ここまでの話を全部ふまえて、「じゃあ、明日から私たちは具体的にどうすればいいの?」というアクションプランをまとめて、この記事を締めくくりたいと思います。
これから新NISAでつみたて投資を始めるあなたへ
設定画面を前にして、つみたて日を選ぶ手が止まってしまったら、こう考えてください。
- クレジットカード積立(クレカ積立)を使いますか?
- YES → 証券会社が指定する日でOK! 多くのネット証券では、クレカ積立の発注日は選べないか、選択肢が限られています。つみたて日の数%のリターン差よりも、毎月もらえる1%前後のポイント還元の方が、はるかに確実でお得です。迷わずポイントを取りにいきましょう!
- NO → 自分の好きな日、忘れない日でOK! 給料日後でも、記念日でも、ラッキーナンバーの日でも構いません。もし、S&P500のような右肩上がりが期待できる指数に長期で投資するなら、「月初」に設定しておけば、過去のデータ上は少しだけ有利だった、という事実を心の片隅に置いておくくらいで十分です。
- 「毎日つみたて」ってどうなの?
- 設定しても全く問題ありません。ただ、記事にもあったように、毎日約定メールが届いて煩わしく感じたり、月々の投資額が祝日の関係でキッチリ一定にならない、といったデメリットもあります。その手間をかけてもリターンが劇的に上がるわけではない、ということは知っておきましょう。
すでにつみたて投資を設定済みのあなたへ
この記事を読んで、「やばい!私の設定、月末になってる…変更しなきゃ!」と焦った方もいるかもしれません。
でも、安心してください。そのままで全く問題ありません!
わざわざ設定を変更する手間をかけるほどの差は生まれません。むしろ、設定をいじっているうちに「やっぱり、つみたて額を減らそうかな…」「一旦停止しようかな…」なんて余計な迷いが生まれる方が、よっぽどリスクです。
今の設定のまま、自信を持ってコツコツ積立を継続してください。それが未来のあなたへの最高のプレゼントになります。
つみたて日を悩む時間があったら、その時間で家計を見直して、あと月々1,000円でも積立額を増やせないか考える方が、あなたの資産を何倍も大きくしてくれますよ!
まとめ
今回は、「つみたて日はいつが一番お得なのか?」という、多くの投資家が一度は抱く疑問について、最新のニュースをもとに深掘りしてみました。
最後に、この記事のポイントをまとめておきましょう。
- 過去20年のデータ検証では…
- S&P500は「毎月1日」がベストだった。これは右肩上がりの相場では、早く投資した方が有利なため。
- その他の指数では「月の半ば」が良い結果になることも。
- 「毎日つみたて」と「毎月つみたて」を比べると…
- 長期的に見れば、リターンにほとんど差はなかった!
- 結局、私たちがとるべき行動は…
- つみたて日は「気にしなくてOK!」
- クレカ積立ならポイント還元を優先し、選べるなら覚えやすい好きな日で設定しよう。
- つみたて日を悩むよりも、①やめずに続けること、②コツコツ入金し続けること、③手数料の安い商品を選ぶこと、この3つを徹底する方が100倍大事!
なんとなく「毎日積立の方が優れているのでは?」と思っていた方も、今回のデータを見て、スッキリしたのではないでしょうか。データとしては非常に面白い結果でしたが、結論は「これくらいの差なら、気にする必要はない。今まで通り、毎月コツコツ積立を継続しよう」という、とてもシンプルなものでした。
投資で一番の敵は、複雑に考えすぎて行動できなくなってしまうことです。つみたて日のような「枝葉」の部分で悩むのはもうおしまい!大切なのは、投資の「幹」である長期・積立・分散をどっしりと実践することです。
さあ、これからも細かいことは気にせず、一緒にコツコツと未来の資産を育てていきましょう!